商標登録 第35類の区分ガイド

第35類ってどんな区分?

オンラインショップを立ち上げることになったよ
色んな工房の家具を、セレクトショップみたいに販売するんだ
商品には工房の商標がついてるけど、ウェブサイトにはショップ名を表示するから、そのショップ名を商標登録したいな
これって、第20類の「家具」を指定して商標出願すればいいのかな?
「他社の製品を販売するオンラインショップの名前」を商標登録したいのですね
それなら、商品ではなく、第35類の役務「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定しましょう
「商品」ではなく、「役務」を指定するんだね
今販売するのが決まっているのは「家具」だけど、軌道に乗ったら、食器などの雑貨やファッション関係にも広げていきたいんだ
「『家具』の小売又は卸売」以外も指定しておくと、何か問題になるのかな?

このページでは、区分「第35類」にどんな役務(サービス)が含まれるのかを解説します。
あなたの事業が第35類に含まれるのか、他の区分なのか、商標出願前にしっかり確認しましょう!

第35類は広告や卸売の区分

第35類には、広告、事業の管理・組織及び運営、事務処理、商品の小売・卸売、などが含まれます。

第35類の指定役務の選び方

第35類の主な役務一覧

第35類に含まれる主な役務は、以下のとおりです。
これらの役務は、Amazing DX🄬で指定して出願することができます。

第35類で指定できる役務一覧(折り畳み)

上記の「第35類に含まれる主な役務」は、一例です。
この他にどんな役務が第35類に含まれて、どんな役務が含まれないのか、具体的に見ていきましょう。

こんなものを指定したいときは?(第35類に含まれる役務)

各種商品の小売・卸売

Amazing DX🄬で指定したいときは、販売する商品が含まれる「(商品名)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定してください。
小売店、卸売店、自動販売機、カタログなどでの通信販売、ネット通販、テレビショッピングなど、販売場所・方法の形式は問いません。

例えば……

含めたい役務Amazing DX🄬上での選択
「アンテナショップ」での「弁当・惣菜」の販売飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
「自動販売機」での「キーホルダー」の販売手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
「ネット通販」での「洋服・靴・かばん」の販売被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

ただし、各種商品の「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定する場合には、注意しなければならないポイントがあります。

→「ジャンルが違う商品の「小売・卸売」役務を、2つ以上指定すると…

広告関係

Amazing DX🄬で指定したいときは、「広告業」を指定してください。

例えば……

事業に関するコンサルティング関係

Amazing DX🄬で指定したいときは、「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」を指定してください。

例えば……

事務処理関係

Amazing DX🄬で指定したいときは、「文書又は磁気テープのファイリング」や「コンピュータデータベースへの情報編集」、「建築物における来訪者の受付及び案内」などを指定してください。

例えば……

含めたい役務Amazing DX🄬上での選択
予約のスケジューリング(事務処理)文書又は磁気テープのファイリング
データ処理(事務処理)文書又は磁気テープのファイリング
コンピュータによるファイルの管理文書又は磁気テープのファイリング
電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行コンピュータデータベースへの情報編集
電話交換建築物における来訪者の受付及び案内
秘書建築物における来訪者の受付及び案内

財務処理関係

Amazing DX🄬で指定したいときは、「財務書類の作成又は監査若しくは証明」を指定してください。

例えば……

ただし、「財務書類の作成又は監査若しくは証明」を指定する場合には、注意しなければならないポイントがあります。

「財務書類の作成又は監査若しくは証明」を指定すると…

その他の第35類に含まれる役務

Amazing DX🄬で指定したいときは、チャットで弁理士にご相談ください。

第35類には含まれない役務

金融サービス

法律業務・知的財産関係業務

その他の第35類に含まれない役務

第35類を指定する時の注意

ジャンルが違う商品の「小売・卸売」役務を、2つ以上指定すると…

商標登録には、「指定されている商品・役務(サービス)の範囲が広すぎると拒絶理由通知が発行される」というルールがあります。
あまりに広い範囲の商品・役務が指定されていると、「本当に全部の商品・役務について商標を使用するの?まったく使うつもりのないものまで、ムダに取ろうとしているんじゃないの?」という疑いが出てくるからです。

商品・役務の範囲が広すぎるかどうかは、「類似群コード」の数で判断されます。

「1つの区分につき類似群コードが22個まで」というのが基本ルールです。
ただし、第35類の「小売・卸売」の役務を指定するときには、さらに以下の特別ルールがあります。

  1. 同じジャンルの商品の小売・卸売役務は、同じ類似群コード。異なるジャンルの商品の小売・卸売役務は、異なる類似群コード。
  2. 1つの出願で、類似群コードが異なる小売・卸売役務を「2つ以上」指定していると、役務の範囲が広すぎるので拒絶理由通知が発行される。

小売・卸売役務には、どんな商品の小売・卸売かによって、「35K〇〇」(〇〇には2ケタの数字が入ります)という類似群コードが割り当てられます。
この「35K〇〇」という類似群コードが1出願に2種類以上含まれていると、役務の範囲が広すぎると判断されて拒絶理由通知が発行されます。

つまり、「類似群コード『35K〇〇』は1つの出願に1個まで」というのが、第35類の小売・卸売役務を指定する場合の特別ルールです。

例えば……

指定役務類似群コード
家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K06
建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K06
畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K06

→類似群コードが1つなので、家具と建具・畳類の小売・卸売役務は1つの出願で登録できる

指定役務類似群コード
家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K06
被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K02
履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K02
かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K02
身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K02
台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供35K09

→類似群コードが、35K02・35K06・35K09の「3つ」になるので、家具と雑貨類・ファッション関係の小売・卸売役務を1つの出願で指定していると拒絶理由通知が発行される

じゃあ、家具と雑貨とファッション関係、全部を指定して小売・卸売役務の商標登録をすることはできないの?
いいえ、まったくできないわけではありません
指定した小売・卸売役務それぞれについて、「実際に商標を使用している」ことか、「実際に商標を使用する意思がある」ことを証明すれば(※)、1つの出願で登録することもできますよ
「現に使っている」か「今後使うつもりがある」なら、登録できるんだね!

(※)Amazing DX🄬をご利用の場合、「商標の使用」および「商標の使用意思」を証明する手続には、追加費用が発生します。

「総合小売等役務」を指定すると…

色々なジャンルの商品を総合的にとりあつかう小売・卸売について商標登録したい場合、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定することができます。
デパートやスーパーマーケット、コンビニなどのような販売サービスが典型的な例です。
この役務は、「総合小売等役務」とも呼ばれます。

この「総合小売等役務」を指定して商標出願すると、以下の場合、拒絶理由通知が発行されます。

総合小売等役務についても、「35K〇〇」が2つ以上になってしまうときと同じように、「実際に商標を使用している」こと、または、「実際に商標を使用する意思がある」ことを証明すれば、商標登録することができます。

「財務書類の作成又は監査若しくは証明」を指定すると…

「財務書類の監査又は証明」の役務は、法律によって、「公認会計士」または「監査法人」でなければ業として行ってはならないとされています。(公認会計士法第47条の2)

なので、出願人が「公認会計士」か「監査法人」でなければ、「財務書類の作成又は監査若しくは証明」の役務を指定して商標登録することはできません。

※この役務を指定して商標出願すると、審査官が出願人を調査して、公認会計士または監査法人であるかどうか確認します。
公認会計士または監査法人であることが確認されれば、商標登録できます。

「公認会計士」または「監査法人」でない人・企業は、基本的にこの役務を指定して商標登録する必要はありません。
仮に、社内で財務書類の監査などを行うことがあっても、業として(=他人のために、報酬をもらって)行っているわけではないので、この役務に商標を使用していることにはならないからです。

第35類を商標出願しよう!

第35類は、広告、事業の管理・組織・運営、事務処理、商品の小売・卸売などの区分です。
広告業の方や、事業運営などに関するコンサル業の方、ECサイトやセレクトショップなどを運営されている方は、第35類をご検討ください。

Amazing DX🄬では、オンラインで簡単に指定商品・役務が選べます。
まずは多めに選んでみて、調査後に×が出たものだけを外して再検索することも簡単です。

どの商品・役務を選んだらいいか迷ったときは、商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えしますので、チャットでお気軽にお問合せください。

supervisor
Supervisor for the article:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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