海外への商標登録は必要?出願・登録の方法は? 外国商標制度商標に関する手続 2022年3月29日 2023年6月21日 Amazing DX Support Team 商標登録は海外(外国)へも必要? 自社の製品を海外へ輸出することになったんだけど、日本で商標権を取得しているから、そのまま海外でも商標を使用して良いのかな? 日本で権利を取得した知財をそのまま海外で使用するのはリスクがあります。日本で商標権を取得している場合でも、その権利は原則として外国では認められません 商標をはじめとする知的財産は、各国の法律のもとで権利として成り立つため、原則として、その権利の効力は登録を受けた国に限られます。 このページでは、海外への商標出願・登録の必要性、出願方法についてご紹介します。 商標登録を海外で行うことの必要性 日本で取得した商標権は、日本国内でしか効力が及びません。そのため、日本で商標権を取得している商標であっても、外国では他人に商標権を取得されていたり、逆に、そのまま日本で商標登録されている商標を付した自社製品を外国へ輸出すると、その国の他人の商標権の侵害となる可能性があります。外国で商標を使用する際は、その国でも商標権を取得しておくべきです。 商標調査を行うことの重要性 海外への商標出願の前に商標調査を行うことも有用です。その国での登録可能性を知ることができる他、同一の商標や極めて類似している第三者の商標への侵害を防ぐことができます。また、調査を通してその国の実務の傾向を知り、その国への今後の出願に際しても有益な情報が得られることがありますし、商標権侵害を避けるための対策を事前に検討することができます。 費用も手間もかかる海外への商標出願においては、事前の調査は重要です。「せっかく出願した商標が、先に登録された商標により拒絶された」とならないためには、むしろ経済的・効率的なのです。 外国商標出願を検討すべき人はこんな人 以下のような基準で、出願すべき国をどのように選択すればよいか考えてみましょう。 自社製品を外国へ輸出・販売している その国で他人に商標権を取得されている場合、他人の商標権の侵害となり、差止・損害賠償を請求される可能性があります。輸出を確保するためには、その国で商標出願をしておく必要があります。 外国に自社の営業所、現地法人等がある 既に自社商標が使用されていますので、他人の商標権を侵害しているとすれば、営業上大きな問題となるでしょう。 今後輸出量が増加する見込みの国がある 将来生ずるかもしれない問題を未然に防止するためです。 外国で商品・サービスの提供を行う場合は勿論のこと、主なマーケットは国内であっても、製造が外国であったりする場合に、その国での商標権取得が必要な場合もあり得ます。企業の方も個人の方も、海外でビジネスを展開する上で、何らかの関連が生じる国において商標権を取得しておく必要があるか否か、少なくとも検討は必要です。 じゃあ少なくとも輸出先の国で商標出願を考えなければいけないね。でもどうやって出願すればいいんだろう? 輸出国が多いから大変そうだなぁ 外国で商標権を取得する方法は主に2通りあります。それぞれのメリットがありますので、希望に合った出願方法を活用できますよ 「直接出願」と「マドプロ出願」 直接出願(各国別出願) 商標権を取りたいと思う外国に、個別に出願をするものです。 <手続方法>その国に住む資格を有する者(現地代理人)を通じて手続きを行います。そのため、複数の国で商標権を取得したい場合は、対象国の数だけ手続が必要です。 マドプロ出願(マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願) 簡単に言えば、一度に多数の国々に同時に申請ができる仕組みです。 <手続方法>日本国特許庁へ出願書類を提出し、方式審査が問題なければ世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局(マドプロ出願を管理している機関)に送付されます。「マドリッドプロトコル」という商標(標章)の国際登録制度を定めた国際条約に加盟している国に出願することができ、希望国を自由に指定することができます。 ・参考:特許庁 【商標の国際出願】締約国一覧https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/madopro_kamei.html <特許庁: “商標の国際登録制度活用ガイド”より> それぞれのメリット・デメリット 直接出願 ◯ 現地代理人を介して手続きをするため、国ごとの制度・法律にも適切に対応可能 ◯ 対象国が少ない場合(1~2か国)、費用の節減が可能 ◯ マドプロに加盟していない国々に出願が可能 ◯ 出願国ごとに異なる態様・権利範囲を指定可能 △ 対象国が多い場合、現地代理人費用がかさむ △ 各国の言語へ翻訳する費用が発生する場合がある △ 各国ごと商標の管理をしなければならない マドプロ出願 ◯ 対象国が多い場合、直接出願よりも出願費用の節減が可能 ◯ 一度の手続(一つの書面)で複数の外国へ同時に出願が可能で、手続が簡素 ◯ 「事後指定」として最初に指定していなかった国へも対象の拡張が可能 ◯ 国際登録簿で一元管理されているため、すべての指定国の更新や名義・住所の変更等の手続が一括で可能 △ マドプロ加盟国以外の国と地域には出願できない △ 日本国内における基礎出願または基礎登録が必要で、同一の商標でなくてはいけない △ 日本国内における基礎出願または基礎登録で指定している区分及び商品・役務の範囲を超えて出願できない △ 基礎出願または基礎登録が国際登録日から5年以内に取消・無効となると、国際登録が取り消され、各指定国における保護も受けられなくなる △ 出願対象国が少ない場合は、直接出願と同等かそれ以上の費用がかかる可能性がある △ 各国の審査で拒絶理由が通知された場合、各国の現地代理人を介して手続きする必要がある パリ条約による優先権の主張 直接出願・マドプロ出願いずれであっても、原則として商標登録を希望する国がパリ条約の加盟国であれば、「優先権」を主張することができます。 日本での出願日から“6か月以内”に優先権を主張し出願した国においては、あたかも日本出願と同日に出願されたのと同様の取扱いを受ける権利を享受することとなります。例えば、日本での出願が3月1日、A国での出願が6月1日とした場合、優先権を主張していれば、A国では「日本での出願日:3月1日に出願された」と扱われるので、万が一、第三者がA国で5月1日に同一の商標を出願したとしても、第三者の出願は後の出願となり、不利な取扱いを受けることはありません。 日本で商標権を取得しているし、輸出国が多いから、今回はマドプロ出願が良さそうだ!まずは、輸出国がマドプロ加盟国か確認してみよう 外国商標出願の検討を! 近年では、商品販売のみならず製造過程においても海外との関係は切り離せません。ブランド力強化や問題を未然に防ぐためにも、外国と何らかの関係がある方は、外国商標出願をご検討下さい。 当事務所は、外国商標出願にも強い事務所です。様々な外国への出願経験が豊富です。初めて外国へ出願される方、どのルートでの出願がいいか迷われる方は、チャットでお気軽にご相談ください。商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えします。 各国の情報については、こちらのページからご確認いただけます。 外国商標出願は、外国に特化した弁理士事務所にお任せを。 当所は、創業以来、多数の外国事務所とお付き合いを重ねてまいりました。米国、欧州、韓国などはもちろん、アフリカや中南米、中東にも対応しております。 あらゆる国に対応した、HARAKENZOの外国商標出願サービスを、ぜひご体感ください。 Amazing DXの外国出願 Supervisor for the article: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者