商標登録出願・登録料納付などの手続きを代行してもらうメリット

商標登録出願については、特許庁のサイト等で申請のための様式集が公開されているから、商標出願の願書のフォーマットも簡単に入手できるようになっているよね。
じゃあ、商標と指定商品・役務及びその区分が判っていれば、自分でもできそうだな。費用をかけてわざわざ弁理士や特許事務所に手続きの代行をしてもらう必要もないような気もするなあ。

使う商標が決まっていても、特許事務所では、商標の使用の仕方、将来的な事業の発展等に伴う使用商品・役務の変更・拡大の可能性、あるいは競業他社への牽制を考慮し、様々なアドバイスをしてくれますし、長期的な視点に立てば費用以上のメリットが得られることが多いですよ。

なるほど!中途半端な知識で出願して、後々トラブルになるより、弁理士という資格を持った人がいる、特許事務所に依頼した方がよさそうだね。

商標登録出願の際のメリット

出願前に様々なアドバイスが受けられる

特許事務所では、出願人に商標登録出願の目的・背景を確認し、アドバイスをします。一般には、商標を安心して継続的に使用する権利取得のために、商標登録出願をします。やや特殊な場合としては、出願人の商標の使用が第三者の商標権の権利侵害と疑われている場合では、商標権を取得することが最も重要となります。それは、商標権取得により、権利侵害の疑いが解消するからです。

一方、商標権の取得までは求めないが、審査官または審判官の判断を得ることが目的の場合もあります。例えば、使用する商標は商標としての適格性(識別力とも言います。例えば単なる品質表示は識別力がないとされます)がなく商標登録ができないという審判官の見解が得られれば、第三者が後から使用商標について商標権を取得する可能性がほぼないということになり、今後も安心して継続使用できます。

商標権の取得を急ぐ場合、早期審査の申出をする場合があります。特許事務所は、早期審査に適した内容の願書の作成も可能です。

インターネット出願ができる

特許事務所は、インターネット出願を行うため、同出願ソフトのチェック機能により形式的なエラーを防ぐことができ、また、書面の電子化という手続きが不要です。このため、審査の遅延が生じず、電子化手数料も不要です。

事前チェックによる中間処理の回避

特許事務所では、既に出願人に識別番号(出願人毎に割り当てられる番号)が付与されていないか確認し、出願人の住所・居所表記または出願人名表記の不一致を防ぎます。表記が統一されることにより管理が容易になります。もし、これらが統一されていない場合、既に出願・登録された自分自身の商標を理由とする拒絶理由通知がされることがあります。このため、表記の統一は重要です。ちなみに、商標登録出願後に、特許庁より拒絶理由通知、手続補正指令等といった通知を受取ることがあります。これらに対応することを「中間処理」とも言います。

特許事務所では、出願に際して事前に、一定の範囲での商標調査や識別力の検討を行うことがあります。このため、多くの拒絶理由通知等もスムーズに対応できます。

中途委任の問題点

一方、商標登録について、出願は特許事務所を利用せずに本人が行い、拒絶理由通知があれば途中から特許事務所に代理を依頼する(中途委任といいます)方法も考えられます。中途委任の場合では、拒絶理由通知への対応の余地がなく商標権取得を断念せざるを得ない場合もあります。特許事務所では、どのような拒絶理由が通知されるかある程度全体の流れを予想して、補正または意見書による反論等に対応できるように、出願内容を検討し商標登録出願を行います。このため、確実な商標権取得を目指すには、中途委任ではなく、出願時からの委任をお勧めします。

商標と使用する商品が決まっている場合でも、弁理士や特許事務所に手続きの代行をしてもらうメリットがあるのだね。

うっかりしやすいことですが、指定商品・役務の表記でも「、」と「,」は大きな違いがあり、権利範囲に重大な影響を及ぼします。
また、以前の商標登録出願では問題ない表記が、次の商標登録出願の時には問題となることもあります。例えば、2021年では「衛生マスク」は第5類に属していましたが、2022年では第10類に属します。このため、以前は「5類 衛生マスク」として登録できたとしても、2022年に同様の出願をした場合、拒絶理由通知を受けることになります。
更に、日本国内の商標登録出願は、優先権の先の出願となったり、マドプロ出願の基礎出願となったり、海外と全く無縁ということにはなりません。

同じ依頼するにしても、事業の国際化も見据えて、外国にも強い事務所に依頼するのがおすすめだね!出願以降のメリットも知りたいなあ。

拒絶理由通知等の中間処理の際のメリット

特許事務所のサポート力

専門家としての知識や経験が要求される拒絶理由通知等の中間処理は、特許事務所を利用する最大のメリットです。単に拒絶理由を克服するための意見書・補正書等の作成だけではありません。出願人の利益を最大限尊重し、広い視点からいろいろな選択肢を提案します。以下は、一例です。

①必要な場合には、拒絶理由を通知した特許庁の審査官と面談を実施し、審査官の意図を正確に把握し、必要な権利範囲を維持しつつより登録の可能性の高い意見書・補正書を作成する。

②分割出願により、拒絶理由のない指定商品・役務について早期の商標権取得を図り、拒絶理由通知で言及されている指定商品・役務について争う。

③拒絶理由通知に挙げられた登録の妨げとなる登録商標の権利者等に協力を仰ぎ、拒絶理由を回避する。

④拒絶理由通知のあった商標登録出願について商標権取得を断念し、商標権取得の可能性の高い別の態様で再出願する。

最近は、意見書・補正書の実例の入手が容易になり、専門家に頼らずとも出願人が独力で拒絶理由通知の対応が可能のように思われるかもしれません。しかしながら、対応が容易ではない拒絶理由通知も多く、また、その見極めも簡単ではありません。こうした点からも代理人を利用するメリットはあります。

利害関係者との対応について

登録になるまで、拒絶理由通知・手続補正指令など特許庁からの通知以外にも、様々な事態が生じる場合があります。例えば、出願商標について第三者が無断で使用する場合です。出願人も出願商標を使用しており、適切な警告を行うことにより、商標権を取得した後に、業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができます。

商標登録出願から2~3週間経過後には出願内容が公開されるため、第三者が出願内容を知ることになります。このため、出願商標の利害関係者は、出願商標について譲渡の申出、または許諾の申出をすることがあります。さらには、商標権の取得を阻止しようと、商標登録出願に対し、特許庁に情報提供をする場合もあります。これらの場合、弁理士を利用することで、専門家からアドバイスが得られ、適切な対応を取ることが可能となります。

拒絶査定時のメリットについて

拒絶査定不服審判

権利化を目指すには、拒絶査定不服審判を請求することになります。その場合の費用は高額となりますので、その費用や時間に見合う結果が得られるかが問題となります。特許事務所では過去の経験に基づき、登録審決を得られる可能性を考慮し、依頼人である出願人に対し適切な助言を行うことができます。

識別力がないことを確認するため、拒絶査定不服審判を請求する場合もあります。すなわち、拒絶査定を得ていながら、更に拒絶審決を得ようとする場合です。拒絶査定が一人の審査官の判断でなされるのに対して、拒絶審決は三人または五人の審判官の合議体による判断です。したがって、拒絶審決は拒絶査定と比較して影響力が全く異なります。

識別力欠如の拒絶審決があれば、指定商品・役務の取引実情が大きく変化しない限り、同一の商標・指定商品役務の商標権が成立することはまずありません。つまり、同じような商品やサービスにおいて、自身が使用している商標と同じものについて、第三者が権利を獲得してしまうというおそれが無くなるということです。

登録査定後のメリットについて

出願人の意向の確認

書面による出願の場合、登録査定等の発送は郵送となるため、出願人の転居等により通知が届かないことがあります。特許事務所を代理人とした場合、特許事務所に通知されます。特許事務所では、メール・電話・郵便等、色々な手段により出願人に対してコンタクトを試み出願人の意向(登録料納付の意思など)の確認に努めます。

ちなみに、特許庁では、登録査定・拒絶査定のような重要度の高い特定の書類に関し、送達をすべき場所が不明の場合は、公示送達という特別な対応をします。送達する書類を交付すべき旨を、官報および特許公報へ掲載し、特許庁掲示場へ掲示します。しかし、それでも、多くの場合、出願人は送られ官報等の掲載に気付かず商標登録出願が却下・拒絶確定となるのでないでしょうか。

期限の管理について

特許事務所は、登録査定時または存続期間の登録の申請の際の登録料納付の期限管理を行います。特に、更新登録の申請は、特許庁から通知はなく、10年ごとに行う必要があり、失念しやすいものです。そのため、出願人本人が期限管理を行うことは容易ではありません。

また、登録料は改定されることがあります。このような改定についても、特許事務所から必要な連絡があります。

審判等・侵害事件について

異議申し立て、取消審判・無効審判、または被疑侵害者への対応の際、専門家の助言は大きなメリットです。なお、審判が請求されると商標権者には審判請求書の副本が送達されます。代理人を指定せず、また、権利者の転居等で副本が受け取れない場合は、審判の対応ができず、商標登録が無効・取消となり権利が消滅します。

事業活動に伴い、使用商品・役務または使用商標を変更したりする場合、特許事務所にアドバイスを求めることができます。使用商標または使用商品・役務の変更は、不使用または不正使用による商標登録の取消のリスクや登録商標表示が不正表示とされるリスクが発生します。

引っ越したりしたときに出願人の住所変更届等の特許庁への連絡を忘れてしまいそうだし、慣れない手続は面倒だな…。その点でも特許事務所は便利だね。
また、商標登録後の事情で登録が取消されたり、事業内容の変化によって新たに商標権を取得する必要性が生じたりする可能性もあるから、商標権取得後も専門家と関係を保っておくのがよさそうだ。

そうですね。ただ、特許事務所の中には権利取得に熱心でも、事業との関係での助言は不得手の事務所もあるのではないでしょうか。でも商標権は、事業で活用することが重要です。ここで特許事務所の真価が問われます。

商標登録出願から登録まで1年以上かかることも珍しくないということだし、登録後も永く維持していくことを考えると、商標権の管理等を通して、特許事務所と関係を保っておくことはおすすめだし、そのメリットは予想以上に大きいかもしれないね。
そして、同じ依頼するにしても、ビジネスについて知見のある事務所に依頼すべきだね!

商標登録出願を依頼してみよう

当事務所では「Amazing DX®」という、独自サービスを提供しております。無料の商標調査検索システムをご利用いただけたり、お手軽に商標登録出願の依頼をすることが出来ます。

Amazing DX商標調査
Amazing DX®商標調査 出典:https://amazing.dx.harakenzo.com

Amazing DX®では、オンラインで簡単に指定商品・役務が選べます。

まずは商品を多めに選んで検索し、調査後に×が出たものだけを外して再検索することも簡単です。

迷ったときは、商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えします。チャットでお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
東京法務戦略部商標室長 山﨑 由貴
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