商標の補正書の書き方について、手続ごとに解説します

手続補正書を作成しよう

特許庁で審査している商標があるんだけど、拒絶理由の通知が来ちゃったよ。
何をすればいいか分からないよ。

まずは通知の内容を確認しましょう。
そして、商品や役務の補正で拒絶の理由を克服できる内容であれば、補正書を作成して特許庁に提出すれば、商標登録に近づきます。

なるほど、補正書を作成するのか。
早速、書き方などを確認していこう。

手続補正書

拒絶理由通知を受領した場合、一定の期間内に特許庁に書類を提出する事で審査が継続されます。
その際に提出する書類の一つが「手続補正書」になります。
商標を出願する時に作成する願書と同様に手続補正書にも所定の様式があり、それぞれの項目での書き方にも決まりがあります。

今回は、手続補正書の作成の方法に焦点を当てて、解説いたします。
商標の補正に関する記事は以下をご参照ください。

作成の流れ

では、補正書の作成についてです。
どの補正手続でも共通する記載事項の部分と、補正内容に沿った記載事項の部分に分けて解説します。

手続補正書の雛形はコチラを参照してください。

共通部分(【書類名】~【発送番号】)

書類の上から順に解説します。

【書類名】→手続補正書、と記載します。
【提出日】→提出日を記載します。冒頭の「年」の部分は、西暦ではなく元号で記載します。なお、元号が変わった時、例えば令和の場合は「令和元年」が一般的ですが、特許庁に申請する際は「令和1年」と書きます。
【あて先】→特許庁から受領した通知が誰からかによって変わります。審査官からの時は「特許庁審査官〇〇殿」、長官からの時は「特許庁長官殿」と書きます。
【事件の表示】→商願2022-XXXXXX、の様に対象案件を特定します。ハイフン(-)以降の番号が6桁未満のとき頭にゼロ(0)が並びますが、省略しないでください。
【補正をする者】→商標の出願の時と同じく出願人の情報(名称や住所など)を記載します。
【代理人】→代理人がいるときは代理人の情報を記載します。これも商標の出願の時と同じです。
【発送番号】→特許庁から発行された通知に記載されています。

補正内容に沿った部分(【手続補正】~)

【補正対象書類名】→補正したい手続書類を記載します。例)商標登録願
【補正対象項目名】→補正したい内容を記載します。例)指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分
※【補正対象項目名】の書き方で、全文補正か部分補正かが決まります。詳細は後述します。

ここからは、【補正方法】別に記載します。
補正方法の種類は大きく以下の3つです。
・変更
・削除
・追加

補正方法が複数生じる時は【手続補正1】、【手続補正2】とナンバリングして記載します。

(1)指定商品や役務を変更する場合(補正方法:変更)
権利化したい商品や役務を全て記載してください。記載しない商品や役務は権利化しないと判断され、一度手続をすると元には戻せませんので、十二分な注意が必要です。

(2)出願時の区分を削除する場合(補正方法:削除)
出願時の区分を削除する時に使用します。特定区分の特定の指定商品や役務を削除したい場合は、「変更」で対応します。

(3)区分の誤記を補正する場合(補正方法:削除と追加、又は、追加と変更)
区分相違(商標法第6条第2項)での補正に該当します。補正方法別に記載をしてください。区分が追加になる場合、追加分の手数料を特許庁に納付する必要があります。

全文補正と部分補正

さて、ここまで各項目にて何を書くべきかを解説してきましたが、補正書を作成するにあたりもう一つ重要な様式があります。それが、「全文補正」か「部分補正」かです。

・全文補正:「指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分」を1単位に補正すること
・部分補正:「第X類」を1単位に補正すること

全文補正と部分補正を組み合わせた補正書は様式違反で受理されません。どちらかの様式に統一して補正書を作成してください。

まとめ

補正書を1通作成するのにも色々なルールがあるんだね。これを一人でやるのは心もとないね。

その通りですね。
補正書は他の手続書類と比べても比較的分量が少ないのですぐ作成出来ますが、書き方を誤ると、本来権利化したい内容と違うことも起こりうる書類です。権利化目前でそういうミスは勿体ないですので、こういう時こそ弁理士や特許事務所の様なスペシャリストと相談しながら対応するべきですね。
当事務所は「Business戦略参謀」として、顧客の知的財産権の取得や活用等をサポートします。お困りごとがありましたら、まずは右下のAmazing DXチャットからご相談ください。

ありがとう、検討するよ。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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