商標登録の費用の相場とその内訳は?総額まで詳しく解説!

商標登録の費用の相場とその内訳(発生するタイミング)

商標登録したいんだけど、通常どれくらいお金(費用)がかかるのかな?予算の額を見積もっておく必要があるんだ

費用は、『特許庁に支払う費用(印紙代)』と『専門家(特許事務所:弁理士)に手続きを依頼する際にかかる費用(手数料)』の二つに分けることができます。
自分で手続きを行う場合には、印紙代のみで足りるので、約3万円が目安になります

そうなんだね。でも、そんな手続き初めてだし、専門家に手続きをお願いした方がいいのかな?どれくらい費用が違うんだろう

この記事では、知的財産権のうちの特許庁が所管している産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標)のうち、商標権を取得するときにかかる費用について解説します。

商標登録の費用総額(金額)

商標登録の費用の総額の相場は、おおよそ以下の表の通りです。特許庁費用は、特許印紙代であり、消費税の課税対象から除かれます。特許事務所の手数料やオンラインサービスの利用料は、消費税の課税対象です。

区分特許庁費用特許事務所に依頼 or オンラインサービスを利用
1約3万円約17万円 or 約5万円
2約6万円約27万円 or 約10万円
3約8万円約40万円 or 約15万円

※区分とは、商標登録の際に指定する商品・サービスの分類のことで、全部で45種類あります。

※特許庁や地方自治体等によって、特許や商標などの知的財産に係る助成金・補助金の制度があり、要件に該当する場合は、申請して補助を受けることにより費用負担を軽減することができます。

費用が発生するタイミング

費用(印紙代・手数料)が発生するタイミングは、「調査時」「出願時」「登録時」の3回です。

※登録可能性の判断は専門的な知識が必要になるため、弁理士などの専門家に依頼することが一般的です。また、調査では特許庁の費用(特許印紙代)は発生せず、専門家の調査費用のみがかかります。文字かロゴかによって、調査費用は異なる場合があります。なお、出願前の調査は必須ではないため、調査せずに出願することもできます。

※出願時の費用は、審査に通らなかった場合や登録をしなかった場合でも、特許庁から返還されることはありません。

※特許庁の審査で、登録できないと判断された場合は、「拒絶理由通知書」が通知されます。この通知には反論の機会があり、出願時の内容を修正したり、特許庁の判断に反論したりすることによって、登録にたどり着くことも可能です。

登録までの間に特許庁とのやり取りが必要な場合に、その対応を弁理士に依頼すると、別に費用(概ね手数料のみ)が発生します。

※それぞれの費用の仕訳や勘定科目については以下記事にて解説しています。

特許庁に支払う費用(印紙代)

特許庁に納付する費用の内訳(出願時・登録時)は、以下の表の通りです。特許印紙代は消費税の課税対象から除かれます。区分の数によって費用が変わります。

区分出願時(印紙代)登録時(印紙代)合計
112,000円17,200円29,200円
220,600円34,400円55,000円
329,200円51,600円80,800円

※「登録時(印紙代)」は、2022年4月1日の納付から適用されている費用です。

※登録時は5年分の登録料にて計算しています。
 5年以外に、10年分の登録料を選択することもでき、10年分の方が費用は割安になります。

※登録した権利期間が満了する前に、更新の料金を支払うことで、半永久的に権利を存続させることができます。

費用の相場は大体わかってきたよ。弁理士に依頼する場合は、結構費用がかさむんだね。自分でやるときにはどんなところに気を付ければいいんだろう?

商標登録を自分でする際の注意点

自分で手続きをする際には、1)~6)のステップとそれに伴う書類の印刷、郵送作業が必要になります。

1) 商標(文字やロゴマーク)の決定
2) 区分、指定商品/役務の選択
3) 出願する前に登録可能性を探る商標調査
4) 特許庁が指定している形式を満たした出願書類の作成
5) 拒絶理由通知を受けた時の反論のための書類の作成
6) 登録やその後の更新の手続きをするのに必要な期限の管理

2)区分、指定商品/役務の選択

適切な選択ができているかどうかに注意が必要です。
例えば、たこ焼きを持ち帰り用で販売するのであれば、第30類の「たこ焼き」を指定する必要がありますが、レストランでたこ焼きを提供するサービスをするのであれば、第43類の「飲食物の提供」を指定する必要があります。両方するのであれば、2区分指定することがベストになり得ます。

3)出願する前に登録可能性を探る商標調査

商標調査のための無料サービス「特許情報プラットフォーム」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)を利用できますが、操作や検索方法を間違えてしまうと間違った判断になる可能性があります。

以下の調査に関する商標ガイド記事が参考になりますので、ご確認ください。

4)特許庁が指定している形式を満たした出願書類

特許庁が公開している様式に沿って出願書類が記載されているかどうかに注意が必要です。

それぞれの項目には記載のルールがあり、指定商品/役務についても審査基準に沿った記載が必要になります。
記載形式に不備があった場合は、その不備を解消するために特許庁と書類のやり取りが必要になり、登録までにかかる期間が長くなったり、最悪の場合、出願自体が受理されないことも起こり得ます。

5)拒絶理由通知を受けた時の対応、6)期限管理

自分で行う場合、相応の労力や負担がかかかることに注意が必要です。
専門家にとっては対応しやすいものであっても、経験が浅ければ相応の労力や負担がかかります。特に拒絶理由通知で登録商標が引用された場合の対応は専門度が高まります。期限管理についても、5年後、10年後の期限を忘れずに管理するのは容易ではありません。

自分だけで手続すると…

自らの力で問題が解決できなかった場合、もう一度商標出願が必要になったり、場合によっては先行商標が見つかって販売中止になるかもしれません。

販売中止になったときの商品の回収費用とかを考えると、すごいことになるぞ……
弁理士費用を節約するために自力で出願したら、逆に大損につながることもあるのか!

以上を踏まえた注意点

専門家(特許事務所:弁理士)に依頼すると…

特許事務所に依頼した場合、ほとんどの対応は弁理士を通して行うため、日数を要することはありますが手続きはスムーズに進みます。
また、指定商品の選定では、弁理士に事業内容や商品・サービスの内容を伝えることで適正な範囲での権利取得につながります。もちろん特許事務所毎で、サービス内容やかかる費用は違ってきます。

オンラインサービスの利用は…

オンラインサービスの場合、原則的に特許事務所や弁理士がサービスに携わっています。専門家によるサポートが受けられ、特許庁が指定している形式を満たした出願書類についてはきちんとフォローされています。なお、提供するサイトによりサービス内容に違いはありますので、その点には注意が必要です。

オンラインサービスの場合、自分の都合の良い時間にインターネット上で手続きに関するやり取りが完了することもメリットです。

登録が拒絶されてしまうと、特許庁とのやりとりや再出願等で結局費用がかかってしまうから、最初から弁理士のアドバイスを受けたほうがよさそうだ。
費用とサポートのバランスが取れたオンラインサービスを使うのがよさそうだね!

誰に依頼するかで費用は変わる

商標登録の費用は、自分で手続きをするか、専門家(特許事務所・弁理士)に手続きを依頼するかで違いがあります。

費用感はお分かりいただけたかと思います。登録を希望する商標の内容や状況を踏まえて、適切な方法を選択していただき、商標登録しましょう!
大切なのは、あなたのビジネスが商標登録をすることで保護され、あなたがビジネスに専念できる環境を作ることです。

参考・出典情報

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supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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