商標登録の種類とは?新しいタイプの商標・地域団体商標など

商標にはどんな種類があるの?

商標っていろんな種類があるの?

そうですね、商標自体の性質から、文字商標・図形商標・立体商標などがあります
また、2015年4月から、日本では「新しいタイプの商標」も登録可能になりました

「新しいタイプの商標」ってどんなものだろう?

それから、登録制度の違いによる種類もありますよ
どんなものがあるのか、どういうものなのか、一緒に見ていきましょう

商標の性質による種類

伝統的な商標

商標登録できるものは、元々、下記の5種類でした。

文字商標

ひらがな・カタカナ・漢字・数字・アルファベットなどの「文字」のみでできている商標です。

図形商標

絵や図形、キャラクター、図案化(ロゴ化)された文字などでできている商標です。

記号商標

のれん記号、文字を図案化して組み合わせた記号、モノグラム、記号的な紋章などです。

立体商標

立体商標は、立体的な形でできている商標です。商品の容器やキャラクター型の立体看板などが登録されています。

例:
登録第4153602号

登録第4153602号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1997-122980/2B4AF1B12270CBD800919ABB7107CB279F1795AE97549A4C65E3FAFB309E7AEF/40/ja

登録第4156315号

登録第4156315号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1997-101588/54A7E86835492238D8A41427E5D0C837A870D6FE59E54296AA972A3EACA39B43/40/ja

結合商標

結合商標は、異なる意味合いを持つ文字と文字や、文字と図形、図形と記号、文字と図形と立体、など2つ以上の要素が組み合わせられている商標です。

新しいタイプの商標

2015年4月からは、上記の伝統的な5種類に加えて、下記の5種類も商標として登録できるようになりました。

色彩のみからなる商標

単色や複数の色の組み合わせなど、「色彩だけ」でできている商標です。
商標の中に、文字や図形、記号が含まれていれば、「色彩のみからなる商標」にはあたりません。

例:
登録第5933289号

登録第5933289号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-030037/92ADD4AEF128A85B27468D7628B7701E2D3FDF555E844AC5E92987DC1A602871/40/ja

登録第6534071号

登録第6534071号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2018-090378/0DE87FD20D38EE7DC7360719B33C22467BF0EABD9F24D116D6437DC65CFD1E24/40/ja

音商標

音楽・音声・自然音など、「聴覚」で認識される商標です。
出願するときには、楽譜や音声データを提出します。

例:
登録第5804299号

登録第5804299号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-029806/E074D6ED253772D93C17243A2B03829B3AD7951323D8411164CC72A673F2B10F/40/ja

登録第5805582号

登録第5805582号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-029817/E9769CD1E3378490B41EA6055F778E5C8A02BF90D1CB0412AA4F2A8D60C51B13/40/ja

動き商標

文字や図形・キャラクターなどが、時間の経過によって変化していく商標です。
テレビCMなどで使われるような、動くロゴがこれにあたります。

例:
登録第5804316号

登録第5804316号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-030273/B8A93267765CE00E1AC11667B54CCF063B6A25E482960D593F2E8D3171DD3BE4/40/ja

登録第5860064号

登録第5860064号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-030404/9A6338525359FBFE14059B77A3E55B31AD433626873BE6F8E64CACA9F087ACBD/40/ja

ホログラム商標

文字・図形などが、ホログラフィーなどの方法によって変化する商標です。
そのマークを見る角度によって、何種類かに見え方が変わるものが、1つの商標として登録されます。
出願・登録例を見ると、クレジットカードや商品券などに記載されているものが多いようです。

例:
登録第5908592号

登録第5908592号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-076916/8C928A30E98792AAA36D0E6F8BCA334BE609B2FAB612F5DC60779AF122B86E0A/40/ja

位置商標

文字や図形などのマークを、商品などにつけるときの「位置」が特定される商標です。

例:
登録第5807881号

登録第5807881号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-030361/E6C11287466A9A23A96ED269F2EC38E316F39316704E8CCB8ABD97A8FEC27A22/40/ja

登録第5893970号

登録第5893970号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-115492/3F6FE32F8DADD59C84F916BB1D19FD42FC59DB5505D038244CBA53E6B5A89C9E/40/ja

登録制度の違いによる種類

通常の商標登録

個人や会社・団体が、自分が使用する(または使用する予定の)商標を、どの商品・サービスに使用するかを決めて登録します。
商標登録されると、権利者は、指定商品・サービスについて、その商標を独占的に使用する権利を得ます。

団体商標登録制度

事業者を構成員とする団体が、その構成員に使用させるための商標を登録できる制度です。
通常の商標登録では、権利者自身またはライセンシーが商標を使用していなければ、第三者からの請求によって登録が取り消されてしまうことがあるのですが、団体商標登録制度を利用して登録された商標であれば、権利者自身が商標を使用していなくても、その構成員が使用していれば登録を維持できます。

例:
登録第5341974号

登録第5341974号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2009-083809/1CA6197944FB29FB203C1C2F6C54858586888CE164C1277AA6F8E15F8F0C5703/40/ja

地域団体商標登録制度

地域ブランドの保護による地域経済の活性化のために、「地域の名称+商品(サービス)名」の組み合わせからなる「文字商標」がより早く登録できるように設けられた制度です。

「地域の名称+商品(サービス)名」の文字商標は、本来、全国的に周知された状態になっていなければ商標登録されません。
そのような商標には、本来的には識別力がないと考えられるからです。
長年にわたって使用し、全国的に高い知名度がなければ、「全国的に周知された状態」とは認められないので、このような名前の農産物などを特産品・名産品として売り出したい団体などには、非常に高いハードルでした。

しかし、地域団体商標登録制度を利用すれば、「全国的に周知された状態」よりは低いハードルで、「地域の名称+商品(サービス)名」の文字商標を登録することができます。

地域団体商標登録制度の条件

  1. 地域に根ざした団体の出願であること
  2. 団体の構成員に使用させる商標であること
  3. 地域の名称と商品(サービス)に関連性があること
  4. 一定の地理的範囲の需要者間である程度有名であること

特に4つめが重要で、これを証明するのには、商品の販売数量や商品が取り上げられた新聞記事などの客観的事実が求められます。
それでも、通常の商標として「全国的に周知された状態」を証明するよりは、低い知名度で「ある程度有名」と認められます。

参考:特許庁HP 地域団体商標制度とは

地域団体商標の例

この他にどのような商標が地域団体商標として登録されているかは、特許庁HP内のデータベースで調べることができます。

防護標章登録制度

著名な登録商標は、防護標章として登録することができます。
防護標章登録すると、もともと商標登録された指定商品・サービスとは非類似の商品・サービスに対して商標が使用されている場合も、商標が同一であれば、第三者の商標の使用をやめさせることができます。

登録商標が、商標権者の商品・サービスを示すものとして世間に広く認識されている場合、登録商標の指定商品・サービスと類似しない商品・サービスであっても、その商標を誰かが使用すれば、商標権者に関係ある商品・サービスだと誤解されてしまうことがあります。
そのため、あらかじめ誤解(=出所の混同)が生じる範囲を明らかにしておこうとするものです。

まとめ

商標には、伝統的な商標と新しいタイプの商標があり、それぞれ下記のものがあります。

また、登録制度は、普通のものの他に、以下のものがあります。

う~ん……いろいろありすぎて、何をどう登録したらいいのかわからないよ~!

大丈夫、まずは、文字や図形の商標を、普通の登録制度で登録するのが基本です
願書の書き方は、こちらを参考にしてください

でも、手続とかも難しそうだし……

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それなら私にもできそうだ!
よーし、がんばってみるぞ!

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Supervisor for the article:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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