商標の分割出願とは? 使用するケース・注意点について解説

早く登録にしたい商標出願だったのに、拒絶理由通知が来ちゃったよ。
もちろん対応はするけど、権利化が遅れるのは困るなぁ。
拒絶理由があるのは一部の指定商品だけですか?
なら、分割出願することで、大事な部分だけ早く権利化できるかもしれませんよ。

この記事では、商標の分割出願の要件や効果、分割出願する際の注意点について解説します。

目次 Index
  1. 商標の分割出願とは
  2. 分割出願のメリットとデメリット
    1. 分割出願のメリット(分割出願を使うケース)
    2. 分割出願のデメリット
  3. 商標の分割出願の効果
  4. 商標の分割出願の要件
    1. 主体的要件
    2. 時期的要件
    3. 手続的要件
  5. 商標の分割出願をする方法
    1. 商標登録願を新たに作成する
    2. 削除補正
    3. 拒絶理由のある商品とない商品、どちらを分割すればいい?
  6. 拒絶理由通知への対処に慣れた弁理士を選びましょう
    1. 困ったときは弁理士にご相談ください!

商標の分割出願とは

商標の分割出願とは、すでに出願した商標の、指定商品・役務の一部を分割して新しい出願にすることです。このとき、「すでに出願した商標」の方を、「原出願」といいます。

divisional application Fig1
分割出願のイメージ

区分の一部を別出願にすることもできますし、区分ごと分割することもできます。
区分数に応じて費用が変わるのは、通常の商標出願と変わりません。

※ 分割できるのはあくまで指定商品・役務のみです。
標章(マーク)は分割できませんので、たとえば二段書きの商標を上下バラバラの出願にできるわけではありません。

※ 商標登録後の分割移転とは別の制度です。

分割出願のメリットとデメリット

分割出願のメリット(分割出願を使うケース)

分割出願を使うオーソドックスなケースは、

です。

特に、問題のある指定商品・役務について、多数の証拠を提出したり、先願権利者と交渉したりすると、権利化までに時間がかかる場合があります。
そんなとき、問題のない商品・役務とは別の手続にしてしまうことで、部分的に権利化を早めることができます。

分割出願のデメリット

分割出願のデメリットは、手続が2つになるので、管理の手間や費用が2倍になるということです。
分割出願の費用は、通常の商標出願の場合と同じです。

一度原出願と分割出願の両方が登録に成功して、それらの商標を長く使う場合は、
更新するのではなく、両方の指定商品・役務を含む新出願を再出願するのも一つの方法です。

商標の分割出願の効果

分割出願した商標については、原出願の時にしたものとみなされます(商標法第10条第2項)。
つまり、最初の出願の時点から、「他社出願より先願である」という地位を押さえておけるということですね。

商標の分割出願の要件

主体的要件

商標登録出願人は、出願分割することができます。

時期的要件

商標の分割出願は、以下のどちらかの場合にすることができます。

手続的要件

商標の分割出願をする方法

商標の分割出願をするには、どんな手続をとればいいのでしょうか。

商標登録願を新たに作成する

まず、分割出願については、通常の出願と同様に商標登録願を作成し、
【提出日】の上の行に【特記事項】    商標法第10条第1項の規定による商標登録出願と記載します。

【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】の項目に、分割する指定商品を記載します。

削除補正

分割出願と同時に、原出願から、分割出願した商品・役務役務を削除する補正をしなければいけません。(商標法施行規則 22 条 4 項)
「手続補正書」を作成して、新出願の【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】に記載した商品を、原出願の【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】から削除します。

分割出願の願書と、手続補正書は、同時に提出します。

divisional application Fig2
分割と同時に補正

拒絶理由のある商品とない商品、どちらを分割すればいい?

拒絶理由を回避するために分割出願を行う場合、拒絶理由のある商品・役務と、拒絶理由のない商品・役務のどちらを分割すればよいでしょうか?

拒絶理由のある商品とない商品があるなら、分割すれば拒絶理由のないほうを早く登録できるのはわかったけど、
拒絶理由のある商品と、拒絶理由のない商品のどちらを分割すればいいのかな?

「商標出願が審査、審判、再審に係属しているとき」には、拒絶理由のある指定商品・指定役務を分割すると、権利化がスムーズです。
拒絶理由がない指定商品については、すでに審査上で拒絶理由が発見されていないことが分かっているため、そのまま登録される可能性が高いです。

ただし、「商標出願についての拒絶審決を取り消す訴訟が裁判所に係属していて、出願手数料を支払い済みのとき」には、拒絶理由のないほうを分割する必要があります。
これは、商標出願についての訴訟が裁判所に係属しているときには、削除補正ができないので、拒絶理由のある方の指定商品を元の出願から消すことができないからです。
(eAccess事件(最高裁判平成16年(行ヒ)第4号,平成17年7月14日第一小法廷判決))

拒絶理由通知への対処に慣れた弁理士を選びましょう

商標の分割出願は、補正と同時に行う必要があります。
オンライン出願環境を備えた特許事務所に依頼すると、スムーズに手続を行うことができます。

拒絶理由に対して意見もしないといけないし、
分割が必要かどうかも含めて専門家に判断してもらったほうがいいね。

Amazing DXは、1976年創業の大手特許事務所「HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK」が運営しています。
もちろん、分割出願の経験も豊富ですので、拒絶理由通知を受けてお困りの場合はご相談ください。

困ったときは弁理士にご相談ください!

商標のことで、ひとりでお悩みではないですか?

困ったことがあれば、ぜひ経験豊かな弁理士にご相談ください!

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Supervisor for the article:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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