【商標登録】無料フォントでロゴを作るときの注意点 商標出願前 2022年3月9日 2022年7月20日 Amazing DX Support Team 商標登録に無料フォントを使うと問題あり? 費用を安く抑えるために、ロゴ商標を自分で作ろう!おしゃれなフリーフォントを使えば、かっこいい商標が自分で作れるぞ ちょっと待ってくださいそのフリーフォントは、商用利用や商標登録もOKなものですか?フォントによっては、問題になることもあります 問題になるのは困るなぁどんなフォントなら、自分の商標に使ってもいいのかな? 自分でロゴ商標を作成するとき、Web上で配布されている無料のフォント素材や、PCソフト・アプリ等に最初からインストールされているフォントを使うことができれば、素敵な商標を費用をかけずに作ることができますよね。でも、他人が作成したフォントを、自分の商標に使用することは可能なのでしょうか。また、そのようなフォントを利用した商標を商標登録することに問題はないのでしょうか? この記事では、フォント素材を商標に使用するとき・商標登録するときの注意点について解説します。 フォント素材にはどんな権利がある? 著作権との関係 フォントに関する権利として、1番に思いつくのは「著作権」ではないでしょうか。フォントは文字に関する一種のデザインですから、様々な芸術作品に関して、その制作者が独占的に利益を受けられる権利である著作権が発生するのではないか、と考えるのも自然なことです。 ただし、フォントのデザイン自体が、著作権で保護されることは、非常にまれだと考えられます。 なぜなら、フォントが著作権の対象となる「著作物」と認められるには、以下の条件を両方満たすことが必要だからです。 従来の印刷用書体に比べて顕著な特徴を持っているといった独創性を備えていることそのフォント自体が美術鑑賞の対象となりえる美的特性を備えていること(参照:最小判平成12・9・7民集第54巻7号2481頁) つまり、フォントが著作権で保護されるためには、そのフォントが他のフォントとは全く異なる特徴を持っていて、かつ、そのフォント自体が美術品・芸術品となれるようなものでなければならない、ということです。 例えば、フォントの1文字1文字に絵や装飾が付いているようなフォントの場合、著作権で保護されている可能性があります。しかしながら、そのようなフォントばかりではありませんよね。むしろ、そのようなフォントは少数派だと思われます。 ですので、世の中のほとんどのフォントについては、自分の商標に無断で利用したとしても、著作権法違反になる可能性は低いです。 よっぽど特徴的じゃなければ、フォントが著作権で保護されている可能性は低いのかじゃあ、私の商標に使っても、何も問題ないんじゃない? 理論上はそうなのですが、実際にはそうとも言い切れません 利用規約との関係 無料のもの、有料で販売されているものに関わらず、フォント制作者の多くは、自分の作ったフォントを配布するときに、利用規約・利用条件を設定していて、フォント利用者にその条件下での利用を求めています。利用条件は、フォント制作者によってさまざまで、例えば以下のようなものがあります。 無料・事前報告なしで商標への利用OK、商標登録OK商標への利用は可能だが、その商標の商標登録するのは不可商標への利用・商標登録には、事前にライセンス(契約の締結・使用料の支払いなど)が必要 利用規約に違反した場合には、フォント制作者から訴訟を提起される可能性もあります。 上記のとおり、フォントが著作権の保護対象である可能性は低いので、利用規約外でのフォント素材の利用が、裁判などで実際に違法と判断されるかはまた別の問題ですが、訴えられる可能性自体がリスクですよね。そのようなリスクはできるだけ避けたいものです。そのためには、利用規約をきちんと確認しましょう。 利用規約に「商用利用OK」「商標登録OK」と明記されているフォントなら、安心して利用することが可能です。 トラブル回避には、事前の確認が重要だね! プログラムの著作権について 「フォントのデザイン」が著作権で保護されている可能性は低い、とお話ししましたが、一般的に「フォントのプログラム」は著作権の保護を受けます。なので、フォントのプログラムを改変したり、コピーして再配布したりすることは、著作権違反となる可能性が高いです。 そのフォントがインストールされている(またはインストールした)ソフト上で、フォントを使って商標を作成する行為では、通常、フォントのプログラムに手が加えられることはないと思いますが、「プログラム」には著作権が発生することには注意してください。 このフォント、商標登録OK?要注意? 普段よく目にするフォントについて、商標に利用できるのか、注意が必要なのか、いくつかご紹介します。 Adobe製品に初めからインストールされているフォント Adobe製品に初めからインストールされているフォントは、その製品を使って商標を作成する場合には、商標への使用OK・商標登録OKです。 また、Adobeが提供するフォントサービス「Adobe Fonts(アドビフォント)」は、Creative Cloudを利用していれば、追加料金なしで利用できます。 参考:Adobe フォントのライセンスhttps://helpx.adobe.com/jp/fonts/using/font-licensing.html#act-copyright Windowsに初めからインストールされているフォント Windowsに初めからインストールされているフォントの内、「MS」から始まるフォントと、「メイリオ」など「著作権」の表示がMicrosoft社になっているフォントは、商標への使用OK・商標登録OKです。「著作権」の表示は、フォントのプロパティから確認できます。 ただし、Windowsに初めからインストールされているフォントでも、「著作権」の表示がMicrosoft社以外になっているものについては、商標への使用OK・商標登録OKとは限りません。このようなフォントについては、その「著作権」に表示されているフォント制作者がどのような利用条件を設定しているかを確認する必要があります。 参考:Font redistribution FAQ (Frequently Asked Questions) for Windowshttps://docs.microsoft.com/en-us/typography/fonts/font-faq リコー社が提供するフォント リコー社が提供するフォントを商標に使用したい場合、事前にリコー社からライセンス(許諾)を受ける必要があります。これは、Windowsに初めからインストールされているフォント(主に、「HG」から始まるフォントなど)であっても、同様です。 参考:RICOH フォントのライセンスでできることの範囲を見る/広げる(商用利用)https://industry.ricoh.com/font/license/ 「MS 明朝」、「MS ゴシック」について 「MS 明朝」と「MS ゴシック」のプロパティを見ると、「著作権」の表示はリコー社になっています。しかし、これらのフォントは、現在は販売権がMicrosoft社に譲渡されているので、Microsoft社の利用条件のもとで使用することができます。 ヒラギノフォント MacやiPhoneなどで標準的に使用されている「ヒラギノ角ゴ」などの「ヒラギノフォント」は、商標への使用OK・商標登録OKです。 参考:ヒラギノフォントのサポート情報サイト ライセンスについてのFAQhttps://www.screen.co.jp/ga_product/sento/support/licensefaq.html#anchor1-1 商標登録の「標準文字」制度について 日本の特許庁に商標出願をするときには、自分で用意したロゴ画像のデータを使うほかに、「標準文字」という形式で出願することもできます。「標準文字」は、商標出願・登録のために特許庁が指定している書体なので、フォントの利用条件の問題は生じません。 「標準文字」制度は、日本で日常的に使われている文字(ひらがな、カタカナ、数字、アルファベット、一般的な漢字、一部の記号)だけでできている商標にしか使えませんが、あなたの商標がそのような商標なら、「標準文字」での出願も検討してみてください。ちなみに、日本の商標制度では、「標準文字」での出願でも、ロゴ画像データを使った出願でも、出願・登録にかかる費用は同じです。 文字商標を商標登録しよう!ロゴ商標との違い・標準文字も解説 ロゴ商標を自作して、商標出願しよう! 上記のとおり、フォント素材の制作者が、無料・報告不要で商標への使用や商標登録を認めているフォントなら、問題なくあなたのロゴ商標に使用して、商標登録できます。実際に使用する前に、しっかりと確認してくださいね。 無料の素材を使ってロゴを作ったら、商標登録も安くやりたいですね。 当所のオンライン商標調査・出願サービス「Amazing DX®」では、弁理士事務所(特許・商標事務所)に依頼するよりも安く、自分1人で挑戦するよりも簡単・確実に、商標調査・出願・登録を行うことができます。 Amazing DX®では、オンラインで簡単に指定商品・役務(サービス)が選べます。まずは商品・役務を多めに選んで検索し、調査後に×が出たものだけを外して再検索することも簡単です。 どの商品・役務を選んだらいいか迷ったときは、商標専門の弁理士があなたの疑問にお答えします。チャットでお気軽にご相談ください。 さっそく商標検索する! この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者