これがないと移転登録申請できない?!「譲渡証書」について

商標権を譲り受けることになったから、移転登録申請の手続きを調べているんだけど、「譲渡証書」が必要みたいなんだ。それってどんな書類なんだろう?
「譲渡証書」は、移転登録申請書と同時に特許庁への提出が必要な、重要な書類です。不備があると、補正指令が出たり却下になってしまうおそれもありますので、手続き前に確認してくださいね

【譲渡による移転登録】の場合、「譲渡証書」が必要です。
どのような内容が記載されていればいいのか、この記事でご説明します。

「移転登録申請」については、以下のガイドページをご確認下さい。

譲渡証書とは

商標権を含む知的財産権は、他人に譲渡することができます。
他人に譲渡する場合に特許庁に「移転登録申請書」を提出しますが、提出の際に、「A社からB社に権利を譲渡した」ことを証明する書面を添付します。これが「譲渡証書」です。

権利の一部を譲渡する場合は「一部譲渡証書」、共有の権利のうち、一部の共有者が持分を譲渡する場合は「持分譲渡証書」になります。

また、出願中の商標についても譲渡によって商標登録出願により生じた権利を移転することができます。この場合、「出願人名義変更届」とともに「譲渡証書」を特許庁に提出します。

譲渡証書の記載方法

特許庁ホームページに、譲渡証書の記載例があります。
作成様式の細かい決まりはありませんので、下記を見本に、ご自身で作成することが可能です。
「特許権の場合」として載っていますが、「特許番号 第〇〇〇〇〇〇〇号」のところを商標の登録番号に変更すれば、その他の記載事項は同じです。

参考:特許庁「移転登録申請書」<譲渡証書記載例:特許権の場合>

※ 印紙:
「収入印紙」を貼付し、割印を押します。印紙代は、譲渡に係る金額に応じて異なりますので確認して下さい。

※ 原本の提出:
原本の提出が必要です(特許庁提出用に作成したものでよい)。
コピーを提出する場合は、公証人による「原本と相違ない」ことの証明が必要です。

※ 日付:
譲受人および譲渡人が、商標権を譲渡したことを証明した日付を記入します。日付の記載がない場合、作成日が譲渡日や有効日とみなされます。

※譲受人の情報:
・住所(居所)
・氏名(名称)
・代表者名

※ 商標登録番号:
譲渡証書に係る商標権の商標登録番号を「第〇〇〇〇〇〇〇号」のように記入して下さい。

※ 譲渡人の情報:
・住所(居所)
・氏名(名称)
・代表者名

特許庁では、業務の効率化等の面から、様々な手続において押印が不要となっていますが、譲渡証書について、譲渡人による押印は存続することとなっています。記載した代表者の方 の、代表者印を押印して下さい。なお、この代表者印は、過去に同一の法人が特許庁に対し申請等を行ったことがある場合には、その際に使用した印鑑と同一の印鑑を使用しなければなりません。

単独申請について

移転登録の申請は、原則として、登録権利者(権利を譲り受ける者)及び登録義務者(権利を譲渡する者)の共同申請により行うこととされています。
ただ、一般的に、登録権利者が手続きを行うことも多いです。
登録義務者による「登録権利者が単独で申請を行ってよい」旨の承諾書(単独申請承諾書)を添付したときは、登録権利者の単独申請が認められます。

そして、この承諾は、譲渡証書に含めることも可能です。
単独申請の承諾が得られている場合には、上記の譲渡証書に「移転登録申請を、貴社が単独ですることに、異議なくこれを承諾します。」のような一文を加えましょう。

参考:特許庁「単独申請について」<単独申請承諾付譲渡証書作成例:特許権の場合>

もちろん、別途「単独申請承諾書」を作成し、譲渡証書とともに移転登録申請書に添付するのでも構いません。


単独申請承諾書の様式見本(2. 移転関係様式(11)その他 a.)
【参考:特許庁「単独申請について」

その他の手続き上の注意事項

・代理人により手続する場合
申請書の記載や必要な書面が変更・追加されます。代理人が作成する書面で手続を行うのが無難です。

・添付書面を外国語で提出する場合
原文に加えて、日本語の訳文の提出が必要です。

・書類の援用により添付書面の提出を省略する場合
同時に二以上の登録の申請をする場合で、各申請書に添付する書面の内容が同一である場合や既に提出してある書面を援用し、添付書面の提出を省略する場合は、以下のように記載する必要があります。

(1)○○○○   1通
なお、当該書面は、同日付(又は令和○年○月○日付)提出の特許第○○○○○○○号に係る特許権の移転登録申請書に添付した○○○○を(その内容に変更がないので)援用し、省略する。

移転登録申請には欠かせない書類なんだね!記載内容もきちんとしなければいけないね。漏れがないか、一度弁理士さんに確認してもらおうかな

まとめ

「譲渡証書」はご自身で作成が可能な書類ですが、作成には慣れていない方がほとんどかと思います。また、記載内容に不備があり補正指令が出れば、さらなる労力も費用も生じます。
手続きに不安をお持ちの方は、譲渡証書の作成・確認から移転登録申請手続きまで、当事務所の商標専門の弁理士にお任せください。お問い合わせフォームよりお気軽にご相談が可能です。

supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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