要件をサクッと確認!商標登録するために必要なこととは 商標出願前 2022年4月22日 2023年8月23日 Amazing DX Support Team 会社で新たな家電商品のブランドを立ち上げることになったよ。ブランド名は商標登録をした方が良いって聞いたけれど、そもそも商標って何なのかよくわからないな。 日常生活の中で、ブランド名を見て商品やサービスの購入を検討することはありませんか?そのブランド名やロゴマーク等の目印のことを「商標」と言います。つまり、「商標」とはビジネスにおいてとても重要な役割を担うものです。それをしっかりと保護するための制度が商標登録となりますよ。まずは、「商標」の基本事項や登録の要件を簡単に確認してみましょう! そうなのか!そうであればしっかり勉強しておいた方が良さそうだな。商標登録って何か必要な条件があったりするのかな? 商標法の目的 商標登録とは、ブランド名やロゴを保護するために行うものであると認識している方も多いのではないでしょうか。しかし、商標法第1条では、次のように規定されています。 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。 つまり商標法では、単に商標を保護するのではなく、商標に蓄積される事業者等への信用を保護しているということです。また、その信用(質)を保護することで、それを利用する需要者の利益をも守ることを目的としています。 商標の機能 上記のような目的から、商標は主に次の3つの機能を有しています。 出所表示機能:自己の商品やサービスを、他人のものと区別する 品質保証機能:一定の品質を備えていることを保証する 広告宣伝機能:自己の商品やサービスであることを認識させ、購買意欲を喚起させる 商標登録ができるもの 上記の機能を有するとして、現在日本において登録ができる商標の種類は以下の通りです。 文字商標:文字のみからなるもの 図形商標:イラストや幾何学模様等の図形のみからなるもの 記号商標:記号や記号的な紋章 立体商標:人形などのように立体的な形状からなるもの 結合商標:文字と文字、または文字・図形・記号・立体の2つ以上を組み合わせたもの 動き商標:文字や図形等が時間の経過に伴って変化するもの ホログラム商標:文字や図形等がホログラフィー等による視覚効果により変化するもの 色彩のみからなる商標:単色又は複数の色彩の組み合わせからなるもの 音商標:音楽や音声、自然音等からなるもの 位置商標:図形等からなり、商品等へ付す位置が特定されているもの 登録可能な商標の種類は国によって異なる他、日本においても社会情勢や保護のニーズを踏まえた上で変更されることがあります。 確かに「このブランド名の付いた洋服はどれも着心地が良い」等、ブランドごとにそれぞれの印象が変わるなぁ。これが、その商標に蓄積された事業者の信用ということだね! これを他の人に勝手に使用されてしまうのは困るから、商標を登録して権利化することが大切なのか。 そうですね。商標登録は、事業者も需要者も安心して売買できるように手助けをしている制度なんです。次は、その登録のためにはどんな要件があるのかを見ていきましょう。 出願者の要件 商標登録を行うためには、様々な要件が設けられています。まずは、出願者側に関する要件を紹介します。 権利能力を有していること 権利能力、つまり商標権の主体となることができる資格を有していることが必要です。具体的には、下記のような要件を満たす必要があります。 自然人または法人であること 外国人の場合、日本国内に住所又は居所、営業所を有していること ただし、次の条件等に該当する場合には、上記を満たしていない外国人でも権利能力を有しているものとして認められます。 その者の属する国において、日本国民に対してその国民と同一の条件により商標権の享受を認めている パリ条約等、条約にて別段の定めがある 自己の業務に係る商品について使用すること 項目「商標法の目的」で説明した通り、商標法は商標に蓄積される事業者等への信用を保護しています。商標へ信用を蓄積するためにも、その商標を自己の業務に係る商品やサービスに使用することが大切です。 まず、「自己の業務」とは出願人本人の業務だけでなく、出願人の支配下にあると実質的に認められる者の業務も含まれます。例えば、フランチャイズ契約の加盟店等が該当します。 次に「使用する」とは、出願商標を既に使用している場合の他に、出願商標を将来使用する予定がある場合を含みます。この「使用する」に該当しない蓋然性が高いものについては、特許庁より拒絶理由が通知され、使用または使用の意思が確認されます。 <使用できない蓋然性が高いケースの例> 1区分内での商品または役務の指定が広い範囲に及んでいるとき 指定役務を行うために国家資格等を有することが義務付けられている場合で、出願人が当該国家資格等を有していることが確認できないとき (例)指定役務を「医業」とした出願で、出願人が医師または医療法人であることが確認できない 商標の要件 次に、出願する商標の態様についての要件を紹介します。 識別力のある構成であること 項目「商標登録ができるもの」にて紹介した商標のいずれかに該当する場合でも、その構成が自己の商品と他人の商品とを識別できず、混同が生じるおそれがある場合には、商標登録がで認められていません。 例えば、商品「スマートフォン」に対して「スマホ」という文字商標を付して販売したとします。「スマホ」は「スマートフォン」の略語として一般的に広く使用されているため、一体どの事業者の商品「スマートフォン」を指しているかわかりませんよね。このように、他人の商品と区別がつかない構成のものは、商標としての機能が正しく発揮されません。つまり、登録を受けることができる商標は、どの事業者の商品であるか誤認を生じさせることなく識別できる構成であることが重要となります。 識別力のない商標の例として、次のようなものが挙げられます。 普通名称を表示したもの 慣用されているもの その商品の産地や品質、原材料等を表示したもの ありふれた氏名や名称 極めて簡単な構成のもの ただし、識別力のない商標であったとしても、使用した結果、識別力を有するようになったものについては、例外的に登録が認められる場合があります。 先に出願されていないこと 同一または類似の商品やサービスについて、同一または類似の商標が複数登録された場合、とても紛らわしくなってしまいます。そのため日本においては、先に出願された商標のみに登録を認める「先願主義」を採用しています。 ※注意※先願主義において、その商標を先に使用していたか否かは考慮されません。そのため、他人が(同一または類似の商品やサービスについて)同一または類似の商標を先に登録した場合、これまで問題なく使用してきた商標が急に使えなくなってしまうといった事態が生じ得るため、注意が必要です。 商標登録に関する謎。同じ名前の登録商標が存在するのはなぜ? その他、登録できない構成でないこと その他にも次に当てはまる商標は、登録が認められていません。 国旗、国や赤十字などの紋章等と紛らわしいもの 国や地方公共団体等の著名な標章と紛らわしいもの 他人の氏名や名称、その著名な略称を含むもの 需要者の間に広く認識されている他人の商標と似ているもの 公序良俗に反するもの 種苗法で登録された品種の名称と似ているもの など 要注意!登録できる?人名の商標登録・出願について さまざまな要件があったけれど、どれもとても高い壁というわけではなさそうだね。安心して新しいビジネスを始められるよう、商標登録してみようかな ! 商標登録の前に商標調査をしてみましょう 当事務所では「Amazing DX🄬」という、独自サービスを提供しており、無料の商標調査検索システムを利用することが出来ます。例えば、同一または類似の商標が先に出願されていないかは、「Amazing DX🄬」で簡単に調べることができます。 Amazing DX®商標調査 出典:https://amazing.dx.harakenzo.com Amazing DX🄬では、オンラインで簡単に指定商品・役務が選べます。 まずは商品を多めに選んで検索し、調査後に×が出たものだけを外して再検索することも簡単です。 どの商品・役務を選んだらいいか迷ったときは、商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えします。チャットでお気軽にお問合せください。 参照:特許庁「商標審査基準〔改訂第15版〕」、「商標審査便覧」 この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者