類似群コードは何を示す?商標登録の区分との違いも解説 指定商品・役務の類似性商品・役務区分の選び方用語解説 2022年9月13日 2023年6月19日 Amazing DX guide 類似群コードとは? 商標の指定商品・役務と関連して、区分の他に『類似群コード』っていう用語を聞いたんだけど、指定商品・役務や区分とどういう関係があるんだろう? 類似群コードは、特許庁で審査するにあたり、出願商標や登録商標が互いに似ているかどうかを判断するために付けられるコードのことです。指定商品・役務によってどのコードに該当するかが決まっており、指定商品・役務が似ている場合は、同一のコードが付されることになっています。区分が違っても、同じ類似群コードが付されていることもあります。 そうなんだね。商標出願をする指定商品・役務について、『類似群コード』を調べることはできるのかな?注意が必要な点があったら、それも教えて欲しいな。 この記事では、『類似群コード』の概要や注意点を解説します。 類似群コードのルール 『類似群コード』とは、商標の指定商品や指定役務に関して、生産・販売部門や原材料等に共通性がある商品や提供手段や目的・提供場所等に共通性がある役務(サービス)をグループ化して、その各グループに数字とアルファベットを組合せた五桁の共通コードのことです。 類似群コードの具体例 商品の類似群コードは、昭和34(1959)年法に基づく類似商品審査基準に沿って定められています。商品「燃料」に関する類似群コードは以下の表の通りです。 商品「液体燃料」の類似群コードは、「05A02」になります。 商品区分商品(大分類)商品(中分類)05燃料A固形燃料01液体燃料気体燃料02工業用油B工業用油01工業用油脂C動物性油脂植物性油脂加工油脂01ろうDろう01高級脂肪酸E高級脂肪酸01 役務の類似群コードは、平成3(1991)年改正の類似商品・役務審査基準をもとにして付与されています。第35類の役務は以下の一覧の通りです。 役務「求人情報の提供」の類似群コードは、「42G02」です。 役務区分役務類似群コード35広告業35A01トレーディングスタンプの発行35A02経営の診断又は経営に関する助言市場調査又は分析商品の販売に関する情報の提供ホテルの事業の管理35B01財務書類の作成又は監査若しくは証明35C01職業のあっせん35D01競売の運営35E01輸出入に関する事務の代理又は代行35F01新聞の予約購読の取次ぎ35F02速記筆耕35G01書類の複製35G02文書又は磁気テープのファイリング35G03コンピュータデータベースへの情報編集35G0342P02電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作35G04建築物における来訪者の受付及び案内35H01広告用具の貸与35J01タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与35J02消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供35L01求人情報の提供42G02新聞記事情報の提供42G04自動販売機の貸与42X07 先頭の区分を表す数字2字について、それぞれ昭和34年、平成3年を基準にしているため、現在の商品・役務区分とは合致していないケースがあります。 類似群コードを決めるのは? 類似群コードを決めているのは、特許庁です。 商品・役務と類似群コードの対応関係は、特許庁が発行する「類似商品・役務審査基準」により公表されています。 特許情報プラットフォーム(J-Platpat)を使って、類似群コードを検索・確認することもできます。詳細は、以下の記事をご参照ください。 商標調査:商標登録できるか出願前に検索! 「類似商品・役務審査基準」が毎年の年初めに改訂されるのに伴い、類似群コードの見直しも行われています。商標出願をする際に『類似群コード』を確認する際は、最新の「類似商品・役務審査基準」をご参照ください。 類似群コードの役割とは 出願された商標について、その出願の指定商品・役務に基づいて付与された類似群コードの範囲内で、特許庁の審査官が審査を行います。同一又は類似する他人の登録商標がないかどうかや、その他の登録要件を満たしているかどうかについて審査されます。 同じ類似群コードが付されている指定商品・役務は、原則、互いに類似すると推定されます。“推定”のため、確定ではなく、実際の指定商品・役務に関する取引の実情を考慮した結果、同一の類似群コードでも非類似の指定商品・役務とされる場合もあります。ただし、とても稀なケースのため、その判断が必要な場合には、専門家(特許事務所、弁理士)に相談することをお勧めします。 商標出願をする時の注意点 商標出願をするとき、指定する区分における類似群コードの数に注意が必要な場合があります。 具体的には、特許庁の審査で、指定する一つの区分の中で広範囲な商品を指定しているときには、本当にその商標を使っているのか?使う予定があるのか?を確認するステップがあり、それに該当する場合には、「拒絶理由通知書」でその確認が行われることになっています。 その時点では必ずしも使用している必要は無く、将来(2~3年程度先)に使用する予定があれば、使用の意思を示す証明書類が準備できれば問題ありません。 実際に使用している証拠資料や、使用の意思を示す証明書類を提出することで、商標登録に至ることは可能です。ただ、その書類の準備や提出手続きには相応の労力(特許事務所や弁理士に依頼した場合には手数料(費用))が必要になります。 広範囲な商品・役務に該当するかどうかは一定の基準が定められており、類似群コードの数が1区分内で23個以上になっているかどうかで判断されます。22個以内であれば特許庁の審査において、商標の使用に関する確認を受けることはありません。 ただし、35類の小売等役務に限っては、複数(2以上)の小売役務の類似群が指定されている場合には、商標の使用に関する確認を受ける点に注意が必要です。 また、内容によって、該当したり、該当しなかったりするケースがあります。詳細は、以下の特許庁ホームページにより公開されている商標審査便覧(商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について※PDFデータが開きます)をご参照ください。 類似群コードと区分の関係 『区分』とは、それぞれの商品・役務が属する分類のことで、その内容によって第1類から第45類までの45の区分に分けられています。 区分と類似群コードの関係については、以下記事にて紹介していますので、ご参照ください。 区分が違えば、商標登録できる?事例・判断方法を紹介! なるほど!類似群コードと商品・役務の関係が良く分かったよ。区分が違っても、同じ類似群コードになることがあるのには、注意が必要だね。 まとめ いかがでしたでしょうか。類似群コードは、商標登録のために必要な指定商品・役務と密接な関係があることがお分かりいただけたと思います。 「Amazing DX®」の商標調査では、指定商品を選んでいただくと自動的に類似群コードを参照し、登録商標の中に類似するものがないかどうかを、調べています。また、類似群コードの数についてもカウントしており、23以上になる場合は、お知らせするようになっているので、うっかり多く選んでしまうことを防ぐことができます。 商標出願の前にリスクを回避しましょう! リスクを事前に確認しませんか?商標検索することで、競合他社や既存の権利者との衝突リスクを減らせます。 まずは、商標とヨミガナを入力し、特許庁に出願されている商標を無料で検索してみましょう。 商標 : ヨミガナ: 無料で商標検索する この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者