商標の定義や起源について

商標の起源

日本ではいつぐらいから商標が使われ出したのかな?
商標の始まりは江戸時代ですが、もっと古い時代では、奈良時代に建築された東大寺の瓦に銘が刻まれていたり、鎌倉時代に刀剣に刻印が刻まれたこともあったらしいです。人々は、昔から、目印になるようなものを何らかの方法で表示することで自分が作ったものを周りにアピールしていたようですね。
へぇ~、そんなに古くからあるんだ!ところで改めて商標の定義って何だろう?

日本の商標法のはじまりは明治17年の商標条例ですが、商標の起源は鎌倉時代前後まで遡ります。
商店の軒先で日よけ代わりに使用されていた暖簾に、屋号や家紋が染め抜かれていて、それを商品の目印や広告代わりとしていたのが商標のはじまりとされています。
その後、明治時代になって本格的に商標条例が制定され、やがて商標法と名称が変わり今日に至ります。

本記事では、商標制度の歴史を概観した上で、商標制度(商標の種類・定義、商標の機能、商標の使用、商標登録を受けることができない商標および商標登録の効果)についてご説明します。

商標制度の歴史

世界:産業革命が契機

国家が優秀な発明を保護するという思想は1400年代後半にベニス共和国(当時)で生まれ、1624年にイギリスで国家が認めた発明に対する「専売条例」が成文化されたのが近代特許法の始まりとされています。つまり、産業財産権の最たるものである特許法は、産業革命よりも1世紀以上早く法制化されていたことになります。これに対し、商標、すなわち、企業のトレードマークについては、これらを模倣する行為に対しては詐欺罪などの法律で対処されていました。

18世紀にイギリスを中心とする西洋社会で勃興した産業革命を契機に、大規模な生産を行う企業のトレードマーク摸倣の被害が甚大になってきたことから、トレードマークの保護と取締りを強化すべしとの機運が高まり、1857年にフランスで「製造標及び商業標に関する法律」が制定されたのが世界で最初の商標法とされています。

その後、1862年にイギリス、1870年にアメリカ、1874年にドイツで商標法が制定され、ここに近代に連なる商標の独占権を国家が認可するというトレードマークに対する概念が法制化されたこととなります。

制定当時の商標法では、各企業が提出するトレードマークをそのまま登録する制度となっていましたが、特に文字商標に関して普通名詞等を一日でも早く先願した一社に独占させることの弊害が生まれてきたことから、1800年代の終盤頃に国家がトレードマークを審査し、許諾されたもののみを登録する制度に切り換えられました。

すなわち、「先願主義」「審査制度」「登録制度」という3つの主要な概念からなる近代の商標制度は18世紀の終わりに制定され、19世紀以降に世界各国で導入されてきたという歴史を有しているわけです。

近代社会の経済成長は産業界の発展に依るところが大きく、産業を発展させるためには各企業のトレードマークに対し、出願されたものを国家が審査し、これを行政機関(特許庁や商標庁)に登録することで、企業の権利を保護し、消費者が誤認混同することなく安心して消費活動ができるという、いわば「健全なる産業社会」の仕組みを構築する上で、商標法による登録商標の制度化は、発明の権利化となる特許法と共に必要不可欠な法体制であったといえます。

日本:江戸時代に商人が使用

日本の商標法のはじまりは明治17年(1884年)の商標条例ですが、商標の起源は鎌倉時代前後まで遡ります。商店の軒先で目隠しや日よけ代わりに使用されていた暖簾に屋号や家紋が染め抜かれていて、それを商品の目印や広告代わりとしていたのが商標のはじまりとされています。

徳川家康が天下統一を果たして戦乱の世が終結し、江戸時代になると、江戸は大都市となり五街道も整備されて人やモノの往来がさかんになりました。その中で、次第に生産者と消費者が分かれ、それぞれの商人が売る商品の出所を明らかにして他者と区別することを目的として商標が使用されるようになります。

明治時代に入って商標制度を作る動きがさかんになり、明治17年(1884年)6月7日、高橋是清を責任者としてドイツ型の先願登録主義を採用した商標条例が成立しました。ちなみに、この時代の商標法は商標区分が65もあり、「第◯類」ではなく「第◯種」の表記となっていました。

特許法の前身となる「専売特許条例」は翌年の1885年には公布されていますので、日本では意外にも特許よりも商標の方が1年早く法制化されていたことになります(ちなみに、今でも一般的に用いられることの多い「専売特許」の語はこのときの条例の標題が元になっています)。

明治32年には商標条例は「商標法」へと変化を遂げ、明治42年(1909年)改正では先願主義を原則としながらも、善意により先使用されていた商標については併存登録を認められました。また、大正10年(1921年)の改正では特定の地域や団体の活性化のために用いられる団体標章制度が新設されることになります。

発明や商標に関する法律は、国際条約への加入や経済情勢の変化に伴って、また、実際の運用面でのトラブルが相次いだため、その都度改正されていき、ようやく戦後の1959年(昭和34年)の大改正によって現在の法体系が整ったとされています。

現行商標法は、これまで数次の一部改正を行っており、主なものとしては、平成3年のサービスマーク登録制度導入、平成8年の現行法制定以来の大幅な改正(立体商標制度の導入、付与後異議申立制度の導入、商標法条約への加入に伴う関係規定の改正など)、平成17年の地域団体商標制度の導入、平成18年の小売等役務商標の導入及び平成26年の新しいタイプの商標の保護対象への追加があげられます。

商標について

商標とは?

商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。
私たちが商品を購入したりサービスを利用したりするときには、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。また、事業者は商品・サービスに「商標」をつけることによって、自社の商品・サービスであることをアピールしています。そして、事業者が営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標にブランドイメージが生まれてきます。
商標制度は、このような、事業者が商品やサービスに付ける商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図ることを通じて、産業の発達に寄与するとともに、需要者の利益を保護することを目的としています(商標法第1条)。

商標の種類・定義

商標には、文字、図形、記号、立体的形状など、様々なタイプがあります。

商標法では、「商標」を、「人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものであって、①業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの、②業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」(商標法第2条第1項)と定義しています。

■文字商標
文字のみからなる商標のことをいいます。文字はカタカナ、ひらがな、漢字、ローマ字、数字等によって表されます

■図形商標
写実的なものから図案化したもの、幾何学的模様等の図形のみから構成される商標をいいます。

■記号商標
暖簾(のれん)記号、文字を図案化し組み合わせた記号、記号的な紋章のことをいいます。

■立体商標
立体的形状からなる商標をいいます。例えば、実在又は架空の人物、動物等を人形のように立体化したものなどです。

■結合商標
異なる意味合いを持つ文字と文字を組み合わせた商標や、文字、図形、記号、立体的形状の二つ以上を組み合わせた商標をいいます。

■動き商標
文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標のことをいいます。
例えば、テレビやコンピューター画面等に映し出されて変化する文字や図形等があります。

■ホログラム商標
文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標のことをいいます。

■色彩のみからなる商標
単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等に色彩が付されたものではない商標)であって、輪郭なく使用できるもののことをいいます。

■音商標
音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標のことをいいます。

■位置商標
図形等を商品等に付す位置が特定される商標のことをいいます。

商標の機能

商標は、実際の取引において商品又は役務を識別するための標識として使用することによって、以下のような役割を果たします。これを「商標の三大機能」といいます。

① 商品又は役務の出所を表示する機能(出所表示機能)
同一の商標を付した商品又は役務は、いつも一定の生産者、販売者又は提供者によるものであることを示す機能です。需要者は、商品又は役務に付された商標を認識して、自分の求める商品・役務を手に入れようとします。すなわち、商標はその商品又は役務を提供する者にとって、自己の商品・役務を他人のものと区別する機能を有しています。

② 商品の品質又は役務の質を保証する機能(品質保証機能)
同一の商標を付した商品・役務は、いつも一定の品質又は質を備えているという信頼を保証する機能です。一定の品質や質を保った商品や役務を提供することにより、需要者から信用や信頼が得られ、その商品や役務につけられている商標を見ただけでどのような品質の商品か、又は、どのような質の役務かが分かるようになります。つまり、商標によって保証された品質を確認してその商品を購入したり、役務の提供を受けたりすることが可能となり、長年の間に培われた商標の信用・信頼が商品・役務の品質を保証することになります。

③ 商品又は役務の広告的機能(広告宣伝機能)
商標を広告に使用することにより、その事業者の商品・役務であることを需要者に伝え、商品・役務の購買・利用を喚起させる機能です。テレビや新聞等で自己の商標を付した商品・役務を広告することは、今までその商品・役務を利用していた需要者に対しては、さらにその信用・信頼を深く印象付けることになります。また、今までに利用したことのない需要者に対しても、そのイメージを深く印象付けることによって購買意欲を持たせることになります。

商標の使用

商標は、使用することで業務上の信用が蓄積されていきます。
商標の使用は、「商品」における使用と、「サービス(役務)」における使用とがあり、商標法第2条3項各号においてその類型が整理されています。

■商品における使用
1号:商品又は商品の包装に標章を付する行為
2号:商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信
回線を通じて提供する行為

■サービス(役務)における使用
3号:役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為
4号:役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
5号:役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
6号:役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
7号:電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為

■商品・サービス(役務)における使用
8号:商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に
標章を付して電磁的方法により提供する行為
9号:音の標章にあつては、1号~8号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為

商標登録を受けることができない商標

商標制度においては審査主義が採用されており、商標登録出願がなされると、特許庁において、出願された商標が登録することができるものかどうかが審査されます。

以下に該当する商標は、登録を受けることができません。

自己と他人の商品・役務を区別することができないもの(商標法第3条)

商標は、自己と他人の商品・役務とを区別するために用いられるものであるため、以下に該当する商標は登録を受けることができません。

①商品又は役務の普通名称のみを表示する商標(商標法第3条第1項第1号)
②商品又は役務について慣用されている商標(商標法第3条第1項第2号)
③単に商品の産地、販売地、品質、その他の特徴等又は役務の提供の場所、質、その他の特徴等のみを表示する商標(商標法第3条第1項第3号)
④ありふれた氏又は名称のみを表示する商標(商標法第3条第1項第4号)
⑤極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(マーク)のみからなる商標(商標法第3条第1項第5号)
⑥その他何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標(商標法第3条第1項第6号)

公益に反するもの

公益的に使用されている標識と紛らわしい商標や需要者の利益を害するおそれのある商標は登録を受けることができません。

① 国旗、菊花紋章、勲章又は外国の国旗と同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第1号)
② 外国、国際機関の紋章、標章(マーク)等であって経済産業大臣が指定するもの、白地赤十字の標章(マーク)又は赤十字の名称と同一又は類似の商標等(商標法第4条第1項第2号、第3号(一部例外あり)、第4号及び第5号)
③ 国、地方公共団体、公益事業等を表示する著名な標章(マーク)と同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第6号)
④ 公の秩序、善良な風俗を害するおそれがある商標(商標法第4条第1項第7号)
⑤ 商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれのある商標(商標法第4条第1項第16号)
⑥ その他、博覧会の賞(商標法第4条第1項第9号)と同一又は類似の商標、商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標等(同第18号)

他人の商標と紛らわしいもの

他人の使用する商標、他人の氏名・名称等と紛らわしい商標は登録を受けることはできません。

① 他人の氏名、名称又は著名な芸名、略称等を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)(商標法第4条第1項第8号)
② 他人の周知商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品・役務に使用するもの(商標法第4条第1項第10号)
③ 他人の登録商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の指定商品・役務に使用するもの(商標法第4条第1項第11号)
④ 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標(商標法第4条第1項第15号)
⑤ 他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用する商標(商標法第4条第1項第19号)
⑥ その他、他人の登録防護標章と同一の商標(商標法第4条第1項第12号)、種苗法で登録された品種の名称と同一又は類似の商標(同第14号)、真正な産地を表示しないぶどう酒又は蒸留酒の産地の表示を含む商標(同第17号)

商標登録の効果

審査の結果、登録査定となった場合は、その後、一定期間内に登録料を納付すると、商標登録原簿に設定の登録がなされ、商標権が発生します。

商標登録がなされると、権利者は、指定商品又は指定役務について登録商標を独占的に使用できるようになります(専用権、商標法第25条)。また、第三者が指定商品又は指定役務と同一の商品又は役務に自己の登録商標と類似する商標を使用することや、第三者が指定商品又は指定役務と類似する商品又は役務に自己の登録商標と同一又は類似の商標を使用することを排除することができます(禁止権、商標法第37条1号)。

権利を侵害する者に対しては、侵害行為の差し止め(商標法第36条)、損害賠償(民法第709条)等を請求できます。また、税関における輸入差止や警察による取り締まりが可能となります。

なお、商標権の効力は日本全国に効力が及びますが、外国には及びませんので、外国で事業を行う場合は、その国で権利を取得することが必要です。海外で商標登録する方法には、①国ごとの特許庁等に直接出願する方法と、②国際条約(マドリッド協定議定書)を利用した国際出願(通称、マドプロ出願)により複数国に対して一括出願する方法とがあります。

商標制度が商工業をはじめとする産業の発達と密接に関連していることがよくわかったよ。
今日では、インターネットの発達により、情報の伝わる速度がより速く、また、伝わる範囲もより大きくなっており、あっという間に自社の商標が知れ渡るようになりました。自社で開発した商品に使用する商標に商標登録をせずにいる場合、競合他社が商標登録をしてしまい、商標権侵害で訴えられたり、損害賠償を請求されたりするリスクがあります。そのようなリスクを回避するためにも、自社の商標は登録しておきましょう。
うん。自社の商標を守るためにも早急に商標登録を検討することにするよ。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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