商標原簿について 商標登録後用語解説 2023年6月20日 2023年6月21日 Amazing DX Support Team 商標登録証と商標原簿 大変!せっかく時間とお金をかけて手に入れた商標登録証をどうもなくしてしまったみたいなんだ… 大丈夫です。ご安心ください。商標登録証を破損、汚損した場合や、紛失した場合は、特許庁に再交付の請求をすることができますよ。ちなみに、商標登録証は菊の御紋に鳳凰の飾り枠までついていかにも権威ありそうに見えますが、その実体は賞状や記念品のようなもので、権利書の類ではありませんので、法的拘束力はありません。 そうなんだ。ひとまずホッとしたよ。でも、そうすると、商標権侵害などの場合にどうやって商標権を持っていることを証明するんだろう? 商標登録の手続きがすべて完了すると、文字通り、商標登録が済んだ証として、商標登録証が特許庁から出願人に送付されます。 商標登録をすると、商標権が存在する商標であることをできるだけ周知する努力が権利者に求められますが、商標登録証はそのための効果的なツールになります。そのため、商標登録した事業者の中には、商標登録証を額に入れて事務所や店舗に飾ったりしてアピールしているところもあります。 もっとも、商標登録証は権利書とは趣を異にするため、商標登録証を持っている者=商標権者ということにはなりません。 商標権者であるか否かは、特許庁に備えられている商標原簿(商標登録原簿)に商標権者として登録されているか否かによります。 以下、本記事では、商標原簿について詳しく見ていきます。 商標原簿とは 商標権が設定登録されると、特許庁に備える商標原簿(商標登録原簿)に登録されます。商標原簿にはいくつか種類がありますが、一般に商標原簿と言えば、商標登録原簿を指します。 さらに、その権利に関して変更があった場合も、商標原簿に登録されます。よって、ある権利の現在の状況について確認するときは、その商標原簿を確認する必要があります。 商標原簿への新しい事項の登録は、権利者や代理人等による申請、主に特許庁が行う職権、裁判所等の公共機関による嘱託を契機として行われます。 商標原簿の構成と記録事項 商標原簿は、登録番号記録部、甲区等の記録部によって構成されており、各記録部における主な記録事項の内容は以下の通りです。 登録番号記録部・・・登録番号 表示部・・・出願日・登録日などの書誌的事項、権利の消滅、商標権についての審判に関する事項、変更があった後の指定商品及び役務の区分、指定商品及び役務の区分の放棄 登録料記録部・・・納付年分、金額、納付日等、減免記事 甲区・・・権利者及びその表示の変更、権利の移転(注1)、信託に関する事項など 乙区・・・専用使用権(注2)及びこれを目的とする質権など 丙区・・・通常使用権(注3)及びこれを目的とする質権など 丁区・・・権利を目的とする質権など (注1)商標権の移転は、登録しなければ、その効力を生じません(準用特許法98条1項1号)。(注2)専用使用権の設定・移転は、登録しなければ、その効力を生じません(準用特許法98条1項2号)(注3)通常使用権の許諾は、登録しなくても、その効力を生じます。但し、通常使用権の移転は、登録しなければ、第三者に対抗することができません(商標法31条5項)。 ※商標原簿の見本については、以下のリンク(特許庁ウェブサイト)からご覧いただけます。商標原簿の見本 商標登録証と比べると、いかにも地味な行政文書ですが、法的に重要なのはこちらの書類といえます。 商標原簿の確認方法 商標原簿は閲覧・交付を受けることができます。閲覧・交付請求の方法には、オンラインによるものと書面によるものの2種類があります。 また、Japio(一般財団法人 日本特許情報機構)では、申し込みにより、商標原簿の謄本の取次ぎサービスを提供しています。 なお、権利の状態(存続の有無等)は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して経過情報のページで確認することもできますが、その更新は商標原簿の更新から3~4週間ほどタイムラグがあることに加え、権利者の住所は掲載していない場合があるため、各種手続を行う前には商標原簿を確認する必要があります。 <ご参考>商標原簿には、商標登録原簿の他に、「商標信託原簿」および「商標関係拒絶審決再審請求原簿」があります。 商標信託原簿:信託法に基づく信託の申請がなされた場合にその登録を行う原簿です。登録後の変更及び消滅、並びに、これらの権利の信託の終了などが記載されます。 商標関係拒絶審決再審請求原簿:拒絶査定不服審判の審決が確定した出願についての再審の請求があった場合に予告登録を行うための原簿です。拒絶査定が確定している出願は商標登録原簿へ登録されていないため、当該原簿を備えるようになっています。 商標権侵害などの警告を受けた場合は、商標原簿を閲覧して確認することが望ましいということだね。 その通りです。現在の商標権者が誰であるか、また、商標権が現在も有効に存在しているかを確認することが重要といえます。 なるほど。特許庁に商標登録証の再交付の請求をするついでに、今後の参考に商標原簿も閲覧してみることにするよ。 Amazing DX®のご紹介 Amazing DX®は、大手国際特許事務所が運営する、オンラインで商標出願・登録を弁理士に依頼できるサービスです。AIと弁理士のコラボレーションで、徹底的に無駄をそぎ落としたサービスだから、「経験豊富な弁理士に依頼する安心」と「リーズナブルな手数料」の両立を実現しました。出願後はもちろん、登録後もオンラインにて商標のステータスをいつでも確認することができ、更新期限も一括で安心して管理することができます。 まずは、無料の商標調査で、Amazing DX®を体験してください! 商標出願の前にリスクを回避しましょう! リスクを事前に確認しませんか?商標検索することで、競合他社や既存の権利者との衝突リスクを減らせます。 まずは、商標とヨミガナを入力し、特許庁に出願されている商標を無料で検索してみましょう。 商標 : ヨミガナ: 無料で商標検索する この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者