商標登録後の「正しい使用」とは? 不使用取消を避ける重要ルール 商標登録後トラブル回避 2022年5月26日 2026年9月14日 Amazing DX Support Team 登録商標って、一度登録しておけば、どんな商品にどんな風に使ってもずっと守られるのかな? 以前登録した商標を、今度は別の新しい商品にも使おうと思っているんだけど、何か問題はある? 実は、商標は「どんな商品にでも使っていい」わけではありません また、せっかく登録しても、3年間まったく使っていないと、他人の請求(不使用取消審判)によって登録が取り消されてしまうリスクもあります 大切な商標を失わないために、まずは法律上の「正しい商標の使用」について、一緒に確認しておきましょう! 商標登録における「使用」の意味 商標における「使用」とは、日常会話で使う「ただ文字やマークを使う」という意味とは少し異なります。 商標制度の本来の目的は、「商標を守ることで、それを使う事業者の『ビジネス上の信用(ブランド)』を守ること」にあります。つまり、商標はビジネスにおいて「正しく使われて初めて価値が生まれる」ものです。 この記事では、商標の実務でよく耳にする「商標的使用」や、少し形を変えて使う場合の「社会通念上同一商標の使用」といった重要な概念について、わかりやすく解説します。 商標法における「使用(商標的使用)」の具体的な定義 商標法第2条では「商標の使用」について細かく定められていますが、日々のビジネスに引き直すと、主に以下の3つのパターンが該当します。 「商標の使用」に該当する代表的なビジネスシーン 商品のケース:商品そのものや、商品のパッケージに商標を表示して販売すること。 サービスのケース:飲食店のスタッフが商標を付けた制服を着て接客したり、商標が描かれた看板を掲げてサービスを提供したりすること。 プロモーションのケース:商品のチラシやパンフレットに商標を載せて配ったり、自社のウェブサイトやECサイトの決済ページに商標を表示したりすること。 新商品のパッケージに商標を載せたり、ホームページに掲載したりする行為は、すべて法律上の「使用」にあたります。 注意!「使用」と認められない3つの落とし穴 どれだけ商標を露出させていても、以下のケースでは法律上の「使用」とは認められません。 「指定商品・指定役務」以外に使っている場合商標権は、登録時に指定した「商品」や「サービス」(指定商品・指定役務)とセットで保護されます。そのため、指定していない全く関係のない商品・サービスにマークを記載しても、その商標を「使用している」ことにはなりません。 個人的に(趣味などで)使っている場合商標はビジネス(業務)において使用するものです。営利・非営利を問わず、事業とは関係のない個人の趣味の範囲でマークを印刷・使用しても、法律上の「使用」には該当しません。 ブランドの目印(識別マーク)として機能していない場合商標には「これは〇〇社の製品だ」とお客様に分からせる力(自他商品等識別機能)が必要です。例えば、単なる「商品説明の文章」の中に普通名詞のようにブランド名を書き連ねただけでは、商標としての使用(商標的使用)とは認められない可能性があります。 「登録商標の使用」と「商標権の効力(独占権・禁止権)」の違い 商標権は、実は「自分が独占して使える範囲」と「他人の使用を禁止できる範囲」で、カバーできる広さが異なります。 以下の表は、ご自身の登録商標と、他人の商標の「同一・類似」による関係性を示したものです。 自分が独占して使える範囲(独占排他権) 登録した商標と「全く同じマーク」を、指定した「全く同じ商品・サービス」に対して、自分だけが独占的に使用できる範囲です。 他人の使用を禁止できる範囲(禁止権) 登録した商標や商品・サービスに「類似する(似ている)範囲」において、他人が無断で使用することを禁止・排除できる範囲です。 ここが重要! 他人の使用を排除できる「類似の範囲(禁止権)」は非常に強力ですが、ご自身が「類似の範囲」だけで商標を使っていても、法律上は「登録商標を正しく使用している」ことにはなりません。 前述の通り、登録商標を「継続して3年間」日本国内で使用していない場合、他人の請求(不使用取消審判)によって商標登録が取り消されてしまう仕組みがあります。 もし「使っていない」と疑われてこの審判を起こされた場合、商標権者は「きちんと指定商品に登録商標を使っています」という証拠(領収書、カタログ、ウェブサイトの画面など)を提出して立証しなければなりませんが、「きちんと指定商品に登録商標を使っている」と認められるのは、上記「自分が独占して使える範囲」で使用していた場合に限られます。 つまり、不使用による取消を防ぐためには、登録した「全く同じ商標」を、指定した「全く同じ商品・サービス」に対してきちんと使用している実績が必要不可欠なのです。 商標の禁止権については、下記の記事でくわしく説明しています。 商標の禁止権とは? どこまでが「同じ商標」と認められる?「社会通念上同一の商標」のルール とはいえ、実務においては、登録した時とまったく同じ商標を使うのが難しい場合もあります。 そこで、商標法には、登録商標と完全に一致していなくても、「社会通念上、同じ商標である(社会通念上同一)」と認められる範囲の変更であれば、例外的に不使用取消を免れることができるルールが設けられています。 「社会通念上同一」と認められやすい例(文字種や書体の変更) 書体(フォント)のみの変更(例:明朝体からゴシック体への変更) 文字種(ひらがな、カタカナ、ローマ字、漢字)のみの変更(例:「さくら」 ⇔ 「サクラ」 ⇔ 「SAKURA」)※ただし、発音(称呼)や意味(観念)が完全に一致している場合に限ります。 同一と認められない(異なる商標と判断される)リスクがある例 文字種を変えたことで、言葉の意味(観念)が変わってしまう場合 複数のマークや文字を組み合わせた「結合商標」において、一部の要素を大幅に変更・削除した場合 せっかくの登録商標を取り消されないためにも、「今使っている商標は、登録した商標と変わりすぎていないか?」を定期的に見直し、使用している実績(日付や商標が確認できるパンフレットや納品書など)を証拠として保管しておくようにしましょう。 なるほど!商標登録したからといって、指定した商品とは別の商品に使っていたり、ロゴのデザインを大きく変えたりしていると、せっかくの権利が取り消されちゃうリスクがあるんだね 今うちが使っている状態が、ちゃんと「商標の使用」になっているか、もう一度見直してみるよ! 商標登録後の使用についてのまとめ 商標の使用は、登録したものと同じ商標を、登録時に指定したのと同じ商品・役務に使用することが重要です。 登録している「商標」や「指定商品・サービス(指定商品・役務)」と、実際にビジネスで使用している「商標」や「商品・サービス」が一致していない場合、せっかくの商標権で自社ブランドを守ることができなくなったり、最悪の場合は他人の請求によって商標登録が取り消されてしまったりする重大なリスクが生じます。 もし、現在の使用状況を見直した結果、登録内容と実際の使用状況が一致していない(または、新しく別の商品にも同じ商標を使い始めている)ことが分かった場合は、そのまま放置せず、速やかに「新たな商標出願」を行うことが推奨されます。 Amazing DX®では、商標調査・出願・登録の手続が、オンラインで簡単・リーズナブルに行えます。経験豊富な商標専門弁理士に相談することもできるので、商標の手続に不慣れな方にも安心です。 まずは、無料の商標検索からお試しください! 商標出願の前にリスクを回避しましょう! リスクを事前に確認しませんか?商標検索することで、競合他社や既存の権利者との衝突リスクを減らせます。 まずは、商標とヨミガナを入力し、特許庁に出願されている商標を無料で検索してみましょう。 商標 : ヨミガナ: 無料で商標検索する この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者