商標登録にかかせない商品・サービスの分類とは

商標登録の区分には何を記載すればいいの?

特許庁に提出する商標の出願書類を作成しているよ。【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】っていう欄にはどんな内容を記載すればいいのかな?

商標登録を受けようと思っている商品やサービスと、その商品・サービスが属する区分を記載する必要があります。商品やサービスは第1類から第45類に分類されますよ

その区分は何を見れば分かるの?検索する方法ってある?

J-PlatPatというデータベースや、特許庁のサイトに掲載されている類似商品・役務審査基準を使用してみましょう

本当だ!思ったより簡単に、自分の商品が第何類なのか分かったよ

商標出願をする際には、出願しようとしている商品・サービスの区分を特定する必要があります。

この記事では、区分とは何か、自分の商品・サービスの区分を知るにはどうすればよいか、あなたの疑問にお答えします。

商標登録における区分とは

事業として提供される商品・サービスを45にカテゴリー分けしたものです。
商品は第1類~第34類、サービスは、第35類~第45類です。

商標の出願書類には、「第○類」と区分を記載する欄があるため、自分の商品やサービスがどの区分に当てはまるのか、事前に知っておく必要があります。

国際分類と区分の歴史

実は、区分は日本独自の制度ではありません。

以前は日本独自の区分が採用されていたのですが、平成2年に商標制度の国際的ハーモナイゼーションを目的とした「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定(通称、ニース協定)」に加入したことを機に、ニース協定で採用されている国際分類に区分の体系を切り替えました。

現在の区分の数は商品とサービス合わせて45ですが、大正時代には、商品だけで70(大正10年商標法の旧々商品分類)もありました。

昭和になって、商品の区分数が70から34になり、さらに平成になってニース協定に加入してからサービスの分類が増えました。

このように、区分とは、意外と最近になって整えられた制度です。さらに、毎年改定される国際分類に合わせ、毎年少しずつその内容が変わっています。

各区分に含まれる商品・役務の種類、名称が変わったり、昔にはなかったような新しい商品・サービスが追加されることがあり、区分の内容の変化を見ているだけで、時代の移り変わりを感じることもできますよ。

例えば、2023年1月1日より変更されるものとして、以下があります。

   第9類「水泳用耳栓」→第10類

   第26類「ミシン針」→第7類

   第30類「料理用人工甘味料」

   第45類「雑踏警備」

毎年12月に特許庁HPで変更点が告知され、次年の1月1日よりその変更を取り入れた新しい区分、商品、役務で、商標の審査が開始されます。
Amazing DXの区分・商品・役務も、その変更を取り入れて毎年1月1日にアップデートされていますよ。

DXくんが、年末年始にそわそわしているのは、そういう理由だったのか…!
もし2023年1月以降に「ミシン針」を26類で出願したら出願が拒絶されるわけだから、Amazing DXがちゃんと1月1日にアップデートされているのは安心だね。

区分選びの注意点

区分の数が増えると費用が増える

商標に関する手続では、区分の数で手数料が決まるものが少なくありません。
商標出願時、商標登録時に特許庁に支払う手数料もそうです。
また、弁理士事務所の費用も区分数で決まるところが多いです。

予算が決まっている場合は、区分の数に注意したいですね。

こちらの記事も参考にしてみてください。

区分を間違えると

出願後、後から区分や指定商品・役務を追加することはできません。

区分選択を誤ると、折角商標が登録されたとしても、全てが無駄になる可能性があります。

例えば、ネイルサロンを経営しているとしましょう。
ネイルサロンの店舗名を商標出願しようと思いますが、一体どの区分を選ぶ必要があるのでしょうか。

ネイルサロンで行われるのは、爪の美容サービスです。そのため、この事例では、第44類を選択するのが正しいです。

もし、ネイル用転写シールを自社製造し、ネットショップで売っているのであれば、第3類と第35類も選択するのがよいでしょう。

ここで注意すべきは、転写シールは第16類なのですが、ネイル用転写シールは第3類に属するということです。

作っているのはネイル用の転写シールなのに、第16類転写シールで商標を出願してしまうと、ネイル用転写シールについて商標権は発生しません。
自社ブランドが付されたネイル用転写シールの模倣商品が出回ったとしても、差止めや損害賠償請求を行うことができず、折角の商標権が無駄になってしまいます。

このように、出願しようとしている自分の商品・サービスがどの区分に属するのか正確に把握する必要があります。
もし、自分の商品・サービスの区分が、下で紹介する検索方法でも分からなかった場合、専門家である弁理士に問合せるのが安心です。

区分を検索する方法

J-PlatPatで検索する

日本の商標を検索するデータベースとして、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供するJ-PlatPatがあります。
自分の商品・サービスの区分を知るには、J-PlatPatの商品・役務名検索を使用します。

例えば、「飲料水」がどの区分に該当するのか知りたい時には、以下のように検索してください。

すると、「飲料水」の単語が含まれる商品・サービス名がずらっと表示されます。

区分は検索結果表の左から2列目に書かれています。これで、「飲料水」は第32類、「飲料水用グラス」は第21類、「飲料水の自動販売機」は第7類であることが分かりますね。

英単語で検索する場合は、使用する言語を英語にし、商品・役務名には英単語を入力してください。

特許庁の類似商品・役務審査基準で検索する

特許庁ホームページに掲載されている類似商品・役務審査基準を使って検索します。

類似商品・役務審査基準は、毎年1月1日より新しい版になります。

商品やサービスの区分が変更されていたりするので、必ず商標を出願する年に対応したものを確認してください。

その年の類似商品・役務審査基準を一括ダウンロードし、調べたい商品やサービス名を検索します。
検索はCtrl+Fキー又はShift+Ctrl+Fキーでできますよ。

それぞれの区分の概要

区分別一覧

それぞれの区分について、具体的にどのような商品・サービスが含まれるか、詳細は以下の記事をご確認ください。

区分別解説 Classification Guide

参考までにこちらでも紹介しますと、各区分の概要は以下の通りです。

区分
第1類工業用、科学用又は農業用の化学品
第2類塗料、着色料及び腐食の防止用の調整品
第3類洗浄剤及び化粧品
第4類工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤
第5類薬剤
第6類卑金属及びその製品
第7類加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械
第8類手動工具
第9類科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具
第10類医療用機械器具及び医療用品
第11類照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用、冷却用、乾燥用、換気用、給水用又は衛生用の装置
第12類乗物その他移動用の装置
第13類火器及び火工品
第14類貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計
第15類楽器
第16類紙、紙製品及び事務用品
第17類電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック
第18類革及びその模造品、旅行用品並びに馬具
第19類金属製でない建築材料
第20類家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの
第21類家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製品
第22類ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維
第23類織物用の糸
第24類織物及び家庭用の織物製カバー
第25類被服及び履物
第26類裁縫用品
第27類床敷物及び織物製でない壁掛け
第28類がん具、遊戯用具及び運動用具
第29類動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物
第30類加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料
第31類加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料
第32類アルコールを含有しない飲料及びビール
第33類ビールを除くアルコール飲料
第34類たばこ、喫煙用具及びマッチ
第35類広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
第36類金融、保険及び不動産の取引
第37類建設、設置工事及び修理
第38類電気通信
第39類輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配
第40類物品の加工その他の処理
第41類教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動
第42類科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発
第43類飲食物の提供及び宿泊施設の提供
第44類医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務
第45類冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務

【出典】「商品及び役務の区分」に基づく類似商品・役務審査基準〔国際分類第12-2023版対応〕令和5年1月1日適用・特許庁、2-1,2-2頁

業種別一覧

自分の業種がどの区分に該当する傾向があるのかを確認したい場合、以下の記事をご確認下さい。

区分で迷った時は

どの区分を選んだらいいか迷ったときは、商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えしますので、チャットでお気軽にご相談ください。

さらに、Amazing DXには、区分選択でのメリットが沢山あります。

是非ご活用ください。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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