商標出願の受付時間はいつまで?出願書類提出方法別に解説

商標出願急ぐべき?

商標の出願書類を特許庁に直接提出しに行きたいんだ!何時まで受け付けてもらえるかな?

どうしたんですか。ここからだと、特許庁まではかなり遠いですよ。

似たような商標が別の人から出願されるかもしれなくて、急いでるんだ。その人より一分一秒でも早く出願しないと!

それは大変ですね。けど、そこまで急がなくてもよいかもしれません。

出願書類を提出する方法によって、出願日が変わってくる可能性がありますので、この記事で説明します。
また、出願した時間が早いか遅いかが、出願の先後願に関係あるのかについても解説します。

なお、出願から登録までにどれくらい時間がかかるのかや、審査期間を縮める方法(早期審査、ファストトラック制度)等について詳しく知りたくてこのページにたどりついた方は、こちらの記事を参照ください。

商標登録までにかかる期間とは?出願からどれくらいで登録になる?

商標出願書類を特許庁へ提出する方法

直接持参

受付時間

特許庁へ直接出願書類を持参する場合、以下の時間帯に書類を提出することができます。

土曜日・日曜日・祝日・年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)は、閉庁しているため、特許庁の窓口では出願することはできません。

また、特許庁へ入館する際には、一時通行証が必要になります。特許庁から一時通行証を貸与してもらうには、受付票を記入したり、手荷物検査や身分証の提示などが必要になります。
出願書類を特許庁に直接提出しに行く場合は、時間に余裕を持って行くようにしてください。
身分証明書(マイナンバーカード(個人番号カード)、運転免許証、社員証、住民基本台帳カード、学生証、パスポート等)を忘れずに持って行ってください。

特許庁窓口で手続する方へ

受付場所

入館受付は南口(正面玄関の方です)で行われます。東口ではないので、お気を付け下さい。

特許印紙も、特許庁庁舎1階で販売されています。

特許庁へのアクセスはこちらをご確認ください。
特許庁へのアクセスと入館案内について

郵送

宛先

宛先住所はこちらで確認ください。
郵送等で手続する方へ

方法

封筒に出願書類を入れ、朱書きで「商標出願関係書類在中」と記載してください。
出願書類は折ってもよいですが、「商標登録を受けようとする商標」の部分(商標を書いている部分)は折らないようにしてください。

特許印紙は、中央郵便局などの大きめの郵便局には置いている可能性が高いです。
その他の郵便局ですと置いていない場合があるので、電話で事前確認することをお勧めします。

郵便又は「民間事業者による信書の送達に関する法律」に定められる「信書便」で送る必要があります。(それ以外でも送ることは出来ますが、後の「出願日はいつになる?」に記載の通り、出願日が後ろ倒しになります。)

郵便又は信書便とされているもの

郵便又は信書便とされないもの

電子出願

方法

自分自身で電子出願をする環境を整えるのは一苦労です。

専用のソフトウェアや電子証明書が必要になりますので、電子出願できる環境を整えるまでに日数がかかります。
しかし、色々なメリットがありますので、興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。

商標登録もオンラインで!電子出願の仕組み

また、ほとんどの特許事務所では、電子出願の設備が整っています。電子出願をされたい場合、特許事務所に依頼するのが手っ取り早いでしょう。

出願日はいつになる?

直接持参する場合

窓口で提出した日が、基本的に出願日となります。

郵送で手続する場合

特許法第19条には以下のように記載されています。

第十九条 願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号。以下この条において「信書便法」という。)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第二条第三項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。

つまり、郵便又は信書便で郵送した場合、郵便局へ差し出した日が出願日として扱われます。

但し、郵便局で押された消印(日付印)が不明瞭で日付が判別できない場合には、特許庁に到達した日が出願日として扱われます。
ポスト投函では投函口から盗まれる可能性も有りますので、郵便局に持って行って窓口で手続きした方が安心でしょう。

郵便又は信書便とされないもので郵送した場合、特許庁に到達した日が出願日として扱われます。

なお、国際出願関係書類(国際段階)は、何で郵送するかに関わらず、特許庁に書面が到達した日が書面の提出日となります。

電子出願する場合

電子出願の操作を行った日が、出願日として扱われます。

電子出願は、24時間出願が可能です。
また、土曜日・日曜日・祝日も関係なく、出願することができるので便利です。

書類を中央郵便局に持って行って、簡易書留で郵送してもらってください。
そうしたら、出願日が今日になりますよ。

なるほどね、中央郵便局なら窓口も遅くまで開いているし、土日も営業していたりするから、間に合うかもしれない。

ただ、出願書類を漏れなく記入してくださいね。今日、郵便局に持ち込めたとしても、書類に不備があれば出願日が繰り下がることがありますよ。

出願日が繰り下がる時

商標出願の出願日の認定については、商標法第5条の2に規定があります。

第五条の二 特許庁長官は、商標登録出願が次の各号の一に該当する場合を除き、商標登録出願に係る願書を提出した日を商標登録出願の日として認定しなければならない。
一 商標登録を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
二 商標登録出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が商標登録出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
三 願書に商標登録を受けようとする商標の記載がないとき。
四 指定商品又は指定役務の記載がないとき。
2 特許庁長官は、商標登録出願が前項各号の一に該当するときは、商標登録を受けようとする者に対し、相当の期間を指定して、商標登録出願について補完をすべきことを命じなければならない。
3 商標登録出願について補完をするには、手続の補完に係る書面(以下「手続補完書」という。)を提出しなければならない。
4 特許庁長官は、第二項の規定により商標登録出願について補完をすべきことを命じた者が同項の規定により指定された期間内にその補完をしたときは、手続補完書を提出した日を商標登録出願の日として認定しなければならない。

つまり、商標出願書類の重要部分が記載されていなかったり、明確でなかったりした場合、特許庁から手続補完書を提出するように連絡が届きます。
手続補完書の提出によって、商標出願書類の瑕疵が解消されたのであれば、手続補完書提出の日が出願日となります。

マドリッド協定議定書による国際出願の場合は、また別の定めがありますが、ここでは割愛します。

同日に同じ商標出願があったらどうなる?

商標法8条にはこのように記載されています。

第八条 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
2 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
3 商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
4 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。
5 第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。

同一・類似の商標が、同一・類似の商品・役務について、別日に出願された場合、先の日に出願した人が商標登録を受けることができます。

一方、同日に出願された場合、出願人同士で協議を行い、そこで決まった出願人のみが商標登録を受けることができます。
協議が成立しなかった時などは、くじによって商標登録を受けることができる人を決めます。

同日なら「出願時」の早い遅いは関係なく、協議をしてどちらが商標登録を受けるのか決めることになるんだね。

そうです。商標出願の場合、他人より一分一秒でも早く出願する必要はないです。今日中に出願できればいいと思いますよ。

くじ

特許法では、同日出願の協議が不成立だった時には、いずれの特許出願人も特許を受けることができないとされています(特許法第39条第4項)。

一方、商標法では、いずれの商標出願人も商標登録を受けることができないとすると、その後に同様の商標を出願した者が登録を受けることになってしまい不合理であるため、くじで決めることとされています。

同じようにくじで先後を判断する立法例としては鉱業法がありますが、くじで決めるというのは、かなり珍しい規定です。

特許庁では、商標出願の先後を決するため、毎年5~10件程度、くじが実施されているそうですよ。

くじについてもっと知りたい方は、特許庁ホームページにある商標審査便覧に詳しいルールや事例が紹介されていますので、確認してみてください。
44.01商標法第8条第5項に規定するくじの取扱い
44.02複雑な競合関係にある商標法第8条第5項に係る「くじ」の実施方法について(審査事例)

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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