そもそも商標登録とはどういう意味?わかりやすく解説します!

「今度僕の会社で新商品を出そうと思うんだ。その商品の名前に商標をつけるか検討中なんだ。初めてで少し不安だし、商標登録ってどんな感じなんだろう?仕組みとかってどうなってるんだろう?」

「『商標登録』って言葉は知っていても、どんな制度なのか、どうしたら登録できるのかってなかなかイメージが湧かないですよね。まず、商標登録の仕組みを一緒に見ていきましょう!」

1 商標とは

商標って何?

 私たちは、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用する文字やマークを“商標”と呼んでいます。

 私たちは商品を購入したり、サービスを利用したりする際に、それぞれの事業者が使用している“商標”を目印の一つとして商品やサービスを選んでいます。

 “商標”を利用することは、私たち消費者と商品・サービスを提供している事業者の双方にメリットがあります。

 具体的には、私たち消費者は、“商標”を介して、3つの機能を受けていることが知られています。

3つの機能

① 【出所表示機能】

 同一の商標を使った商品やサービスはいつも決まった生産者、販売者又は提供者によって、提供されていること

 “商標”が事業者にとって、自己の商品・役務を他人のものと区別する機能を有しているということになり、“商標”によって商品・サービスの差別化が可能になります。

消費者:同じ商標ならば、いつも同じ生産者・販売者・提供者であると知ることができる。

事業者:自己(自社)の商品・サービスと他者(他社)の商品・サービスを差別化することができる。

② 【品質保証機能】

 同一の商標をつかった商品やサービスは、いつも一定の品質を備えているという信頼を保証していること

 私たち消費者は“商標”によって保証された品質をもとにその商品を購入したり、サービスを受けたりすることが可能となり、事業者は長年の企業努力によって培われた信用・信頼を“商標”を通じて、商品・サービスに付与することができます。

消費者:品質を予想できること、品質が担保されていることによって、安心して商品を購入したり、サービスを受けたりすることができる。

事業者:長年にわたり醸成した信用や信頼を商品に付与することができ、企業ブランド、商品ブランドの価値を作り出せる。

③ 【広告機能】

 商標を広告に使用することにより、その商標がその事業者の商品やサービスであることを私たち消費者に伝え、私たちの購買意欲を喚起させること

 テレビや新聞等で自己の“商標”を付した商品・サービスを広告することは、私たち消費者に商品ひいては事業者の信用・信頼をさらに印象付けることになり、新たな商品に対しても購買意欲を喚起させることができます。

消費者:商標と事業者の商品やサービスを結びつけることができる。

事業者:消費者に事業者の信用・信頼を印象付け、購買意欲を高めることができる。

 これら3つの機能により、私たち消費者は安心して一定の品質の商品を購入したり、サービスを受けたりすることができます。

 事業者は、”商標”を通じて、商品に好意的なイメージをつけたり、他社の商品との差別化を図ったりすることができます。日々の企業努力によって、商品のブランドイメージを高めることで、培ってきた信用を消費者にアピールし、購買を促すことができます。

商標にはどんな種類がある?

 一口に商標といってもいろいろな種類があります。参考にいくつか例を見ていきましょう。
以下は、特許庁ホームページの 2021年度知的財産権制度入門テキスト 第4節 商標制度の概要 の抜粋となります。

出典 https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/2021_nyumon.html


商標法で「商標」とは、第2条「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」であって、「一、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの。」「二、業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの」と定めています。

(※商標法ではサービスのことを“役務”といいます。)

 平成26年の法改正により、これまで商標として保護することができなかった「動き」「ホログラム」「音」「位置」「色彩」なども商標法の保護対象として認められることとなりました。

2 商標登録の目的やメリットについて

商標登録って何?

 商標登録とは、特許庁に出願する手続きのことを指します。登録が認められると商標権が付与されます。

何のために登録するの?

商標法第1条には

「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」とあります。

 消費者のためだけでなく、産業が発展していくためにも、その商品がどの事業者から生産されているものなのか、その商品やサービスの質がどの程度担保されているのか、消費者にもわかりやすいシステムが必要になります。

 商標制度では、商品やサービスに付される目印として”商標”を定めて、これを保護しています。

商標登録の仕組み

 商標登録の仕組みを5つ見ていきましょう。

① 【登録主義】

日本では商標を使用したか、していないかに関わらず、商標出願を経て商標権の成立を認める登録主義を採用しています。(商標が使用された事実に基づき商標権の成立をみとめる使用主義という立場もあります。)

② 【審査主義】

 特許庁で出願商標について、登録要件を満たしているか審査官により実体審査が行われる審査主義の採用をしています。(実用新案登録は実体審査をしない無審査主義を採用しています。)

登録要件を満たしていない出願は、出願人にその旨を通知し、意見書や出願書類の補正など手続きを行っても改善されない場合、最終的には拒絶されます。

③ 【先願主義】

 商標法においては、同じもしくは似ている商品・サービスに関して、出願があった場合、最も早く出願した商標のみが登録されます。

日本では先願主義に基づいて、先に出願した商標が保護されます。

④ 【存続期間】

 商標権の存続期間は、設定登録の日から10年間です。商標権の特徴として10年ごとの更新によって半永久的に使用できる点があります、また登録費用は10年分の一括納付だけではなく、5年ごとに分割して納付することもできます。

⑤ 【効力範囲】

 日本で行った商標登録による商標権の効果は日本国内に限定されます。そのほかの外国においても商標権を主張したい場合には、各国ごとに商標権を取得する必要があります。

 ※現在、日本はマドリッド協定議定書に加盟しています。これにより、マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録が可能です。この国際登録したとしても、直ちにすべての国で商標を保護ができる訳ではありませんが、商標権を主張したい国ごとに出願手続きをすることに比べ、商標の保護に係る手続きが大幅に短縮されました。しかし、すべての商標を登録することができる訳ではありません。商標登録できない商標を見ていきましょう。

3 商標登録できない商標

登録できない商標とは?

商標法第3条では以下のように規定しています。

「一、その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」

「二、その商品又は役務について慣用されている商標」

「三、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」

「四、ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」

「五、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」

「六、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」

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 すなわち、

1商品・サービスの名前が普通名称として使われているもの

2商品又は役務(サービス)の名称として一般的に使われている商標

3商品の産地、販売地などやサービスの提供の場所、質などのみを表示する商標

4ありふれた氏又は名称のみを表示する商標

5極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(マーク)のみからなる商標

6その他誰の商品又はサービスであるかを認識することができない商標

 これらに該当する商標は登録できません。

 またそのほかにも、

・国旗や公共機関のマークに似ているもの

・公序良俗に反する恐れがあるもの

・他人の氏名やその略称等を含むもの

・そのほか他人の商標と同じまたは類似の商品やサービスに使用するもの

なども商標登録できません。

4 商標権とは

商標権ってどんな権利?

 商標権は、商標を使用する者の業務上の信用を維持し、需要者の利益を保護するための権利です。商標権者は指定した商品やサービスについて、独占的に使用することができ、また似ている商標に関しても排除することができます。

登録すると何ができる?

 登録することによって、

・自分の商品やサービス名を自分の登録商標として安心して使い続けられる

・紛らわしい商標を他人が登録したり、使用したりするのを防ぐことができる

 また権利を侵害する者に対して、

・侵害行為の差し止めを請求できる

・損害賠償などを請求することができる

商標登録しないとどうなる?

 登録しないことで本来の権利者が不利益を被る場合があります。

・ほかの人が先に登録しまいせっかくの商標が使えない

・似ている商標利用者の使用を止められない

・商標登録をしてないことで品質の悪い偽物が出回ってしまう。

・商標登録してないがために、信用不足でほかの企業と取引してもらえない。

5 商標登録の方法

どうやったら商標登録できる?

 商標登録はスピード感が一番大事です。商品・サービスと使用したい商標が決まったら、出願してみましょう!

・具体的な手順として

1商標の事前調査をしましょう!

2出願書類を作成しましょう!

3審査を待ちましょう!

4手数料を納付しましょう!

詳しくは「商標登録できるサイトはある?商標出願の方法と役立つサイトをご紹介」をご確認ください。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
東京法務戦略部商標室長 山﨑 由貴
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