商標の禁止権とは? 商標登録後用語解説 2022年12月5日 2023年1月23日 Amazing DX Support Team 商標権を得ると何ができる? 特許庁から出願した商標が登録になった連絡が来たぞ。これから色々な場面で使っていくけど、実際のところ、何ができるんだ? 商標登録、おめでとうございます。商標権を得ると、出願時に指定した商品又は役務について独占して使用できます。さらには、自身の登録商標と同一又は類似の商標が、同一又は類似の商品・役務で他人に使用されるのを差止めることもできます。どちらも商標法で規定されています。 権利行使で守ることも出来るのね。この制度をしっかり理解した方が良さそうだね。 禁止権と専用権 商標法第三七条では「次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす」とし、8つの項目が明記されています。 これをまとめて禁止権と言います。 また、商標法第二五条では「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りではない」と規定されています。 これを専用権といいます。 今回は、禁止権に焦点を当てて解説いたします。 禁止権 さて、商標権の効力を説明する上でよく使用される図がありますので、今回もそれを使用します。 専用権/禁止権 相関図 上記の図のうち、赤色を塗った部分が「禁止権」に該当します。禁止権に抵触する商標は商標権の侵害行為とみなされるため(商標法第三七条)、差止めや損害賠償の対象になります。 禁止権の内容 前述の赤色に該当する部分は「禁止権」に該当すると述べましたが、あくまで第三者の使用を禁止するものです。では、自身の登録商標に類似する商標を自分自身が使用した場合(指定商品・役務が同一又は類似している)はどうでしょうか。 結論からいうと、第三者の登録商標の禁止権に抵触する可能性が十分にあります。登録商標を使用する際は、他人の登録商標の禁止権に抵触しない様、「同一の商標を同一の指定商品・役務」にて使用するようにしましょう。 専用権(コラム) 前述の図表のうち、黄色で塗られた部分が、専用権(独占的に使用できる)に該当する範囲(商標権の効力が及ぶ範囲)です。注意が必要なのは、商標法第二九条に抵触する場合、専用権が制限されることです。 商標法第二九条では、登録商標の出願日よりも前に出願された他人の特許権、実用新案権、意匠権、又は登録商標の出願日よりも前に生じた著作権、著作隣接権に抵触する場合は、抵触部分の登録商標の使用が制限される旨の規定がなされています。 商標権の効力が及ばない範囲(コラム) 商標法第二六条にて「商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む)には、及ばない」と、どういう形態の商標には商標権の効力が及ばないか、の規定が列挙されています。【例】第一項第一号:自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標第一項第四号:当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標 その他で詳しくご覧になりたい方はコチラをご覧ください。 まとめ 商標権の効力が及ぶ範囲、専用権、禁止権、は一通り理解したよ。でも、こんな複雑な事を考えながら商標を使用するのは大変だし疲れるよ。 おっしゃる通りです。ですが、商標権者である以上、これらの知識があるだけで、自身の商標を守ることも出来ますし、相手の商標を侵害することも防ぐことが出来ます。当事務所は「Business戦略参謀」として、商標の侵害調査や顧客の知的財産権の活用等をサポートします。お困りごとがありましたら、まずは右下のAmazing DXチャットからご相談ください。 ありがとう、何かあれば相談してみるよ。 この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者