意外な商標登録!?有名商標の登録例と商標の普通名称化

商標と一般名称

商品紹介ページに「他社の商標の記載があるから」って、ページの修正になってしまった。指摘された語はずっと、どこかの会社の商品名とかじゃなくて、普通の言葉だと思ってたよ。
普通の言葉だと思われるほどに、みんなに浸透している、ということですね。これは商標が有名になっていることを表す嬉しいことである反面、商標を保有する側からすれば困った点も・・・
商標が有名になりすぎて、みんなが商標だと認識しなくなっているんだね。普段の会話で使う分には問題ないけど、会社で使用する言葉は結構神経質になるなあ。

商標があまりに有名になりすぎると、そのサービスを表す語や商品そのものを指す語であると勘違いしているケースが出てきます。そこまでならまだしも、あまりに有名になりすぎたことで、実際に商品やサービスの名前そのものになってしまうことも。ここでは有名な商標をいくつか紹介し、どうすれば「有名になりつつ商標でなくなってしまう」ことを防げるのかについて、解説します。

有名な商標

世の中には「あまりにその商品名やサービス名として有名なため、商品そのものの、サービスそのものの名称であると勘違いしている事例」というのが存在します。以下にいくつか有名な商標の例と、実際の一般名称を掲載します。一般名称を使用せずに、“商標”の方を一般名称的に使用していることについて、心当たりがある方も多いのではないでしょうか?

登録番号:0546229等、商標権者:ニチバン株式会社

※一般名称:セロハンテープ

登録番号:0555762等、商標権者:日本プラモデル工業協同組合

※一般名称:プラスチックモデル

登録番号:1537538等、商標権者:ジョンソン アンド ジョンソン

※一般名称:ばんそうこう

登録番号:1968478等、商標権者:はごろもフーズ株式会社

※一般名称:ツナ缶詰

登録番号:3023793等、商標権者:ヤマトホールディングス株式会社

※一般名称:宅配便

登録番号:4079967等、商標権者:TOTO株式会社

※一般名称:温水洗浄便座

普段の会話で一般名称的に使用してしまっているものばかりだ!でもここまで有名になっているなら、むしろ企業にとっては嬉しいことなんじゃないの?

商標の普通名称化

商標が商品やサービスそのものの名称と勘違いされることが多くなればなるほど、その期間が継続すればするほど、商標としての機能(自社の商品と他社の商品を区別する機能、商標が使用されている商品の出所が自社であると表示する機能)が失われていきます。そのため、当該商標の本来の権利者が使用し続けたとしても、もはやその商標は自社の信頼を表すものではなくなっていくのです。

これを「商標の普通名称化」と言います。

普通名称化した商標

以下の語は、元は商標として使用がなされていましたが、現在は裁判所や特許庁において普通名称に該当している、と判断された例、および商標として登録されていたものの権利放棄や無償開放により独占的な使用をされなくなった例です。そのどれも現在は誰もが一般名称的に自由に使っている言葉であって、おそらく、元の商標の権利者が誰であったのか、ということがすぐに出てくる方はなかなかいないのではないかと思います。これが商標の普通名称化です。

・雷おこし

・サニーレタス

・ポケベル

・巨峰

・エスカレーター

・デジカメ

商標の普通名称化を防ぐには

商標が普通名称化してしまうと、もはや商標として扱われなくなります。そのため、全く関係のない人が勝手に使用していても、使用の差し止めなどは認められなくなります。また、正当な権利者であっても、普通名称化してしまった後では、商標登録もできません。

では、商標の普通名称化はどうすれば防げるでしょうか。

商標であることを明示

「この用語は当社の商標(登録商標)だ」ということを、商標を使用する際に主張しておくことが大事です。登録商標の主張方法については、以下の記事もご参照ください。

こうして自社の商標であることを明示しながら使用・販売することによって、一般名称ではないことを周知させ、どの会社のどの商品・サービスであるか、ということも一緒に伝えていくことが重要です。また、自社においても一般名称的に商標を使用せず、必ず登録商標であることを意識し気を付けて使っていかなければなりません。

第三者による無断使用の排除

第三者、特に競合事業者やマスメディアによって、自社商標が普通名称的に使用されていないかを注視する必要があります。ただし、普通名称的に使用されていたとしても、「商標の使用」に当たらない限り使用の中止を求める法的な権限はありませんので、あくまで使用者に対して「注意を促す」というのが目的となります。

一方、「商標の使用」にあたるような第三者による使用があった場合には、早いうちにその使用を阻止し、自社の独占的使用を保護することも重要となります。

他社の商標を一般の名称として使ってはいけない理由は、ここにあったんだね。商標が普通名称化してしまって、商品やサービス名が商標じゃなくなってしまうのはブランドに大きなダメージだし、神経質になるのもわかる気がしたな。

普通名称化防止は企業の努力

現在、日本の商標法において普通名称化を防止するための制度は存在しないため、普通名称化を防止するのはあくまで企業努力に任されています。上述の有名な商標として紹介した商標が商標であり続けているのも、不断の企業努力の賜物です。

とはいえ、努力の過程において権利をスムーズに主張・行使し得るためには、まず権利を取得しておくことから始めなければなりません。また、普通名称化した後に商標を登録しようとしても、それが認められないことは既に述べた通りです。 大事な商標については、まず商標を出願して権利を保有しておくことをオススメ致します。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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