文字の商標登録どうすればいい?ロゴとの違いも解説 商標出願前用語解説 2022年3月11日 2022年7月22日 Amazing DX Support Team 文字だけの商標って登録できる? 商品名を決めたよ!決まったロゴはないんだけど、商標登録できるのかな? 決まったロゴがないなら、「標準文字」制度を使って出願・登録しましょう「標準文字」制度は、特許庁が決めた一般的な書体で商標登録できる制度です 「標準文字」制度って初めて聞いたよどんな制度か、詳しく知りたいな 商標は、文字・図形・それらの組み合わせなど、色々な形で出願し登録することができます。特に、日本には「標準文字」制度というものがあることはご存知ですか? この記事では、標準文字とは何か、標準文字とロゴ商標どちらで商標登録するのがよいのか、あなたの疑問にお答えします。 文字の商標ってどんなもの? 「文字商標」とは 「文字商標」とは、特に法律などで定義された言葉ではありませんが、基本的に「文字だけでできている商標」の意味で使われています。つまり、絵や図形、装飾、デザイン、色などが含まれていない商標のことです。 また、「!」や「・」などの非常に一般的な記号は文字の一種と考えられ、これらを含んでいる商標も、「文字商標」であると考えてよいでしょう。 「文字商標」に対応する言葉としては、「図形商標(=絵や図形だけでできている商標)」や「ロゴ商標(=文字と絵・図形が組み合わされた商標、または、文字にデザインが加えられた商標)」があります。 「標準文字」制度とは 文字商標に関連して、日本には「標準文字」の制度があります。 「標準文字」とは、特許庁長官に指定された特定の文字のことです。この特定の文字だけでできている商標は、そのことを願書に記載することによって、特許庁が用意した書体(フォント)で商標出願することができます。 つまり、標準文字だけでできている商標なら、自分で商標の書体を決めたり、商標の画像データを用意したりしなくても、商標出願・登録することができます。 「標準文字」に含まれる文字 標準文字として指定されている文字は、以下のとおりです。 ひらがなカタカナアラビア数字ラテン文字(いわゆるアルファベット。大文字・小文字どちらもOK)一般的な漢字一部の記号(「、」「。」「・」「!」「ー」「~」「&」「@」など) ラテン文字以外の外国語の文字(漢字の簡体字・繁体字、ハングル、ギリシャ文字、キリル文字など)は、標準文字には含まれません。 記号についても、標準文字に含まれているのは一部のものだけとなっています。たとえば、「☆」や「*」、「:」などが含まれている商標の場合、標準文字としては商標出願できません。また、「!」は標準文字ですが、「?」は標準文字ではないので、注意してください。 さらに、以下のルールにも注意が必要です。 商標全体で30文字以下でなければならない空白(スペース)は、連続では使用できない(単独ならOK) 参考:特許庁「商標法第5条第3項に規定する標準文字について」https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/syouhyou_5_3.html ロゴ商標との違い 「ロゴ商標」と言う場合、一般的に、商標の中に文字と絵・図形の両方が含まれているものと、「デザイン化された文字だけ」でできているものとが考えられます。 文字と絵・図形の両方が含まれている商標の場合、商標の中に文字では表現できない要素(=絵・図形)が含まれているわけですから、文字商標との違いは明らかですね。文字ではない要素が含まれるため、標準文字では出願できないことも明らかです。 では、デザイン化された文字だけでできている商標の場合はどうでしょうか? 標準文字で出願する場合、上記のとおり、出願された商標は「特許庁が用意した書体」で表されることになります。つまり、標準文字で商標を出願すると、商標に含まれる文字のデザイン(書体、色、文字ごとの大きさ、など)を自分で指定することはできません。また、出願の時点で商標のデザインを指定しないので、商標が登録された後も、商標のデザインについては自分の権利(商標権)には含まれていないことになります。 つまり、文字のデザインまで商標権で保護したいなら、標準文字ではなくロゴ商標として出願・登録しないといけないってこと? そのとおりですただし、ロゴ商標として登録しても、デザインが一般的な書体の域を出ないものの場合、デザイン自体が保護されていると言えない可能性もあるので、注意が必要です 割と一般的な書体か、よっぽど特殊なデザインか、ってところも、どういうふうに商標出願するかを考えるポイントなんだね 標準文字とロゴ商標、どっちがいい? 標準文字で出願する方がよい商標 以下の場合なら、標準文字で出願することをおすすめします。 色々な書体(明朝体、ブロック体、etc.)で使用する予定の場合特定のロゴは用意しておらず、用意する予定もない場合ロゴに絵や図形は含まれず、文字もそれほど特徴的な書体ではない場合後々ロゴで使用するつもりだが、今はまだロゴデザインが決まっていない場合(※)後々ロゴのデザインは変わる可能性があるが、文字自体は同じものを長く使い続けたい場合 ※後々ロゴで使用するつもりだが、今はまだロゴデザインが決まっていない場合 日本の商標制度は「先願主義(=早く出願したもの勝ち)」なので、他の人が似た商標を先に出願し、その商標が登録されると、自分の商標が使えなくなってしまいます。そのため、ロゴのデザインが完成するのに時間がかかる場合、まずは文字だけでも出願しておくと、他人に先に権利を取られてしまう可能性が低くなります。 ロゴ商標として出願する方がよい商標 以下の場合なら、ロゴ商標として出願することをおすすめします。 標準文字には含まれていない文字・記号を使用したい場合ロゴでしか使用しない予定の場合ロゴのデザインに強い思い入れがある場合ロゴの中に含まれる文字・装飾・図などが強く結びついた(全体の一体性が高い)商標の場合ロゴに含まれる言葉の「識別力」が低い商標の場合(※) ※「識別力」が低い商標 「識別力」とは、商標が持つ、同じ種類の商品・役務(サービス)の市場の中で、その商標が付けられた商品・役務を他人のものと区別させる能力のことです。 例えば、その商品・役務についてこれまで誰も使っていないような言葉や図形でできた商標なら、一目で自分の商品・役務を他人の商品・役務と区別させることができるので、「識別力が高い」ということになります。一方、その業界で慣用されている言葉や、品番・型番に見えるような数字とアルファベットや記号の組み合わせ、「1文字だけ」といった単純すぎる商標は、その商標が付いていても他人の商品・役務と区別することができないので、「識別力が低い」ということになります。 そして、「識別力が低い」商標は、商標登録できません。 そのため、「識別力」を高める方法として、文字だけだったものに図形を加えたり、デザイン化したりする(=ロゴ化する)ことが、しばしば行われます。 ただし、長期間使っていない商標は登録が取り消されてしまう可能性があるので、商標登録は必ず「使用する(予定の)商標」で行ってくださいね。 識別力が低い商標については、下記の記事もご覧ください。 商標登録できない?出願を考える時に注意すべきポイント 「標準文字」とロゴ商標(図形商標)、両方で出願する方がよい商標 例えば、以下のような場合なら、標準文字とロゴ商標の両方で出願することも検討してみてください。 ロゴの中で、図形部分と文字部分に分けられる場合(※)文字の書体が特殊だったり、文字に図形が被っていたりして、意図しているように読まれない可能性がある場合 ※ロゴの中で、図形部分と文字部分に分けられる場合 この場合、図形部分と文字部分それぞれで出願・登録すると、以下のパターンでの使用もすべて登録商標の使用と考えられます。 図形または文字単独での使用図形と文字の上下・左右の配置や、大きさの比率を変えての使用 使用パターンが決まっていなかったり、いろんな形で使いたい!という人にはおすすめの出願方法です。文字部分を標準文字とするかロゴとするかは、上記を参考にしてくださいね。 ただし、商標は「1商標1出願」です標準文字とロゴ商標の両方を出願すると、2件分の出願費用・登録費用がかかりますどのように出願するかは、費用対効果も考慮に入れて決めてくださいね 文字商標を商標登録しよう! 日本では、自分で用意した商標の画像データで商標出願するほかに、「標準文字」として出願する方法もあります。あなたの商標のデザインや使用方法に合わせて、出願する形を決めてくださいね。 当所のオンライン商標調査・出願サービス「Amazing DX®」なら、標準文字でもロゴ商標でも図形商標でも、簡単に商標出願・登録を行うことができます。また、AIと商標専門弁理士がコラボレートしたサービスなので、標準文字とロゴ・図形商標の両方を出願する場合にも、費用を抑えることができます。 Amazing DX®では、オンラインで簡単に指定商品・役務(サービス)が選べます。まずは商品・役務を多めに選んで検索し、調査後に×が出たものだけを外して再検索することも簡単です。 どの商品・役務を選んだらいいか迷ったときは、商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えします。チャットでお気軽にご相談ください。 さっそく商標調査する! Supervisor for the article: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者