通販における商標登録と小売等役務制度を徹底解説!

今回の記事では、通販に関する「商標登録」について、特に「小売等役務制度」というポイントに焦点を当てて、解説します。この記事を読んでいただくことで、通販事業を始める際に必要な商標登録の知識が身につくことでしょう。

通販事業で商標登録が重要なのは、何でだっけ?

通販事業だと、自分だけのブランドイメージってすごく大切ですよね
それを守るためにも、商標登録は大事なんです
商標登録すると、競合他社からまねされるのを防げますし、消費者にとっても、信頼できる商品やサービスを選びやすくなるんですよ
通販事業の場合は、「小売等役務制度」を利用するのがポイントです

小売等役務制度っていうのは、何だっけ?

小売等役務制度というのは、小売業、卸売業の方々が使用するマークをサービスマーク(役務商標)として保護する制度です
日本では、平成19年(2007年)4月1日から行われている制度ですよ

1. 商標登録とは?

まず初めに、商標登録について簡単におさらいしておきましょう。

商標とは、商品やサービスを提供する企業や個人が、自分たちの商品やサービスを他の人たちの商品・サービスと区別するために用いるものです。商標登録とは、そのような商標を特許庁に登録し、商標権を獲得することです。

商標権を持つことで、他者が自分たちの商標を無断で使用したときにそれを差し止めたり、損害賠償を請求したりすることができます。

また、商標登録すると、その商標と同じか似ている商標を他人が登録することはできなくなります。

2. 通販における商標登録の重要性

通販事業では、商品やサービスの特徴やクオリティを消費者に伝えるために、独自のブランドイメージが非常に重要です。

商標登録を行うことで、そのブランドイメージを守り、競合他社からの模倣を防ぎやすくなります。

また、消費者にとっても、登録商標を目印に信頼できる商品やサービスを選ぶことができるため、商標登録は通販事業において欠かせないものとなっています。

3. 小売等役務制度とは?

次に、小売等役務制度について解説していきます。

この制度は、「小売業」や「卸売業」などの役務(サービス)に関して定められたものです。出願書類に、第35類として「○○の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と記載することにより、小売・卸売のサービスに使用する商標を登録することができます。

平成19年(2007年)4月1日より前はこの制度がなかったので、小売業・卸売業の方々は、取り扱っている個々の商品を指定して商標登録することしかできませんでした。すると、店舗の看板やショッピングカート、従業員の制服に表示する商標のように、個々の商品に商標が表示されていない場合には、商標権の保護が及んでいませんでした。

また、様々な種類の商品を取り扱っていると、指定しなくてはいけない区分が多くなり、登録のための費用が高額になってしまっていました。

小売等役務制度によって、小売業・卸売業の方々の商標が、適切かつ安価に保護できるようになりました。

4. 通販事業における小売等役務制度の適用

小売等役務は、現実の店舗内におけるサービスに限りません。通信販売におけるサービスに用いている商標も、小売等役務の商標として保護を受けることができます。

ただし、インターネット上の仮想商店街に関して、小売業者に販売の場(コンピュータサーバ内のエリア)を提供しているだけで、商品の小売または卸売を行っていない事業者は、小売または卸売の業務に関する役務を提供しているとは言えません。

通販事業においては、適切な役務を指定し、商標登録を行うことが重要です。

5. 「商品の商標」と「小売等役務の商標」の関係

通販事業においては、販売する「商品」そのものに関連する商標と、小売等役務に関連する商標の両方が存在します。プライベートブランドの商品においては、製造段階で表示される商標は商品の商標として扱われ、商品の出所を表します。一方、店員の制服や陳列棚、ショッピングカートなどに表示される商標は、商品の出所ではなく、小売等役務の出所を表示するものとされます。

例えば、商品そのもの(石けんなど)に直接刻印したり、専用容器(缶コーヒーの缶など)に直接印刷された商標は、商品に係る商標として認識されます。一方、デパートやコンビニエンスストアなどにおける商品の値札シールや包装紙に付された商標は、小売等役務の出所をも表示するものとされ、小売等役務についての商標の使用となります。

商品の広告等に表示された商標も、広告チラシに掲載される目玉商品の写真と価格の表示箇所付近に表示された商標は、製造者の商標として認識されます。一方、広告チラシの隅に表示された小売業者等の商標は、小売等役務の出所を表すものとして認識され、小売等役務の商標の使用と認められます。

通販事業においては、このような商品の商標と小売等役務の商標の関係を理解し、適切な商標登録を行うことが重要です。

6. 商標登録申請の手順

商標登録を行うためには、以下の手順を踏む必要があります。

1.           商標の選定:独自性があり、他の登録商標と区別できる商標を選びます。

2.           指定商品・役務の選定:自分の通販事業に関連する適切な指定商品・役務を選択します。

3.           商標登録申請:特許庁に対して、商標登録申請(=出願)を行います。

4.           審査:特許庁による審査が行われ、登録可否が判断されます。

5.           商標登録:審査にて登録可能と判断されれば、登録料を支払い、商標登録が完了します。

なお、小売等役務を指定する場合には、審査において、他の区分の商品・役務を指定する場合とは少し異なるルールが適用されます。下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

7. まとめ

通販事業において、商標登録は非常に重要です。特に、小売等役務制度を理解し、適切な指定役務を選択することで、独自のブランドイメージを守り、事業の発展につなげることができます。

この記事で紹介した内容を参考に、通販事業における商標登録の手続きに挑戦してください!

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HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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