商標の登録査定とは?登録査定への対応は?

登録査定って何?

この前、商標を出願したよ!この後、登録になるまでにどんな手続があるんだろう。
出願後、特許庁から審査結果が届くまで、通常はおおよそ9ヵ月かかります。登録できなさそうな場合には「拒絶理由通知」が届き、登録になる場合は「登録査定」が届きます。
審査の結果には2種類あるということだね。
登録査定が届いたらどうなるの?登録のための費用を支払ったりする必要があるよね?
そうですね、それでは「登録査定」について説明しましょう。

ここでは、登録査定とは何かや、登録査定に対する対応について紹介します。

それとは別に、拒絶査定を含め、査定とは何かについて知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

登録査定とは

一言で表すと、登録査定は、登録を許可するという通知です。
しかし、登録査定が出たからと言って登録された訳ではありません。つまり、まだ商標権は発生していません。
登録のためには、登録査定後に手続きをとる必要があります。

手続きについて説明する前に、形式的な「登録査定」とは何かを見て行こうと思います。

法文上の規定

登録査定については、商標法第16条に規定されています。

第十六条 審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

このように法上では、「登録査定」ではなく、「商標登録をすべき旨の査定」となっています。
商標法第16条に書かれているように、拒絶理由がないときや、拒絶理由があったとしてもそれが解消された時には、登録査定をすることになります。

「政令で定める期間内に」とされているのは、マドリッド協定議定書加入による要請で、
商標出願に拒絶理由があるかどうかを、一定の期間内に知ることが制度的に担保されるようになりました。
なお、この「政令で定める期間」とは、1年6月です(施令3条)。

旧法下での登録査定

平成8年より以前は、拒絶理由を発見しない商標出願については、登録査定の前に出願公告を行い、一般公衆へ異議申立ての機会が与えられていました。

出願公告制度というのは、出願の内容を開示する制度です。
開示された出願は一般に公開され、その商標が登録されることに異議がある者は異議申立てを行うことができました(登録前の異議申立制度)。
異議申立てのための期間中に異議申立がない場合、期間経過後に晴れて登録査定が出ていました。

なお、下で説明しますが、現在では登録査定後に異議申立ての機会が設けられています。

登録査定が出るまでの期間について

出願から登録までどれくらいの時間が掛かるかについては、以下の記事をご覧ください。

登録査定が出た後の対応について

登録料納付の手続

登録査定後、その商標を登録させたい場合は、指定された期間内に登録のための料金を納付する必要があります。
登録料を納付しなかった場合、出願が却下されます。

登録料納付には期限があり、登録査定の書面を受け取った日から30日以内に登録料納付書の提出及び登録料の納付が必要です(延長可能)
また、登録料は、5年又は10年から、支払い年数を選択することができます。
5年以上の長期間使用する予定のない商品や役務などの商標については、5年納付がよいかもしれません。10年間、商標権を存続させたい場合は、分納と言って、後半5年を納める必要があります。

10年分を一括で納付する場合は、32,900円×区分数です。
5年分を分割して納付する場合は、17,200円×区分数です。
このように、出願した商標の区分の数によって登録料は変動します。

登録料納付期限の延長や、登録料納付期限の計算の方法についてはこちら

登録料納付の詳しい手続きや登録料納付書の作成についてはこちら

登録料納付後

登録料納付後1週間以内に設定登録がなされます。この時点で商標権が発生します。
登録証(紙)は、設定登録後1~2ヶ月程で、特許庁から郵送されます。

公告

設定登録の後、2~3週間ほどで商標公報が発行されます。
この公報は、特許庁のHPから誰でも閲覧することができます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0000

この商標公報の発行後2ヶ月間は、誰でも商標登録の取り消しを求めることができます(商標登録異議申立)。

特許庁の運用

「登録査定」の様式

実際の登録査定ですが、以下のようなフォーマットで届きます。

電子出願した場合は、データで届きます。特許庁へ郵送した場合等は、紙で郵送されてくるはずです。見落とさないように気を付けてください。
昔の住所に登録査定が送られて来たらいけないから、引っ越した時は、特許庁に伝えないとダメだね。
はい、住所変更の手続きをする必要がありますよ。提出しなければならない書面や費用があるので、気を付けてください。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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