商標の類似とは?その判断基準について解説!

類似してる!?商標

自分の使用しているマークと似てる商標が登録されていたんだ!どうしたらいいんだろう!?
それは不安になりますね。ただ、商標が似ていたとしても、影響がないケースもあるんですよ。まずは、その類似している他人の登録商標の内容を確認してみましょう。
えっ?商標が似ていたらダメなんじゃないの?詳しく教えて欲しいな。

この記事では、商標の類似の判断基準等についてその概要を解説します。

商標の類似とは?

他人の登録商標と類似しているかどうかは、①指定商品又は指定役務が類似しているか?②商標が類似しているか?の2つの基準で判断がされます。

①と②の条件を両方満たす場合、登録商標の権利を侵害すると判断されます。図式化すると以下の一覧のようになります。

商標\指定商品・役務同 一類 似非類似
同 一✕侵害✕✕侵害✕〇非侵害〇
類 似✕侵害✕✕侵害✕〇非侵害〇
非類似〇非侵害〇〇非侵害〇〇非侵害〇

言い換えれば、商標が類似していたとしても、指定商品又は指定役務が類似していない場合には、他人の登録商標の商標権を侵害していないと考えられます。

ただし、商標権の侵害にはならなくても、不正競争に該当する場合には、使用の差し止めや損害賠償の対象となり得ますので、その点はご注意ください。

自身でその商標を安心して使用するためには、使用しているマークを出願して商標登録する必要があります。

では、各判断基準について、具体的に説明していきます。

指定商品・指定役務が類似してる?

指定商品・指定役務(指定商品等)が類似するかどうかは、商標権侵害かどうか争われる裁判の場における判断と、特許庁の審査における判断とでは違いがあります。

ここでは、商標権侵害かどうか争われる裁判の場での考え方についてご紹介します。

指定商品等の類似性に関する基本的な考え方

指定商品・指定役務の類似性について、『取引の実情』を考慮して、指定商品等にその商標を付した場合に、出所の混同が生じるかどうか?をもとに判断されます。

『取引の実情』とは、その商標に関連する商品の取引方法や需要者層、その他の一般的な取引事情をさします。

特許庁の審査における指定商品等の類否判断

商標登録をするかどうかを判断する特許庁での審査の段階における指定商品等の類否は、通常、「商品・役務審査基準」で設定されている類似群コード(5桁の数字・アルファベットの組合せ)をもとに判断されます。

例えば、以下のように同一の類似群コードに含まれる指定商品は互いに類似すると推定されます。

別の区分に分類されていても、類似と推定される指定商品等もあります。

ここまでが指定商品等の類似に関する考え方です。次に、商標に関する類否の考え方をご説明します。

商標が類似してる?

商標が類似するかどうかは、『外観(見た目)』、『称呼(読み方)』、『観念(意味合い)』を比較し、『取引の実情』を考慮した上で、識別するための標識として『誤認混同が生じるおそれがあるかどうか』で判断されます。

『取引の実情』とは、その商標に関連する商品の取引方法や需要者層、その他の一般的な取引事情等をさします。

識別標識として『誤認混同が生じるおそれがあるかどうか』は、商品やサービスの需要者が、取引をする際に通常払う注意の程度が基準とされています。

『外観』、『称呼』、『観念』の3つの要素を総合的に考慮されます。いずれか1つが紛らわしい場合には、誤認混同が生じると考えられています。一方、最高裁判決において、3つのうち1つだけが類似していても、残りの2つが異なるのであれば、『取引の実情』によっては誤認混同が生じることはないと判例で示されています。そのため、類型はあるものの、それぞれ個別具体的に判断されている状況です。

外観(見た目)について

商標をあらわす文字や図形などの見た目が紛らわしいかどうか、という観点で判断します。

その検討をする際は、それぞれの商標を横に並べて同時に比較するのではなく、時間や場所が離れているものとして判断されます。その理由は、実際に商品などを購入する場合、商標を見比べて購入するかどうかを決めるのではなく、それ以前に別の場所で購入した記憶等をもとにして決めることが一般的だからです。

称呼(読み方)について

商標の読み方(読んだ時に聞こえる音)が紛らわしいかどうか、という観点で判断します。

一つの商標から1つの称呼のみが生じるとは限りません。その構成から複数の称呼が発生する場合には、生じ得る称呼について類似するかどうか判断されます。

観念(意味合い)について

商標の観念(意味合い)が紛らわしいかどうか、という観点で判断します。

観念は商標の構成全体から生ずることもあれば、一部(部分)から生ずることもあります。また、商標に接した需要者が直ちに一定の意義を読み取るようなものである必要があるため、単語などを調べてみて初めてその意味が読み取れるような場合は、商標から生じる観念とはいえません。

造語や意味のない文字や図形、またその組み合わせについては、観念は生じないと判断されます。その場合には、観念が類似するかどうかは検討されません。

取引の実情について

『取引の実情』には、その商標に関連する商品の取引方法や需要者層、その他の一般的な取引事情に加えて、商標の周知性や商標の使用状況・態様、その他の商標の存在状況等一切の実情が含まれます。

外観・称呼・観念の観点から見て類似の程度が高くない場合でも、取引の実情を考慮すると誤認混同のおそれが認められることもあり得ます。

なるほど!単に商標そのものが似ているだけじゃなくて、その商標が指定している商品やサービスも似ている必要があるんだね。

商標権侵害の商標法における定義等の情報は以下の記事ページ上で紹介していますので、ご参照ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。商標の類似の判断基準のポイントがどんなものか、お分かりいただけたと思います。一方、商標が類似しているかどうかは、専門的で分かり難いと思われたかもしれません。

商標が類似しているかどうかの判断を誤ってしまうと、不利益を被ることになりかねません。

商標権の類否判断や侵害判断についてお困りの方は、当所弁理士にご相談ください!

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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