商標出願の優先権主張とは? 日本出願と外国出願について

日本でした商標出願を、外国にも同じもので出願しようかと考えているんだ。外国でも早く出願した人に権利が与えられるのなら、今直ぐ出願しないといけないよね?
日本出願の優先権を主張して外国へ出願すると、「日本に出願した日に出願したものとして取り扱う」という制度があります。
ただし、優先権を主張するためには、決められた要件を満たす必要があります。詳しくご説明しますよ。
目次 Index
  1. パリ条約による優先権主張
  2. 外国出願の優先権を主張して日本特許庁へ商標出願する
  3. 日本出願の優先権を主張して外国の特許庁へ商標出願する
  4. まとめ

パリ条約による優先権主張

日本から外国へ商標出願をする場合、また、外国から日本へ商標出願をする場合、「パリ条約による優先権の主張」について検討が必要な場合があります。

パリ条約とは、特許権や商標権等の工業所有権の保護を目的として定められた国際条約です。

正式には「千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約」といいます。

このパリ条約の中で記載される「優先権制度」は、簡単に説明すると次のとおりです(パリ条約第4条)。

いずれかの同盟国において正規に商標の登録出願をした者又はその承継人は、商標については6カ月の期間中、優先権を有します。
この優先権期間中に他の同盟国に対して同一の内容で出願をし、優先権の申立てをすると、その他の同盟国において、第1国出願時に出願したものとして取り扱われます

優先権期間は、商標と意匠は6カ月ですが、特許と実用新案については12カ月です。

この条約は、パリ条約の同盟国の国民に対してだけ適用されます。
ただし、同盟に属しない国の国民であっても、いずれかの同盟国の領域内に住所または営業所があれば、同盟国の国民とみなされます。(パリ条約第3条)

外国出願の優先権を主張して日本特許庁へ商標出願する

特許庁の審査基準には、パリ条約による優先権の主張を伴う商標登録出願について、以下のとおり記載されています。

(1) 優先権主張について
以下(ア)から(ウ)の要件を満たすものと認められる場合には、優先権の主張が適正であると判断する。
(ア) 優先権主張を伴う商標登録出願の出願人が、優先権証明書に示された出願人と同一人又はその承継人であること(パリ条約4条A(1))
(イ) 優先権主張を伴う商標登録出願の願書に記載された商標と、優先権証明書に記載された商標が一致すること
(ウ) 優先権主張を伴う商標登録出願に係る指定商品又は指定役務の全部又は一部が優先権証明書に示された指定商品又は指定役務に含まれていること

※優先権の主張が適正であると特許庁に認められない場合には、その出願は、優先権を主張しない通常の出願として審査が行われます。

(2) 優先権主張を伴う商標登録出願の効果について
優先権の主張が適正であると認められるときは、以下の規定の適用にあたり、当該商標登録出願が第一国出願の時にされたものとして取り扱う。
(ア) 第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)
(イ) 第8条(先願)

※最初の出願から日本への商標出願までの間に、第三者が同一・類似の出願をしても、その出願は排除されて審査が行われます。

願書には、優先権主張の内容として、最初の出願の国名、出願日、出願番号を記載します。
【パリ条約による優先権等の主張】
【国・地域名】
【出願日】
【出願番号】

出願人が同盟国の国民ではない場合、願書に、同盟国の領域内にある住所、営業所の住所を記載する必要があります。

優先権証明書の提出期限は、日本出願から3ヶ月以内と定められていますので、ご注意ください。

優先権証明書は、最初の出願国から入手し、書面の原本を特許庁へ提出します。
第一国が欧州連合知的財産庁などの所定の特許庁の場合、当該特許庁が提供するPDF形式の出願謄本等の証明書を優先権証明書として特許庁へ提出することも可能です。

なお、特許出願、実用新案登録出願、及び意匠登録出願では、優先権書類の「電子的交換(世界知的所有権機関のデジタルアクセスサービス(DAS)を利用等)」の手続が可能ですが、商標登録出願では認められません。

また、優先権主張のために特許庁へ支払う料金はありません。

日本出願の優先権を主張して外国の特許庁へ商標出願する

外国へ商標出願する場合には、直接希望する国へ出願する方法(直接出願)と国際商標出願(マドプロ出願)がありますが、そのいずれの方法でも、日本出願の優先権を主張することが可能です。

優先権主張が認められた場合、日本の出願から外国出願までの間に、第三者が同一・類似の出願をしても、その出願は排除されて審査が行われます。

外国への商標出願は、英語等のその国の言語で記載する必要がありますが、日本出願と同一の内容でなければなりません。

外国へ出願する場合には、日本特許庁から優先権証明書を入手し(特許庁手数料(オンライン)1,100円)、出願国の特許庁へ提出します。

世界中のほとんどの国がパリ条約の加盟国ですので、多くの国で、日本出願の優先権主張を伴う出願が可能です。

国によっては、特許庁へ支払う出願料金に加えて、優先権主張するための料金が設定されている国もあります。
加えて、優先権主張に伴い、現地代理人の費用が追加で発生する場合があります。

なお、台湾はパリ条約には加盟していません。
但し、相互主義により、日本・台湾間の出願にパリ条約に基づく優先権主張をすることは可能です。

優先権を主張して外国に出願すると、メリットがあるんだね。検討した方がよさそうだな。

まとめ

優先権主張を伴う商標出願を日本特許庁に行う場合には、優先権主張は必ず出願時にその点を記載しなければなりません。出願した後に優先権を主張することはできませんので、注意が必要です。
また、出願内容は基礎となる出願同一でなければなりませんので、最初の出願時に、出願する各国で対応できるよう、出願内容を検討した方がよい場合があります。

当事務所は、パリ優先権主張を伴う外国への商標出願を数多く扱う特許事務所です。
優先権主張を伴う商標出願を行いたい、或いは、商標出願の優先権主張に関して疑問点があれば、お問合せフォームからご相談・お問合せ下さい。商標専門の弁理士がご対応いたします。

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Supervisor for the article:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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