類似群コードは何を示す?商標登録の区分との違いも解説

類似群コードとは?

商標の指定商品・役務と関連して、区分の他に『類似群コード』っていう用語を聞いたんだけど、指定商品・役務や区分とどういう関係があるんだろう?
類似群コードは、特許庁で審査するにあたり、出願商標や登録商標が互いに似ているかどうかを判断するために付けられるコードのことです。指定商品・役務によってどのコードに該当するかが決まっており、指定商品・役務が似ている場合は、同一のコードが付されることになっています。区分が違っても、同じ類似群コードが付されていることもあります。
そうなんだね。商標出願をする指定商品・役務について、『類似群コード』を調べることはできるのかな?注意が必要な点があったら、それも教えて欲しいな。

この記事では、『類似群コード』の概要や注意点を解説します。

類似群コードのルール

『類似群コード』とは、商標の指定商品や指定役務に関して、生産・販売部門や原材料等に共通性がある商品や提供手段や目的・提供場所等に共通性がある役務(サービス)をグループ化して、その各グループに数字とアルファベットを組合せた五桁の共通コードのことです。

類似群コードの具体例

商品の類似群コードは、昭和34(1959)年法に基づく類似商品審査基準に沿って定められています。商品「燃料」に関する類似群コードは以下の表の通りです。

商品区分商品(大分類)商品(中分類)
05燃料A固形燃料01
液体燃料
気体燃料
02
工業用油B工業用油01
工業用油脂C動物性油脂
植物性油脂
加工油脂
01
ろうDろう01
高級脂肪酸E高級脂肪酸01

役務の類似群コードは、平成3(1991)年改正の類似商品・役務審査基準をもとにして付与されています。第35類の役務は以下の一覧の通りです。

役務区分役務類似群コード
35広告業35A01
トレーディングスタンプの発行35A02
経営の診断又は経営に関する助言
市場調査又は分析
商品の販売に関する情報の提供
ホテルの事業の管理
35B01
財務書類の作成又は監査若しくは証明35C01
職業のあっせん35D01
競売の運営35E01
輸出入に関する事務の代理又は代行35F01
新聞の予約購読の取次ぎ35F02
速記
筆耕
35G01
書類の複製35G02
文書又は磁気テープのファイリング35G03
コンピュータデータベースへの情報編集35G03
42P02
電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作35G04
建築物における来訪者の受付及び案内35H01
広告用具の貸与35J01
タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与35J02
消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供35L01
求人情報の提供42G02
新聞記事情報の提供42G04
自動販売機の貸与42X07

先頭の区分を表す数字2字について、それぞれ昭和34年、平成3年を基準にしているため、現在の商品・役務区分とは合致していないケースがあります。

類似群コードを決めるのは?

類似群コードを決めているのは、特許庁です。

商品・役務と類似群コードの対応関係は、特許庁が発行する「類似商品・役務審査基準」により公表されています。

特許情報プラットフォーム(J-Platpat)を使って、類似群コードを検索・確認することもできます。詳細は、以下の記事をご参照ください。

類似群コードの役割とは

出願された商標について、その出願の指定商品・役務に基づいて付与された類似群コードの範囲内で、特許庁の審査官が審査を行います。同一又は類似する他人の登録商標がないかどうかや、その他の登録要件を満たしているかどうかについて審査されます。

同じ類似群コードが付されている指定商品・役務は、原則、互いに類似すると推定されます。“推定”のため、確定ではなく、実際の指定商品・役務に関する取引の実情を考慮した結果、同一の類似群コードでも非類似の指定商品・役務とされる場合もあります。ただし、とても稀なケースのため、その判断が必要な場合には、専門家(特許事務所、弁理士)に相談することをお勧めします。

商標出願をする時の注意点

商標出願をするとき、指定する区分における類似群コードの数に注意が必要な場合があります。

具体的には、特許庁の審査で、指定する一つの区分の中で広範囲な商品を指定しているときには、本当にその商標を使っているのか?使う予定があるのか?を確認するステップがあり、それに該当する場合には、「拒絶理由通知書」でその確認が行われることになっています。

その時点では必ずしも使用している必要は無く、将来(2~3年程度先)に使用する予定があれば、使用の意思を示す証明書類が準備できれば問題ありません。

実際に使用している証拠資料や、使用の意思を示す証明書類を提出することで、商標登録に至ることは可能です。ただ、その書類の準備や提出手続きには相応の労力(特許事務所や弁理士に依頼した場合には手数料(費用))が必要になります。

広範囲な商品・役務に該当するかどうかは一定の基準が定められており、類似群コードの数が1区分内で23個以上になっているかどうかで判断されます。22個以内であれば特許庁の審査において、商標の使用に関する確認を受けることはありません。

ただし、35類の小売等役務に限っては、複数(2以上)の小売役務の類似群が指定されている場合には、商標の使用に関する確認を受ける点に注意が必要です。

また、内容によって、該当したり、該当しなかったりするケースがあります。詳細は、以下の特許庁ホームページにより公開されている商標審査便覧(商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について※PDFデータが開きます)をご参照ください。

類似群コードと区分の関係

『区分』とは、それぞれの商品・役務が属する分類のことで、その内容によって第1類から第45類までの45の区分に分けられています。

区分と類似群コードの関係については、以下記事にて紹介していますので、ご参照ください。

なるほど!類似群コードと商品・役務の関係が良く分かったよ。区分が違っても、同じ類似群コードになることがあるのには、注意が必要だね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。類似群コードは、商標登録のために必要な指定商品・役務と密接な関係があることがお分かりいただけたと思います。

「Amazing DX®」の商標調査では、指定商品を選んでいただくと自動的に類似群コードを参照し、登録商標の中に類似するものがないかどうかを、調べています。また、類似群コードの数についてもカウントしており、23以上になる場合は、お知らせするようになっているので、うっかり多く選んでしまうことを防ぐことができます。

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大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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