【商標登録と独占】商標権を取得すると、どこまで独占できる? 商標登録後 2023年6月12日 2026年9月2日 Amazing DX Support Team 自社の主力商品について商品名の商標登録を検討しているんだけど、商標登録にはどんなメリットがあるの? 1番のメリットは、その商標を登録した自社だけが、「独占的」に使用できるようになることです 他人にマネされるのを防ぐ強力な武器になります 「独占的に使用できる」って、具体的にはどういうことなんだろう? 商標登録をするメリットとは? 商標権は、自社のマークや商品名(商標)を安心して使い続け、お客様からの信用を守るために、商標法に基づいて与えられる強力な権利です。 特許庁に商標出願を行い、審査をクリアして登録料を支払うことで、商標登録原簿に登録されて「商標権」が発生します。 商標登録が完了すると、主に以下のメリットが得られます。 自社だけの独占使用:登録した商品やサービス(指定商品・指定役務)について、その商標を自社だけが独占して使えます(商標法第25条)。 他人の模倣(マネ)を排除:他人が同じような商品に、同じ商標や「似ている商標(類似商標)」を使うことをやめさせることができます(商標法第37条第1号)。 トラブル時の対抗措置:もし勝手にマネされた場合、使用の「差し止め」や「損害賠償」を請求することができます。 日本全国への効力:商標権の効果は、日本全国どこでも及びます(※海外で事業を行う場合は、その国ごとに権利を取得する必要があります)。 以下では、この商標権の「独占する力(商標権の効力)」と、例外的に「独占できないケース(効力の制限)」について、わかりやすく解説します。 商標権の2つの力(専用権と禁止権) 商標権を取得すると、登録した商標を独占的に使えるようになります。 この効力は、専門的には「専用権」と「禁止権」という2つの力に分かれています。 専用権(自分で独占的に使う権利) 商標法第25条に基づき、登録した「まったく同じ商標(同一商標)」を、登録した「まったく同じ商品・サービス(同一商品・役務)」の範囲で、自分だけが独占して使える権利です。 第三者がこの範囲を無断で侵した場合は、商標権の侵害として、使用の中止(差止請求)や損害の補填(損害賠償請求)を求めることができます。 専用権の範囲:【同一商標】×【同一商品・役務】の組み合わせのみ。 それ以外の「似ている(類似する)」範囲については、次の「禁止権」がカバーします。 禁止権(他人のマネを禁止する権利) 「まったく同じ」ではなくても、他人が「似ている商標(類似商標)」を「似ている商品・サービス(類似商品・役務)」に使った場合、消費者が混乱・混同してしまいます。そこで、商標法は以下の範囲についても、他人が無断で使うことを禁止する権利を認めています(商標法第37条第1号)。 禁止権がカバーする範囲: 【同一商標】を【類似商品・役務】に使うこと 【類似商標】を【同一商品・役務】に使うこと 【類似商標】を【類似商品・役務】に使うこと 商標の禁止権とは? 専用権と禁止権の関係 「専用権」は自ら進んで使える権利ですが、「禁止権」はあくまで他人が使うのをやめさせる権利です。 たとえば、自分が登録した商標に「似ている商標」を自ら使おうとした場合、それがたまたま他人の登録商標にも似ていたとします。この場合、その他人の商標権(禁止権)に引っかかってしまうので、自分の商標に類似の範囲であっても使用できません。 つまり、商標登録したからといって、「似ている範囲(類似範囲)」まで自分が自由に独占して使えるわけではないという点に注意が必要です。 商標登録しても「独占できない」ケース(商標権の制限) 商標権は強力な独占権ですが、社会の公平性や利便性を守るため、一定の制限(例外)が設けられています。すべてのケースで他人の使用を完全に排除できるわけではありません。 一般的な第三者との関係における制限(商標法第26条) 名前や商品の説明など、「誰もが日常的に使う言葉」について特定の企業が独占してしまうと、社会全体が不便になってしまいます。そのため、以下のようなケースには商標権の効力は及びません。 ①自分の氏名や会社名を普通に表示する場合(商標法第26条第1項第1号) 自分の本名や、会社の正式名称(商号)を、一般的な方法で表示するだけであれば、他人の商標権を侵害することにはなりません。 例:「ABC株式会社」という会社が、「ABC株式会社」という社名を表示する場合。 注意点:「ABC」の部分だけでの使用は、正式名称ではなく略称での使用となります。「ABC」という略称が著名でない場合、「ABC」の語が登録商標として他人に抑えられていると、商標権侵害になる可能性があります。 ②商品・役務の普通名称、品質などを普通に表示する場合(商標法第26条第1項第2号、第3号) 商品・役務の普通名称や、産地・提供場所、品質、効能、原材料、用途などを普通に表示したものには、商標権の効力は及びません。 例:リンゴの販売パッケージに普通の書体で書かれた「青森県産」「甘くて美味しい」など 特定の相手との関係における制限 他の権利(特許や著作権など)との関係 商標権の登録日よりも前に、他の人がそのデザインなどについて「意匠権」や「特許件」、「著作権」を持っていた場合、商標権があるからといって、その他人の権利を無視して勝手に使用することはできません(商標法29条)。 ライセンス(使用権)を他人に与えた場合 商標権者は、他人に自分の商標を使わせるライセンス(使用権)を与えることができます(商標法30条、31条)。商標権の効力は、その使用権(専用使用権、通常使用権)の存在により制限されることとなります。 専用使用権(独占的なライセンス) 契約で決めた範囲において、ライセンスを受けた人(実施権者)だけが独占的に商標を使えるようになります。 この契約を結ぶと、商標の持ち主(商標権者)であっても、その範囲では商標を使えなくなります。また、同じ範囲で複数の人にこの権利を与えることはできません。 効力発生のためには、特許庁への登録が必要です。 通常使用権(非独占的なライセンス) 「使ってもいいですよ」という許諾を与えるもので、複数の人に並行して与えることができます。 商標の持ち主自身も、引き続きその商標を使い続けることができます。 特許庁への登録は要求されません(ただし、第三者への対抗するには登録が必要です)。 ※「独占的通常使用権」について「独占的通常使用権」は、通常使用権のライセンス契約において、商標権者から通常使用権者に対して、商標の使用について事実上の独占を認めるものをいいます。ただし、専用使用権と同じような第三者に対する損害賠償請求権や差止請求権を持つかどうかは見解が分かれており、あくまでも商標権者に対する債権的な地位にすぎないと考えられています。 商標法で認められた「商標を使用する権利」による制限 商標法上、一定の理由がある場合には、例外的に商標権者以外の第三者であってもその商標を使い続ける権利が認められ、商標権の効力が制限されます。 先使用による商標の使用をする権利による制限(先使用権:商標法第32条)他人の出願前から不正な目的なくその商標を使っており、すでに世間に広く知られている(周知)場合、その後も継続して使い続けられる権利です。これまでの企業努力による信用(既得権)を保護します。 無効審判の請求登録前の使用による商標の使用をする権利による制限(商標法第33条)適法に付与された自己の権利の有効性を信じて、善意で(無効理由があると知らずに)使用することによって築き上げた業務上の信用を保護しようとするものです。 特許権などの存続期間満了後の商標の使用をする権利による制限(商標法第33条の2・第33条の3) まとめ:商標権の「独占」と「例外」を正しく理解しよう 商標権はビジネスの安全を守る強力な盾ですが、社会一般の利益とのバランスをとるために、いくつかの例外ルール(制限)も設けられています。 この「基本となる独占力」と「例外」の両方を正しく理解しておくことが、ブランドを賢く守り育てるための第一歩となります。 なるほど いくつか例外はあるにしても、基本的には商標登録をすることで強力な独占権が手に入り、万が一他人にマネされたときにもしっかり対抗できるようになるんだね はい 商標を登録しておくことで、競合他社が同じような名前を使うのを避けるようになります この「トラブルを未然に防ぐ予防効果」こそ、商標の最大の力といえるでしょう よ~し、自社の主力商品を守るためにも、さっそく商標登録の手続きを進めるよ! 商標出願の前にリスクを回避しましょう! リスクを事前に確認しませんか?商標検索することで、競合他社や既存の権利者との衝突リスクを減らせます。 まずは、商標とヨミガナを入力し、特許庁に出願されている商標を無料で検索してみましょう。 商標 : ヨミガナ: 無料で商標検索する この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者