商標出願で多くの区分や商品サービスを指定することの利点や弊害

商標出願を考えているけど、どんな商品とサービス選んだら良いのかよく分からないなぁ…
もしちゃんと選べていなかったら嫌だから、とりあえず好きなだけ選んでみようかな?
多くの商品・サービスを指定すれば、それだけ権利範囲が広くなりますが、一方でデメリットもあります。
以下で詳しく説明しますので、ご確認の上、ご自身にあった商品・サービスを指定することをお勧めします。

商標における商品・サービスについて

商標出願においては、使用する商標(ブランド名やロゴマークなど)以外にも、どんな商品やサービスにその商標を使用するのか、ということを選ぶ必要があります。

商標出願の手続きにおいては、様々な商品やサービスが「区分」によって1から45まで分類されています。

出願人は使用する商標に加えて、それらの中から使用する具体的な商品・サービスとその区分を指定して、商標出願します。

■区分と商品・サービスの指定例
(例)区分の指定例:第5類(薬剤や獣医科用剤などの商品を含む区分)
   商品の指定例:薬剤,ガーゼ,ばんそうこう,包帯

好きなだけ商品・サービスを指定することのメリット・デメリット

基本的には、上記の1から45の区分の中から、ご自身のビジネス(開発・製造する製品や提供するサービス)に合った区分と商品・サービスを指定すれば問題ありません。

ただし、多くの商品・サービスを指定することには、メリットもあればデメリットもありますので、ご注意ください。

メリット

多くの商品・サービスを指定して、商標登録をし、商標権を取得することができれば、それだけ権利範囲も広くなるというメリットがあります。

また、指定する商品・サービスの数が多くなってしまったとしても、きちんとご自身のビジネスを考慮して指定した結果であれば問題ありません。

むしろ、少なく商品・サービスを指定してしまったがために、ご自身のビジネスをカバーできないという問題が生じてしまう恐れがあります。

将来行う予定の事業も考慮して、必要な(ご自身のビジネス・業務に属する)商品・サービスはしっかりと指定しておくことをお勧めします。

デメリット

しかし、中にはどの区分を選んで良いのか分からず、商品とサービスを好きなだけ指定しようとする方もいるかもしれません。

ご自身のビジネスを考慮せず、ただ闇雲に商品・サービスを指定することには、例えば以下のようなデメリットがあります。

お金がかかる

商標を出願するためには、特許庁に「印紙代」を支払う必要があります。

この印紙代は区分数によって増減するため、たくさんの区分を指定すれば、それだけ出願のための料金も高くなってしまいます。

※弁理士に商標出願を依頼するという方法を取られる場合、弁理士費用も同様に高くなる可能性があります。

「区分」と「費用」の関係については、以下のガイド記事もご参照ください。
・「商標登録の「区分」と「費用」の関係は?

他の登録商標と抵触してしまうリスクが高くなる

日本の商標法では、既に出願・登録されている商標と同じか、あるいは似ている商標は登録できない場合があります。

その場合とは、「指定している商品・サービスも同じか、あるいは似ている場合」です。

闇雲に多くの商品・サービスを指定するということは、それだけ商品・サービスの範囲が広くなるということです。

そのため、多くの商品・サービスを指定すれば、それだけ審査において、既に出願・登録された商標に引っかかってしまう可能性も高くなってしまいます。

後々取り消されてしまうリスクが高くなる

日本の商標法では、一定期間使用していない商標は、第三者からの取消審判請求の対象となります。

ここでいう「使用」には、単に商標を使用しているだけではなく、指定した商品やサービスに商標を使用していることが要求されます。

闇雲に商品やサービスを指定した場合、実際にはご自身で製造等を行っていない(あるいは行う予定のない)商品やサービスを指定してしまうということもあるかと思います。

そのため、ご自身のビジネスを考慮せず商品・サービスを指定すれば、取消審判請求をされてしまうリスクも高くなってしまいます。

商標の使用については、以下のガイド記事もご参照ください。
・「商標登録 商標の使用とは

1つの区分の中でたくさんの商品・サービスを指定した場合、どうなるか

1つの区分の中で闇雲に商品・サービスを指定した場合、先行商標との抵触や取消しのリスクに加えて、以下の理由で拒絶されてしまう恐れもあります。

商標出願で指定できる商品・サービスには、それぞれ「類似群コード」というものが割り振られています(例えば、第5類の「薬剤」には「01B01」と「01B02」という2つの類似群コードが割り振られています)。

この点、多くの商品・サービスを指定した結果、この類似群コードの数が1つの区分の中で「23以上」(重複するコードを除く)となった場合、本当にそれらの商品・サービスを使用するのかが疑わしいとして、商標出願が拒絶されます(第35類の小売等役務の類似群コードについては、重複しないコードの数が「2以上」で拒絶されます)。

【参考情報】特許庁「商標審査便覧41.100.03」(PDFリンク

区分や商品・サービスの選び方

上記の通り、闇雲に商品・サービスを選ぶことにはそれなりのデメリットがあるため、ご自身のビジネスを考慮して指定されることをお勧めします。

また、既に述べた通り、ご自身のビジネスを考慮した結果、商品・サービスの数が多くなってしまうことについては問題ありません。
※ただし、先行商標との抵触のリスクはどうしても高くなってしまうため、可能であれば事前の商標調査をお勧めします。Amazing DXでは、こちらのページより無料で先行商標の検索ができますので、是非ご利用ください。

Amazing DXでは、どの商品・サービスを指定すれば良いのか分からないという方に向けて「区分別解説」という記事があります。

商標ガイドページのサイト下部に区分別解説へのリンクがありますので、是非ご覧になってください!

闇雲に商品・サービスを選ぶことはあまり良くなかったんだね…
解説記事を読んで、自分にあった商品やサービスを考えてみるよ!
お役に立てて良かったです!
指定する商品やサービスが多くなってしまったとしても、ご自身のビジネスに関連するものであれば、それは必要な指定であると考えられます。
その他にも、弁理士などの専門家にどの商品やサービスを選ぶか相談するというのも良いと思います。
Amazing DXではチャットで簡単に相談することができます。経験豊富な弁理士が回答しますので、是非ご活用ください!
分かったよ!
ありがとう、DXくん!
supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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