商標権侵害とは?侵害かどうか、どうやって判断するの?

これって商標権侵害?

昨晩、A社のシャンプーを使ってみたんだ!するとほら、髪がこんなにつやつやになったよ。
いいですね。私には髪がないので、その素敵なシャンプーを試すことはできません。
そ、そうだね…?
ところで、このシャンプーの良さをSNSで発信したいんだ。だけど、A社の名前もシャンプーのブランド名も、商標登録されているみたい。SNSに書いたら、商標権侵害になる?

商標権侵害とは何か、商標権侵害になる場合・ならない場合、侵害に対して商標権者のとれる措置を紹介します。

目次 Index
    1. これって商標権侵害?
  1.  商標権侵害とは
    1. 概要
    2. 使用とは
  2.  こんな時は商標権侵害?
    1. 「類似」かどうかが問題となる事例
    2. 自他商品等識別機能が発揮されている使用かどうかが問題となる事例
    3. その他、商標権侵害にならない事例
  3. 商標権者が被疑侵害者に対してできること
  4. 商標権侵害かどうかで迷った時は

 商標権侵害とは

概要

商標権侵害を簡単に説明すると、他人が無断で、登録商標と「同一・類似の商標」を、「同一・類似の商品・サービス」に「使用」する行為です。

なお、商標法上では、商標権の効力や商標権の侵害について、以下のように記載されています。

第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
三 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
四 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
五 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
六 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
七 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
八 登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為

同一・類似とは

下の図で言うと、同一範囲(◎)又は類似範囲(○)で、勝手に商標を使用されていれば、基本的に商標権侵害を主張できます。
非類似の範囲(×)での使用は、商標権侵害ではありません。

使っている商標が同一で、使っている商品やサービスが同一の時に、商標権侵害になる、というのは分かりやすいと思います。下図では、◎のところです。

よく誤解が生じるのが、登録商標と同一の商標を、その指定商品・サービスと異なる商品やサービスに使う場合です。この場合、商標権の侵害となりません。
商品やサービスが全く違う場合は、その商標により識別される出所が混同するおそれがないためです。下図では、右上端の×です。

商標 \商品・役務同一類似非類似
同一×
類似×
非類似×××

◎:同一範囲
○:類似範囲
×:非類似範囲

では、商標が類似する、商品やサービスが類似する、というのはどうやって決めているのでしょうか。

結論から言いますと、訴訟になったときに裁判官が決めるのですが、判断方法は以下のようになります。

商標の類似

商標と商標とが類似しているかどうかは、対比される商標が同一・類似の商品・役務に使用される場合に出所の混同が生じるか否かによって判断されます。
その判断においては、商標の外観(見た目)・称呼(読み方)・観念(意味合い)の三点が取引の実情も加えて考慮され、中でも、称呼が重視されています。

商標が類似するかどうかは、商標に関する専門的な知識・経験がなければ判断が難しいものになります。
類似しているかどうか怪しいなと思った時は、まず、商標を専門とする弁理士に問合せ、調査してもらうのがよいでしょう。

商品・役務の類似

商品・役務の類似は、対比される商品・役務が同一・類似の商標に使用される場合に出所の混同が生じるか否かによって判断されます。
商品・役務が類似するかどうか予見できるよう、特許庁では、「類似商品・役務審査基準」を策定し、商品・役務に類似群コードを割り振っています。類似群コードが同じであれば、原則類似と判断されます。

類似群コードについて、詳しくはこちらの記事を参照ください。
区分が違えば、商標登録できる?事例・判断方法を紹介!

使用とは

定義

商標権者は、指定商品役務について商標の「使用」をする権利を専有します(商標法第25条)。
商標の「使用」については商標法第2条第3項各号に規定があります。

第二条第三項 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
第四項 前項において、商品その他の物に標章を付することには、商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。

つまり、例えば以下のようなものが、商標の使用とされています。

業として

商標権侵害となる使用行為は、業としてされるものに限られます。

従って、ビジネスに関係ないような家庭内での商標使用は、商標権侵害の対象ではありません。

自他商品等識別機能

また、商標には自他商品等識別機能として、その商品の出所を識別する機能があります。
自他商品等識別機能とは、その商標が付された商品が、誰のビジネスに関わるものであるか識別できるようになる力のことです。

簡単に言うと、同じ種類の商品があっても、商標が違えば、どの会社の商品か区別ができることです。

その機能を発揮しないような使用方法の場合は、商標的使用に該当せず、侵害とならない場合があります。

 こんな時は商標権侵害?

「類似」かどうかが問題となる事例

頭皮用育毛剤などに使用する登録商標「大森林」があるときに、商標「木林森」を頭皮用育毛剤に使用したら、商標権侵害でしょうか。
実際はもう少し複雑な事情がありますが、こちらは、商標が似ているかどうか最高裁で争われたことがある例です。
最高裁の裁判官は以下のように判断しました。

使用されている文字が「森」と「林」の二つにおいて一致しており、一致していない「大」と「木」の字は、筆運びによっては紛らわしくなるものであること、被上告人標章は意味を持たない造語にすぎないこと、そして、両者は、いずれも構成する文字からして増毛効果を連想させる樹木を想起させるものであることからすると、全体的に観察し対比してみて、両者は少なくとも外観、観念において紛らわしい関係にあることが明らかであり、取引の状況によっては、需要者が両者を見誤る可能性は否定できず、ひいては両者が類似する関係にあるものと認める余地もあるものといわなければならない。
最判平4年9月22日(平3(オ)第1805号)

外観・観念が似ているので、取引の実情によっては間違えられることがあるので、類似とされています。
そのため、「木林森」を頭皮用育毛剤に使用したら、商標権侵害になると考えてよいでしょう。

商標が似ていた場合、ビジネスの対象となる顧客が被ると、紛らわしくて顧客に混乱が生じます。
さらに、A社の登録商標がある商品に使われていた時に、B社がその商標と似た商標を使って同じ商品を売り始めるのは、A社がこれまで築いてきた信用にフリーライドすることになります。そのため、商標権の侵害行為は、法律上許されていないのです。

自他商品等識別機能が発揮されている使用かどうかが問題となる事例

例えば、商品「歯磨き」について他人の商標「PIKAPIKA」が登録されているとします。
自社製品の「歯磨き」の包装に、「この歯磨きを使うとピカピカに磨けます」などと宣伝文句を記載しても、「ピカピカ」の部分から誰の商品であるかを認識し得ないために、商標的「使用」とならず、侵害には該当しません。

なお、ここで、「PIKAPIKA」と「ピカピカ」は、外観が異なりますが、称呼・観念が似ているため類似商標と考えられます。

その他、商標権侵害にならない事例

商標法第26条に、商標権の効力がおよばない範囲について規定されています。
これらの使用に該当する場合は、商標権の侵害となりません。

例えば自己の氏名等が商標登録されていても、それを普通の方法で表示する使用方法であれば、安心して使うことができます。
詳しくは以下リンクの記事をご覧下さい。
商標登録された言葉を使っていいの? トラブルを回避する方法

シャンプーのブランド名や会社名が商標登録されていても、その良さを個人的にSNSで発信するのは、「業として」の使用ではないですので基本的に問題なさそうですね。
けど、発信する内容や目的には気を付けてください。比較広告のようにしたり、悪い評判を書いたりすると、商標法とは別の法律で規制されることがありますよ。
また、他人の商標が画像商標だった場合、SNSで投稿する際には著作権に注意が必要なときがあります。
奥が深いなあ。

商標権者が被疑侵害者に対してできること

侵害行為に対しては、民事的措置~刑事的措置まで、色々な対応が可能です。

詳しくはこちらのページをご確認下さい。
商標権侵害とは?侵害にあったらどうしたらいい?

専門用語が多いですが、こちらの特許庁HPでも説明されています。商標権侵害への救済手続き

商標権侵害かどうかで迷った時は

商標権は強力な権利です。
A社の商標と似ているとは知らずに使ってしまい、いつの間にか侵害してしまっていた、という場合であっても商標権侵害になります。
商標権の侵害行為は損害賠償請求等の対象となりますので、ビジネスを始める前に、自分の商標に似ている商標があるかどうか調べることをお勧めします。また、商売が軌道に乗り出した頃になって、悪意を持った誰かに商標を横取りされることがないよう、商標が決まれば、早めに出願しておくことをお勧めします。

この点、Amazing DXは無料で自分の商標に似ている商標があるかどうか調べることができ、そのままオンライン上で出願手続に進めます。
もし侵害が問題になった場合も、お問合せ頂きましたら経験豊富な弁理士が対応いたします(相談内容によっては費用が発生いたします。)。

また、他人の使用が侵害に該当する場合、また、自身の使用が侵害に該当すると言われた場合、専門家の意見を聞くのが確実です。
自分の行為又は他人の行為が侵害に該当するかどうか迷ったときは、信頼できる弁理士に侵害にあたるかどうかの調査(侵害調査と言います)を依頼するとよいでしょう。
ご相談、いつでも受付けております。お困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

supervisor
Supervisor for the article:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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