商標登録に関連する法律がわかる:商標法について

商標を色々出願しているんだけど、そもそも商標登録はどのような制度なの?関係する法律はどんなものがあるのかな。

そうですね。商標登録に関しては、商標法という法律がありますよ!

商標法ね。どのような内容の法律なの?
罰則とかあったりするのかな?

商標法とは

 商標に係る最初の法規は、古く明治17年(1894年)の商標条例にさかのぼり、現在の商標法は昭和34年に制定されました。その後、度重なる改正を経て現在に至ります。商標法には次のようにその目的が定義されています。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。(商標法第1条)

 現在施行されている商標法の全文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)のサイトなどで確認することができます。第1章から第9章まで、以下のような構成となっております。

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 商標登録及び商標登録出願(第3条―第13条の2)

第3章 審査(第14条―第17条の2)

第4章 商標権

 第1節 商標権(第18条―第35条)

 第2節 権利侵害(第36条―第39条)

 第3節 登録料(第40条―第43条)

第4章の2 登録異議の申立て(第43条の2―第43条の15)

第5章 審判(第44条―第56条の2)

第6章 再審及び訴訟(第57条―第63条)

第7章 防護標章(第64条―第68条)

第7章の2 マドリッド協定の議定書に基づく特例

 第1節 国際登録出願(第68条の2―第68条の8)

 第2節 国際商標登録出願に係る特例(第68条の9―第68条の31)

 第3節 商標登録出願等の特例(第68条の32―第68条の39)

第8章 雑則(第68条の40―第77条の2)

第9章 罰則(第78条―第85条)

附則

商標の定義

 「商標」とはどのようなものでしょうか。商標法第2条第1項には商標について、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」(=「標章」)であって、次に掲げるものが該当するとしています。

  1. 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
  2. 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。) 

つまり、ロゴなどの標章のうち、事業者が「商品」や「役務」(=サービス)に対して、自己のものであることを表示するために使用するものが商標になります。

商標の使用に関する定義

 商標の「使用」については、次のように幅広い行為がその範囲に含まれています(商標法第2条第3項)。

1 商品又は商品の包装に標章を付する行為

2 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

3 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為

4 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為

5 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為

6 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為

7 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。(略))により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為

8 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

9 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為

(以下省略)

 商品やサービスに係るあらゆる行為での表示が商標の「使用」に該当することが分かります。

商標出願と審査

 商標権を取得するためには商標登録を受ける必要があります。商標登録のためには、商標出願をして登録できるかどうか、審査を受けなければなりません。商標法第4条には、登録が受けられない商標についての規定があり、たとえば、次のようなものなどが挙げられます。

 上記等のような商標登録ができない理由があると判断された場合には、審査官により拒絶理由通知がなされます(商標法第15条の2または3)。拒絶理由通知を受けた場合には、審査官に意見書を提出して反論したり、出願の内容を修正したりすることができます。意見書によって拒絶理由が克服できない場合には、拒絶査定を受けることになります。

 一方、拒絶査定に対して不服の場合は、審判を請求して反論することができます。

登録査定と商標権の発生

 拒絶査定の理由がない場合には、登録査定を受けることができます(商標法第16条)。ただし、登録査定を受けただけで商標権が取得できるわけではありません。商標権は登録査定を受けた後、設定の登録の手続により発生します(同第18条)。具体的には、次のように所定の登録料を期限内に納付することで発生します。

第40条第1項の規定による登録料又は第41条の2第1項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする(同第18条第2項)

 商標権者は一部の例外を除いて、願書に記載した指定商品又は指定役務(サービス)について、その商標を使用する権利を占有します(商標法第25条・第26条)。言い換えれば、他の人が当該商標を使用することを排除する権利を有することになります。

 一方、商標登録をすると、公報に掲載されますが、公報の発行から2か月の期間内には、所定の理由があるなら、誰でも登録に対して異議申立をすることができます(同第43条の2)。

 なお、商標権は10年の存続期間ごとに更新を続けることで、権利を半永久的に保持し続けることができます(同第19条)。

商標権侵害に対する差止・罰則

 他人により商標権を侵害されるおそれがある場合には、次の措置を請求することができます。

 また、他人の商標権を侵害した場合には、たとえば、次の罰則が科せられます。

罰則とは別に、商標権の侵害で被った被害について、民法に基づき損害賠償を請求することができます。なお、商標法第38条には商標権の侵害による損害額の推定方法が規定されています。

なるほど。商標法には商標権に関する様々な規定が記されているんだね!
また、他人の商標権を侵害する恐れがある商標は審査の段階で登録が拒まれるのか。
他人の商標権を侵害した場合には罰則があることも分かったよ。

そうですね。なお、商標法に関しては、少し専門的な内容にはなりますが、「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」で、条文ごとに解説を確認することもできますよ。

なるほど、ありがとう。
権利行使のためにも、他人の権利を侵害しないためにも注意しておかないといけないね。

supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
森山 浩 
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