特許、意匠、商標など、デザインを保護する権利の違いとは?

デザインに権利は発生する?

よーし、渾身の商品を開発したぞ!商品名もロゴにしてパッケージも万全だし、なんといっても商品の形が画期的だ!キャラクターも用意して、後は世に出すだけ・・・
そういえば、商品のデザインについて、権利保護はお済みですか?世に出す前に権利を保護しておかないと、後で大変なことになるかもしれませんし、ビジネスのチャンスを逃してしまうかもしれませんよ。
ええ!?デザインってこの商品の形のこと?これって何か権利があるの?
商品そのものの形だけではなく、パッケージやロゴなど、全てのデザインについて権利保護を受けることが可能です。具体的にデザインにどういった権利が発生するか、確認しましょう。

この記事では、商品に関わる様々なデザインの権利について、解説いたします。

デザインを保護する必要性

現在、デザインは世の中に溢れかえっています。広告、雑誌、ポスター、WEBサイトから商品の形、画像、はたまた建物まで、全てデザインと呼べるものが使用されています。1つの商品を手に取ってみると、そうした様々な種類の異なるデザインがまとまりよくひとつに構成されていることがわかります。
こうしたデザインは商品やサービスの市場価値を左右するものとなります。見た人に与える印象を操作するものがデザインとなるためです。一方、こうしたデザインは外観を構成することから、多数の目に触れることとなり模倣される可能性も高くなります。
もしせっかく用意したデザインが他人に模倣されてしまうと、デザインの模倣者に利益を横取りされてしまう事態になりかねません。そうすると、本来のデザインの創作者である企業が開発コストを回収できない、ということにも繋がります。
その上、模倣と本物の区別がつかなくなり本物の価値が下がる、模倣品が出回り過ぎて本物の方がデザインの変更を余儀なくされるなど、デザインの創作者に多くの不利益が生じます。そのため、こうした事態を可能な限り防ぐために、デザインを創作した人の権利を保護し、デザイン保護行う必要があるのです。

デザインを保護する知的財産権

デザインを保護する権利は1つではなく、デザインの種類によって様々です。それぞれの権利と保護の対象となるデザインについて紹介いたします。

意匠権

意匠とは、「物品の美的な外観」を意味します。意匠権とは、商品の見た目のデザインの権利です。例えば、歯ブラシの形や商品のパッケージ、また店舗の外観や内装、商品が表示する画像等も、意匠権の対象です。

意匠に係る物品:携帯用電子計算機
意匠登録第1523645号
意匠権者:任天堂株式会社

意匠に係る物品:書店の内装
意匠登録第1671152号
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

商標権

商標とは、「自社の商品やサービスと、他社の商品やサービスを区別する『マーク』」のことを意味します。会社の名前や商品の名前に対する権利です。文字やロゴデザイン、図形の他、キャラクターの造形や音楽、立体、はたまた色の組合せなど、「会社名」「商品名」といっても様々な態様のものが商標権の対象となります。

商標権の対象となるマークについては、以下の記事もご参照ください。

特許権

特許権の対象は「発明」です。発明とは、「自然法則を利用した技術的思想のうち高度のもの」と定義されています。非常に抽象的ですが、要は「自然科学的な法則に則った、他の人には考えもつかない技術的な思いつき」のようなものです。こうした発明には「方法の発明」と「物の発明」の2種類に分類されており、新しいデザインにおいて今までの課題が解決されるような発明は「物の発明」に分類されます。

発明の名称:杓子その他の調理器具
特許登録第3634720号
株式会社曙産業

実用新案権

実用新案権の保護の対象は「考案」となっています。考案とは「物品の形状などに具現化された技術的思想の創作」のことを指します。この考案の定義には、発明の定義にある「高度のもの」という制限がなく、つまり特許権が対象とする発明とまではいえないようなちょっとしたアイデア・思いつきを保護しようとするものです。

考案の名称:清掃用具
実願平1-99236
花王株式会社

著作権

著作物というのは、創作的に表現された美術的な作品のことを意味します。文芸や美術、音楽、舞踊、建築、映画やプログラムなど、創作性が認められる表現については全て著作権が発生します。
他のデザインに関する権利は特許庁に出願を行い、審査を経たうえで権利が付与される制度となっている一方、この著作権については作品を創作するだけで当然に権利が発生します。ただし、本権利の対象はあくまで「美術品」であるため、実用品のデザインについては意匠権や特許権に任せられています。

私たちの造形についても、当然に著作権が発生しており、模倣から保護されていることになります。

適切な権利の種類を選んで、正しく保護を受けよう!

ほとんどのデザインについて権利を得られるのかもしれないんだね!画期的な商品だから模倣されたら大打撃だし、さっそくどこにどういった権利を受ければいいか、特許事務所に相談してみよう。

デザインは様々で、受けられる権利もデザイン毎に異なります。また、戦略的に受けた方が良い権利が異なっていたり、権利を得るのが無理だと思っていても問題なく権利が付与される可能性もあります。こうしたデザインに関する権利保護の専門家は弁理士です。よくわからない、不安な場合は、とりあえず弁理士が所属する特許事務所にご相談ください。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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