商標の共同出願の際に注意すべき点を解説! 商標出願前 2023年1月25日 2023年7月24日 Amazing DX Support Team 他の会社と共同で、商標を出願することになったよ! 費用は折半するから半分で済むというメリットはあるけど、デメリットも整理しておきたいな。 共同で商標を出願する場合は、出願前から後において、注意すべき点が多くあります。出願前に注意点を確認しておかないと、後々トラブルになりかねません。 さすがにトラブルは避けたいな。事前に知っておくべき注意点を教えて! 本記事では、共同出願する場合の、出願前から後における具体的な注意点等について紹介いたします。 商標出願も複数人が共同で申請することができる 商標出願においても、二以上の者が共同して申請をすることができます。個人と個人、法人と法人、個人と法人の共同のいずれも可能です。 共同で商標出願する方法 共同で商標出願する場合は、願書の【商標登録出願⼈】の欄を繰り返し設けて、共同する出願⼈の「⽒名(名称)及び住所(居所)」を記載します。また、持分は、【商標登録出願⼈】の次の欄に、【持分】の欄を設け、持分を記載します。 商標が登録された場合、共有者の全員が商標権者となります。 出願後に商標権を共有する方法 共同出願をする他に、登録後に、商標権の持分を一部譲渡することもできます。特許庁に届出をすることにより共同名義になり、その後、共有者の全員が商標権者となります。 共同出願で注意すべきこと 通常の商標出願に比べ、二以上の者が共同して商標出願を行う場合、注意すべきことが複数あります。具体的には、以下の点に注意する必要があります。 なお、共有に係る商標権については、商標法第35条で規定されています(特許法73条の規定を、商標権に準用)。 出願継続中に注意すべきこと 共同で商標出願した場合、出願により生じた権利は共有されます。そのため出願を取り下げる、審判請求を行う等の場合は、共同権利者全員で申請する必要があります(特許法第14条)。 また、持分を譲渡(共同出願人の一人が第三者に名義変更)する場合も、他の出願人の同意を得なければなりません(特許法第33条第3項)。 商標権の使用の際に注意すべきこと 商標権の各共有者の使用については、法律上特に規定がありません。登録商標と同一の範囲で、出願人全員が使用する分には問題ありません。 使用許諾に関して注意すべきこと 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その商標権について専用使用権を設定したり、他人への通常使用権を許諾することができません(特許法第73条第3項、商標法で準用)。 更新登録の際に注意すべきこと 商標権を更新登録する際、権利者全員で手続きを行う必要があります。権利者全員で手続きをしていない場合には更新登録申請書が却下されます。(特許庁 方式審査便覧 商標権存続期間更新登録申請書の却下等の取扱い(商)) つまり、共同出願した場合は、譲渡や審判請求、更新などの大事な手続きは自己(自社)だけでできないのか。 商標出願前から登録後まで、気をつけるべき点が複数あるね。 そうです。権利を共有する分、他の出願人の同意を得たり、他の出願人と一緒に手続きを行ったりする必要があります。 また、使用に関しては定められていない分注意が必要です。出願前に、共同出願人と、登録後にどの事業でどのような態様で、商標を使用するかを話し合ったほうがよいですね。 なるほど。出願前に、共同出願人と注意すべき点を共有して、なおかつ使用する態様をすり合わせしておくと、トラブルを回避できそうだ。 共同出願において 本記事では、共同で商標出願を行う場合の注意点を説明しました。 共同出願は、商標権を共有するという意識をもって、権利を活用しなければなりません。共同出願人同士でのトラブルの回避のため、出願の打ち合わせの段階から出願人全員が携わり、注意点を共有することをお勧めいたします。 共同出願の相談も、ぜひ当所へお任せください。共同出願人の皆様に知っておいていただきたい事項をご案内いたします。また、出願前に共同出願契約を交わすこともお勧めいたします。当所では、共同出願契約の際の契約事項の確認なども承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。 この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者