ロゴをリニューアル!使用する商標が変わるときはどうする?

ロゴのデザインを変更するときは?

来年、会社設立10周年を機に、会社のロゴを新しくしようとデザイン中なんだ!なんだか1年目を思い出して新鮮な気分だよ!
ところで、元の会社ロゴは商標登録しているんだけど、新しくした場合はどうなるの?
おめでとうございます!益々のご活躍をお祈りします。
どのくらいの変更かにもよりますが、新しいロゴでも商標出願をした方がいいかもしれませんね

会社や商品のロゴなど、長く使用していれば、ロゴの変更を行うこともあります。ロゴの変更を行った場合、イメージを刷新できたり、顧客層が広がったりするメリットもありますが、商標登録においては、さまざまなリスクも存在します。
ロゴを変更する前に、ぜひご一読ください。

商標登録したロゴは変えてもいい?

商標は、登録されているかにかかわらず、特許庁に願書を提出してしまえば商標そのものの変更は認められません。商標自体の変更を届け出る制度などもありません。
しかし、商標を出願した後に、新しくロゴを作ったり、デザインを変更したり、出願・登録した商標とは異なる態様で使用予定、ということもあると思います。
このような場合はどうすればよいでしょうか。

●参考記事

指定商品・役務の内容についても、出願後は、区分の追加や、出願時より広い範囲への変更はできません。

商標登録の更新とは、登録した商標はそのままで、権利の存続期間を更新する手続のことです。

ロゴを変更するときの対応

(1) 新しく出願をするのが安全

登録された商標と異なる態様で使用する場合は、新しいロゴデザインでも商標出願をしておくことをおすすめしています。新しく出願をするのが安全な理由については後述いたします。

(2)「社会通念上同一と認められる商標」の範囲で変更する

登録商標とは、実際に特許庁に登録している商標そのもののことをいい、この登録商標と一部でも違う商標は登録商標と同一の商標ではなく、類似の商標になります。この類似の商標にも商標権は及びます。

【参考:商標権の効力 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

「登録商標の使用」で言うと、上記の類似の範囲でのみ使用していても登録商標の使用とは言えません。しかし、使用が想定されるロゴをすべて個別に商標出願しなければならないとなると大変です。
商標法第50条では、「社会通念上同一と認められる商標」を使用するときは、登録商標の使用であると見なされます。

社会通念上同一と認められる商標とは?

では、どの程度の類似の商標なら、登録商標の範囲とみなされる、つまり「社会通念上同一と認められる商標」なのでしょうか。

① 書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標

<例>

書体の変更(明朝体→ゴシック体、かい書体→行書体)やローマ字の大文字と小文字の相互間の使用などは社会通念上同一と認められます。
構成文字が同一で構成文字が文字として認識できるものであれば同一性が認められる可能性が高いといえます。

② 平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標

<例>

文字種の変更(平仮名→片仮名、片仮名→ローマ字、ローマ字の大文字→ローマ字の小文字など)は、社会通念上同一と認められます。

一方で、相互間で使用したときに、別の意味(観念)が生じるときには、登録商標の使用と認められませんので、注意が必要です。

・登録商標の使用と認められない事例

③ 外観において同視される図形からなる商標

<例>

例えば、色彩のみを変更した商標などです。

④ その他社会通念上同一と認められる商標

<例>

【参考:特許庁 審判便覧(第19版) 「53-01 登録商標の不使用による取消審判」

すなわち、「社会通念上同一と認められる商標」とは、登録商標からの変更の程度は小さく、類似の商標よりも狭い概念にあたります。

新しいロゴは文字部分に装飾を加えようと思っているんだけど、そんなに大した変更じゃないから、「書体の変更」で、「社会通念上同一と認められる商標」になるのかな?
「社会通念上同一と認められる商標」かどうかの判断は難しいと思いますので、特許事務所や弁理士へ相談すると良いですよ

(1) (2) の対応をすべき理由

特許庁のホームページでは、「商標」とは、以下のように説明されています。

(以下、一部抜粋)
1.商標とは
商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。
私たちは、商品を購入したりサービスを利用したりするとき、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。そして、事業者が営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標に「信頼がおける」「安心して買える」といったブランドイメージがついていきます。商標は、「もの言わぬセールスマン」と表現されることもあり、商品やサービスの顔として重要な役割を担っています。
このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」という知的財産権です。
(以上)

【参考:特許庁 商標制度の概要

つまり、商品やサービスを選ぶ際の「目印」である以上、商標登録がされていない類似のロゴデザイン見た消費者は、正規品であるかどうかの判断ができなくなってしまうのです。

よって、使用するロゴが登録商標と異なる場合は、新しいロゴを商標出願して登録するのが最善といえます。
デザインを大幅に変更するなど、登録した商標と類似しない場合には、早めに商標出願・登録をしたほうがよいでしょう。必要に応じて、新しいロゴが登録可能かどうか、事前調査を行うことも検討すべきです。

不使用取消審判のリスク

登録商標を、実際に登録を受けた指定商品・指定役務について日本国内で3年間使用していないと、第三者からの請求により商標登録が取り消されてしまいます(商標法第50条:不使用取消審判)。

上述のとおり、新しいロゴが、登録商標の「社会通念上同一の範囲」でなければ、登録商標を使用しているとは言えなくなりますので、デザイン変更前のロゴの商標登録が取り消されるおそれがあります。

かといって、新しいロゴで商標登録がされる前に、デザイン変更前の商標登録を取下げると、第三者によって類似商標が出願されてしまうリスクがあります。

登録商標のデザインが変更になったとしても、少なくとも新しいロゴが商標登録されるまでは、元の登録商標は取下げをせず保持しておきましょう。

他人の権利侵害となるリスク

新しいロゴが、元々の登録商標の商標権の範囲外だった場合、第三者の商標権の侵害行為となる可能性もあります。
やはりデザインを大幅に変更する場合は、他人の商標権を侵害していないかを事前に調査してから使用することをおすすめします。

模倣を取り締まれないリスク

新しいロゴが、元々の登録商標の商標権の範囲外だった場合、新しいロゴは商標法上保護されないということになりかねませんので、新しいロゴの模倣行為があったときに、元のロゴについての商標権では取り締まることができなくなります。

一層のビジネス発展を願ってデザインを刷新したロゴも、商標権を失ったり、トラブルを招いてしまっては逆効果だね。新しいロゴデザインも商標出願をすることにしよう!

「標準文字」での出願

さまざまな書体や文字種へ変更して使用することが初めから想定される場合、または、商標出願を行う段階ではまだ使用するデザインが決定していない場合、まずは比較的デザインの自由度が高い「標準文字」での出願をおすすめします。

まとめ

ロゴデザインは、消費者にとって、商品やサービスを選ぶ「目印」!
商標権の類似する範囲外でのデザイン変更は避けた方が無難です。
また、そうした変更になる際には、新しく商標出願を行うようにしましょう。

新しいロゴを、既存の登録商標と同じ指定商品・役務で出願したい方は、Amazing DXでの出願が便利です。

他にも、登録商標の使用にあたるか?等のご相談は当所へお気軽にお問い合わせください。商標専門の弁理士がサポートします。

supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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