商標の禁止権とは? 商標登録後用語解説 2022年12月5日 2026年9月8日 Amazing DX Support Team 商標権を得ると何ができる? 特許庁から、出願していた商標が登録されたという連絡が来たぞ!これから色々な場面で使っていくけど、実際のところ、何ができるようになったんだ? 商標登録、おめでとうございます商標権を得ると、大きく分けて2つの強力な力を手に入れたことになります1つは、登録した商標を指定した商品やサービスについて「自分だけで独占して使える権利(専用権)」もう1つは、他人が勝手に同じような商標を使っている場合に「やめなさいと禁止できる権利(禁止権)」ですどちらも商標法にしっかりと規定されています 自分で使えるだけじゃなくて、他人の勝手な使用を止めることもできるんだねこれはビジネスを守る上で、とても大事な制度だしっかり理解しておきたいな 商標の禁止権と専用権 商標権の効力は、大きく「専用権」と「禁止権」の2つに分けることができます。まずはそれぞれの法律上の定義を見てみましょう。 禁止権とは?(商標法第37条) 商標法第37条では「次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす」とし、他人の使用を禁止・排除できる8つのケース(侵害とみなす行為)を定めています。 これをまとめて「禁止権」といいます。 (侵害とみなす行為)第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用二 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為三 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為四 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為五 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為六 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為七 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為八 登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為 商標法 禁止権は、簡単に言うと、自分が登録した商標と「似ている商標(類似商標)」や、登録した商品・サービスと「似ている分野(類似商品・役務)」において、他人が無断で商標を使う行為、またはそれらを販売・輸出目的で持っている行為などを「商標権の侵害」として禁止できる権利です。 専用権とは?(商標法第25条) 一方、自分が独占的に商標を使用できる権利を「専用権」といいます。商標法第25条に規定されています。 (商標権の効力)第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。 商標法 専用権は、簡単に言うと、登録された「全く同じ商標(同一商標)」を、登録された「全く同じ商品・サービス(同一の指定商品・指定役務)」の範囲において、自分だけが独占して使える権利です。 今回は、このうち他人の使用を排除するための「禁止権」に焦点を当てて解説します。 禁止権のおよぶ範囲 商標権の全体像(専用権と禁止権の範囲)を理解する上で、実務でもよく使われる以下の相関図を見てみましょう。 専用権/禁止権 相関図 上記の図のうち、「赤色」で塗られた部分が「禁止権」の範囲に該当します。 黄色い部分(同一×同一):自身が独占的に使用できる「専用権」の範囲です。同時に、他人がこの範囲で無断使用した場合は「禁止権」も発動します。 赤い部分(類似を含む範囲):ここが純粋な「禁止権」の範囲です。この赤色の範囲で他人が無断で商標を使用した場合、商標法第37条により「商標権の侵害」とみなされ、使用の差し止め請求や、損害賠償請求の対象になります。 禁止権の内容 ここで、初心者の方が最も誤解しやすい重要なポイントを解説します。 「類似する範囲(赤い部分)は禁止権の範囲である」と説明しましたが、これはあくまで「第三者が使用するのを禁止できる権利」に過ぎません。「自分自身がその類似範囲を自由に使える権利」ではない、という点に注意が必要です。 自分の登録商標と「似た商標」を自分で使ったらどうなる? 「自分の商標に似ている商標だし、ジャンルも近いから、自分で使っても問題ないだろう」と考えて使用してしまうケースがあります。 しかし結論から言うと、他人が持っている別の登録商標の「禁止権」に引っかかってしまい(商標権侵害)、訴えられてしまうリスクが十分にあります。 ご自身が安全にビジネスを行うためには、他人の商標権を侵害しないよう、「登録した通りの商標(同一)」を「登録した通りの商品・サービス(同一)」の範囲で使用することが極めて重要です。 コラム:専用権の制限 先ほどの相関図の「黄色い部分(専用権の範囲)」であれば、自分だけで独占して使用できます。 ただし、これにも例外があります。商標法第29条に抵触する場合、専用権であっても使用が制限されることがあります。 商標法第29条による制限:ご自身の商標登録よりも「前の日付」に、他人が特許権、実用新案権、意匠権を持っていた場合や、他人の著作権が発生していた場合には、それらの権利とぶつかる(抵触する)範囲については、いくら商標登録があっても自由に使うことができなくなります。 コラム:商標権の効力が及ばない範囲 商標登録されている言葉であっても、世の中のすべての使用を禁止できるわけではありません。商標法第26条では、以下のようなケースには商標権の効力が及ばない(他人が使っても侵害にならない)と定めています。 【例1】自己の氏名や名称を普通に使う場合(第26条第1項第1号):自分の本名(氏名)や、自身の会社名を、一般的な方法で表示する行為には商標権の効力は及びません。 【例2】その商品・サービスに一般的な言葉(慣用商標)(第26条第1項第4号):例えば、パソコンの販売に対して「コンピューター」という一般的な言葉を普通に表示する行為などには、独占権は及びません。 商標権の効力に対する制限については、下記の記事でよりくわしく説明しています。 【商標登録と独占】商標権を取得すると、どこまで独占できる? まとめ 「専用権」は自分が安心して独占して使える範囲で、「禁止権」は他人に使わせないための武器のような範囲なんだねでも、他人の権利を侵害しないように、いつも相関図を意識しながら商標を使うのは、ちょっと難しそうだし大変だな…… おっしゃる通りです。商標制度は一見すると非常に複雑に思えますよねですが、これらの仕組みを頭の片隅に置いておくだけでも、「登録した通りの姿で正しく使うことの重要性」が分かり、自社ブランドを守りつつ、予期せぬトラブルを避けることができるようになります当事務所は「Business戦略参謀」として、商標の侵害調査や顧客の知的財産権の活用のサポートもしていますお困りごとがありましたら、チャットやお問合せフォームからご相談ください ありがとう! これなら安心して新しいサービスを進められそうだよ 商標弁理士に相談してみませんか? 商標のことで、もっと知りたいこと、お悩みごとはありませんか? 商標登録のメリットや手続きについて専門家に相談してみませんか?経験豊富な商標弁理士があなたの疑問にお答えします。 お問い合せフォームへ進む この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者