商標登録(商標権)の税務・会計処理について

商標権は無形固定資産として資産計上

商標登録にかかった費用は経費にできるの?
全額を経費にすることはできません。商標権は、原則、無形固定資産として資産に計上します。
そうなんだ!商標権って形がないから、てっきり全額経費にできると思ってたんだけど・・・

商標権は、税法上、識別可能な資産のうち物理的実体を欠く無形固定資産とされ、貸借対照表の資産の部に計上されます。
商標登録によって自社のブランド製品を作れると考えると、商標権が資産計上されるのもイメージしやすいでしょう。

商標権を取得した場合、権利発生後に途中で他人から譲渡された場合を除いて、償却期間は10年で、残存価額が0円となるように会計処理します。
商標権の存続期間は10年単位であるため、耐用年数が10年だと考えると分かりやすくなります。

本記事では、商標登録(商標権)の税務・会計処理についてご説明します。

無形固定資産とは?

会社はさまざまな資産を取得・所有し、それを元手に収益をあげていくというサイクルを繰り返していますが、その中でも「会社が所有する動産・不動産のうち販売目的ではないもの」で「取得価額が10万円以上のもの」を固定資産と呼びます。

固定資産のうち、「有形固定資産」が土地や建物のように「形のある固定資産」であるのに対し、「無形固定資産」は有形固定資産と違い物理的な形態を持たないが、1年を超えて利用される資産であり、特許権や借地権等の法律上の権利やソフトウェア、のれん(営業権)等があります。

商標権は、ソフトウェア同様に無形固定資産に該当しますが、無形固定資産は形がないため、支出した金額をうっかり全額一時の経費としてしまいがちですが、そうではありません。

商標権は長期にわたり使用することができる資産であり、支出は使用期間にわたって分割して費用化(=減価償却)しなければなりません。

商標登録(商標権)の税務・会計処理

原則 資産計上 10年償却

商標権は、会計上、原則として「無形固定資産」に計上し、耐用年数10年で償却します。
償却開始時期は、商標権の「登録日」で、「定額法」での償却となります。

例外 少額減価償却資産で損金処理

他の固定資産と同様、単価が少額の場合は、少額減価償却資産の特例の取扱いが可能です。

10万未満      「少額減価償却資産の規定」により損金経理
10万以上20万未満 「中小企業の特例規定」か「一括償却資産」を選択適用
20万以上30万未満 「中小企業の特例規定」により損金経理

消費税の取り扱い

国内での商標権取得は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となります。
(外国で登録した商標権の支払いは、「消費税課税対象外」)。

同一の商標権を外国と日本国内の双方に登録している場合もありますので、注意が必要です。

商標登録(商標権)の取得価額の範囲

税務・会計処理で一番迷うのは、支払った金額のうち、商標権として無形固定資産に計上する範囲がどこまでか、という論点です。

出願から登録に至るまでにはさまざまな支出がありますが、これらすべての支出を資産として商標権に計上するわけではありません。
損金に計上できるものもあります。取得時に損金にできるものは、早めに処理したほうが節税につながります。

資産に計上するもの

原則として、無形固定資産として計上する対象は、①購入対価と②付随費用になります。

付随費用とは、事業利用や購入のために直接要した費用です。
例えば、商標そのものを作成するために依頼したデザイン料や商標調査費用などはここに含まれます。

<参考>法基通7-3-15

(出願権を取得するための費用)
7-3-15 法人が他から出願権(工業所有権に関し特許又は登録を受ける権利をいう。)を取得した場合のその取得の対価については、無形固定資産に準じて当該出願権の目的たる工業所有権の耐用年数により償却することができるが、その出願により工業所有権の登録があったときは、当該出願権の未償却残額(工業所有権を取得するために要した費用があるときは、その費用の額を加算した金額)に相当する金額を当該工業所有権の取得価額とする。(昭46年直審(法)21「4」により改正)参考>

損金に計上できるもの

無形固定資産の取得価額に含めなくてよいものとして、「登録免許税その他登記又は登録のために要する費用」が定められています(法基通7-3-3の2)。例えば、「印紙代」や「登録のための弁理士手数料」などが該当します。

<参考>法基通7-3-3の2

(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)
7-3-3の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。(昭50年直法2-21「19」により追加、昭55年直法2-8「二十一」、平23年課法2-17「十四」により改正)
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3) 一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額

支出内容ごとの税務・会計処理

時系列ごと、支出内容ごとのい税務・会計処理をまとめると以下のようになります。

時期内容科目
出願前ロゴなどのデザイン料(デザイン会社など)
商標調査費用(調査会社、弁理士など)
商標権(課税)
商標権(課税)
出願時印紙代
出願手数料(弁理士)
租税公課(非課税)
支払手数料(課税)
出願~登録前印紙代
対応手数料(弁理士)
租税公課(不課税)
支払手数料(課税)
登録時印紙代
登録手数料、成功報酬(弁理士)
租税公課(不課税)
支払手数料(課税)
更新時印紙代
更新登録手数料(弁理士)
租税公課(不課税)
支払手数料(課税)

なお、更新は、使用可能期間の延長となり、「資本的支出」となります。

商標権の譲渡と税務・会計処理

商標権などの無体財産権の譲渡も資産の譲渡に該当しますので、資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得とあわせて総合課税の対象となります。総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つにわかれますが、自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権が所有期間が5年以内の場合でも長期譲渡所得となりますので、商標権も長期譲渡所得に該当すると考えられます。長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。また法人についても、各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とされます。

法人の受贈益

法人が他から資産を贈与された場合は、資産を時価で取得することになり、その資産の時価が受贈益となります。法人が、他から資産を定額譲渡された場合は、資産の取得価額は時価となり、その資産の時価から売買価格を差し引いた金額が受贈益となります。受贈益には、原則として法人税がかかります。

消費税

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡は、消費税の課税の対象となります。この資産とは、販売用の商品、事業等に用いている建物、機械、備品などの有形資産のほか、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの権利やノウハウその他の無体財産権など、およそ取引の対象となるすべてのものをいいます。なお、外国法人への譲渡の場合、「国内において」の要件で判断されるのが原則ですが、輸出免税の適用があると考えられています。

商標の使用権と税務・会計処理

他社が保有する商標権を自社でも利用できる許諾を得た場合、使用料としてロイヤリティ(ライセンス料)を支払います。例えば、親会社である企業から同一のロゴを使って商品の販売もしてもよいという許諾を得た場合、商標権を利用する代わりにロイヤリティが発生します。

ロイヤリティの会計処理は「支払手数料」や「技術利用料」として扱われることが一般的です。しかし、利用料の支払いが1年を超える場合には「繰延資産」として計上しなければなりません。

また、親会社の商標権を使うのではなく、共同で商標権の登録をした場合は、互いに無形固定資産として処理することが必要です。

権利金等として一時に支払う場合

一時的にロイヤリティを支払い、権利金として計上する場合は、「税務上の繰延資産」として計上します。「繰延資産」は、支払いに1年以上を要し、契約期間で数年にわたり償却するものです。

原則5年間の契約期間のうちに償却されますが、契約内容によっては期間が長くなる可能性があるため、確認が必要です。

商標権を有する商品を長期にわたり販売すれば収益を得られるという点で、ロイヤリティは資産計上されると考えるとわかりやすいでしょう。勘定科目は「長期前払費用」として会計処理をします。

権利金等での一時金ではなく毎月支払う場合

権利金としての支払いではなく、毎月ロイヤリティを支払い続ける場合は、資産計上ではなく「費用」として取り扱います。一定期間で毎月同じ金額を支払ったうえで商標権を得られる契約では、一括支払いはありません。そのため、月ごとの「損金」として会計処理をします。支出分を月ごとに売上金から差し引いて処理が可能です。

費用を会計処理する場合の勘定科目は、具体的な項目名を入れます。一般的には「ロイヤリティ」「支払手数料」といった勘定科目が使われます。

消費税の取り扱い

他社の商標権を使用する際は、原則として消費税が課税されます。日本の消費税がかかる取引の中には、事業者が他社から対価を得て行う資産の譲渡なども定められています。そのため、国内で実施される商標権利用のために支払われるロイヤリティには、消費税の支払いが必要です。

ただし、取引が外国の企業が相手になる場合や、事業同士ではなく個人と事業における契約の場合、非課税対象になる可能性があります。

源泉徴収

商標権の使用許諾を得るために、外国の会社にロイヤリティを支払う場合には源泉徴収が必要です。具体的には、日本の税務署に源泉徴収税の納税をして、外国の企業に納付します。

このような場合には、納税前に「租税条約」の適用を受けるための手続きをする必要があります。租税条約は国を超えた取引をする際に、各国で二重に課税が発生しないようにするための条約です。

基本的には日本側で書類を作成し、相手の企業が署名をして提出します。源泉徴収税を納税していないと、滞納税や不納付加算税などのペナルティを受ける可能性があるため注意が必要です。

商標登録により商標権を取得することも大切だけど、税務・会計処理も会社経営として同じように大切なんだね。
そうですね。税務・会計処理は複雑ですので、正しい情報や知識を得ることが大切です。また、他社が絡む税務・会計処理を確認しておくことで、スムーズな調整や方法が可能になるでしょう。
なるほどね。これからは税務・会計処理についても注意を払うようにするよ。

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この記事の監修者:
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大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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