「音」も商標として登録できます!【音商標/新しいタイプの商標】

TVのCMで会社名にメロディを付けて流してみたら、凄い反響があったから、商標出願したいな~
でも、どう出願すれば良いんだろう? 会社名を商標出願すれば良いのかな?
CMでよく流れる、メロディの付いたフレーズについては、フレーズの文字だけではなく、メロディの部分も商標出願できます。
こういった商標は、「音商標」として出願することができます。

音商標について

商標として代表的なものには「文字」や「ロゴマーク」などがありますが、実は「音」も商標登録することができます。

「音」は、元々は商標登録の対象ではありませんでしたが、2015年から新しく商標として登録できるようになりました。

このような「新しいタイプの商標」の制度の概要について、以下の記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
・「商標登録の種類とは?新しいタイプの商標・地域団体商標など

音商標の出願方法

音を商標として出願する場合には、「五線譜」や「文字」(若しくはその両方)を用いて、商標登録を受けたい音を特定する必要があります。

また、音商標を出願する場合、指定の様式に基づいた「音声ファイル」も提出する必要があります。

音声ファイルの様式については、割と細かく定められており、メディアは「CD-R」か「DVD-R」(直径120mm)で、ファイル形式は「MP3」(容量は5MB以下)でなければいけないとされています。

【参考】特許庁公表資料
・「新しいタイプの商標の出願方法~出願の際の注意事項及び様式~
・「商標審査便覧55.01 音商標の願書への記載及び物件について
・「音商標の出願における音声ファイルのファイル形式等について

音商標の登録要件

音商標の音には、他の商標と同じく「識別力」などの要件が課されています。
(参考:特許庁「商標審査基準」)

商標登録の要件全般については、以下の記事をご覧ください。
・「サクッと確認!商標の基本事項と登録要件

登録できない音①:商品やサービスの内容を表す音

「商品が通常発する音」や「サービスの提供にあたり通常発する音」は、商品の内容を説明しているに過ぎないとして、それのみでは登録できないとされています(3条1項3号)。

■ 登録できない音の例
(例1)商品から自然発生する音
⇒商品「炭酸飲料」について、「『シュワシュワ』という泡のはじける音」
(例2)サービスの提供にあたり通常使用される又は不可欠な音
⇒サービス「ボクシングの興行の開催」について、「『カーン』というゴングを鳴らす音」

登録できない音②:極めて簡単な音

「単音」や「これに準ずる極めて短い音」は、極めて簡単な商標(3条1項5号)に該当するため、それのみでは登録できないとされています。

登録できない音③:その他の識別力のない音

風の吹く音や雷の鳴る音など、「自然音」と認識される音については、識別力がなく、それのみでは商標登録ができないとされています。

また、出願した音が、商標ではなく、クラシック音楽や歌謡曲などの楽曲としてしか認識されない場合も、商標登録はできないとされています。

その他にも、以下の音は単体では商標登録できないとされています。

■ 商品又は役務の魅力を向上させるにすぎない音
(例)商品「子供靴」について、「歩くたびに鳴る『ピヨピヨ』という音」
■ 広告等において、需要者の注意を喚起したり、印象付けたり、効果音として使用される音
(例)テレビCMの最後に流れる「『ポーン』という需要者の注意を喚起する音」
■ サービスの提供のために用いられる物が発する音
(例)サービス「コーヒーの提供」について、「コーヒー豆をひく音」

登録できない音④:他の人が先に出願した音

通常の文字商標等と同様に、他の人が先に出願した音商標については、後から出願して登録することはできません。

音商標については、原則として音商標を構成する「音楽的要素(メロディー、ハーモニー、リズム又はテンポ、音色等)」と「言語的要素(歌詞等)」を総合して類似・非類似が判断されます。

【参考1】言語的要素と音商標について

音商標には、メロディー等の音楽的要素だけではなく、歌詞等の言語的要素も含めて出願することができます。

更に、上述した識別力の要件の判断の際には、「音楽的要素」か「言語的要素」のいずれかに識別力があれば、登録は可能であるとされています。

そのため、歌詞やフレーズ等の音に乗せる言葉を指定さえすれば、音の商標の登録自体はそこまで難しいものではないと考えられます。

【参考2】音要素のみで構成される音商標について

一方で、歌詞やフレーズの無い、メロディー等の音楽的要素のみで構成された音商標については、登録は難しくなるものと考えられます。

特許庁のデータベースで調べてみると、音商標の殆どは歌詞やフレーズを伴ったものであり、音のみで構成された音商標は殆ど無いことが分かります。

なお、音楽的要素のみで構成された音商標の初めての登録例について、特許庁が情報を公開しています。
しかしながら、音商標の商標登録が可能になった2015年時点で出願されているにも関わらず、その2年後の登録となっており、ここからも音楽的要素のみで構成された音商標の登録の難しさを推し量ることができます。

ただ、もし音楽的要素のみで構成された音商標を登録することができれば、テレビCM等の点において、競合他社に対して非常に優位に立つことができると考えられます。
もし、音のブランドについて自信があるのであれば、一度商標登録をチャレンジしてみても良いかもしれません。

「音」も商標登録できるんだ! 知らなかったよ。
歌詞やフレーズを含むかどうかで登録の難しさも変わってくるんだね。

音商標の登録例

特許庁のデータベースで検索すると、数多くの音の登録商標を閲覧することができます。
※「検索オプション」で「音商標」にチェックを入れることで、現在出願・登録されている音商標を調べることができます。

各登録ページでは、出願人が提出した音声データを実際に聴くことができます。
個性豊かでとても面白いので、是非一度は聴いてみることをお勧めします。

以下では、音商標の登録の一例をご紹介します。

伯方の塩

伯方の塩 商標 音
商標登録第5871389号

有名な「伯方の塩」。短いながらも印象的なフレーズです。
音声ファイルがとても良い声で録音されているのが注目に値します。

伯方の塩(パーカッション有) 商標 音
商標登録第5905512号

CM等で聴き馴染みのある、パーカッション等のオケ有のバージョン。こちらも商標登録されています。

かっぱえびせん

かっぱえびせん 商標 音
商標登録第5886594号

「やめられないとまらない」から始まるかっぱえびせんのフレーズも商標登録されています。
楽しげな伴奏に子供たちの歌声が非常にマッチしています。

おーいお茶

おーいお茶 商標 音
商標登録第5805757号

こちらは五線譜ではなく、言葉で説明された音商標です。
音声ファイルを聴いてみると、水の流れる音のようなものが背後に聞こえ、趣深いものとなっています。

ニコニコ動画

ニコニコ動画 商標 音
商標登録第5913273号

ネットでおなじみの「ニーコニコ動画」というフレーズも商標登録されています。
声と一緒に笛のような音が聞こえますが、同サービス内でこの音声が時報として流れていたことを懐かしく思う人も少なくないと思います。

LINE

LINE 商標 音
商標登録第5938552号

今や日本で一般的な連絡ツールとして使用されているLINE。
こちらの音は同アプリ内で効果音的な使われ方もしていますが、商標としても登録されています。

セガ

セガ 商標 音
商標登録第5868033号

ゲーム会社のセガの有名なフレーズです。
原音に忠実に「セーガー」と歌詞が記載されているのが、少しシュールで面白いです。

YAHOO

Yahoo 商標 音
商標登録第5860065号

Yahooの音商標。音声ファイルを聴いてみると、「ヤァ↓フゥー↑ウ↓ウゥ↑」とテンション高めに発声されており、謎の中毒性があるのでお勧めです。

色んな音商標が登録されているんだね!
商標の音を聴くっていうのはとても新鮮で面白いね。

まとめ

以上、音商標の要件と、登録例を紹介してきました。

上述の通り、音商標は、言語的要素(歌詞等)を含むかどうかで、登録の難易度が変わってきます。

音商標につき、どのような形での出願が望ましいのか、ご自身での判断が難しい場合は、Amazing DXにてお気軽にご相談ください。
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supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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