類似群コードとは。類(区分)が異なる商標でも安心できない?

区分や商品名・役務名が違うのになぜ?

この前、商標の拒絶理由通知を受けたんだけど、思い当たる節が無いんだよね。
すでに登録になっている商標とは区分が違う商品や役務を選んでいるし、サービスの内容も違うと思ったけどなぁ。

それは、類似群コード、が同じだからですね。
商標の審査では、区分が異なっても、指定した商品や役務に同じ類似群コードが付されていると原則として類似の商品・役務として判断されるんだ。

そうだったのか、じゃあこの際に、類似群コードを理解して、ついでに拒絶理由も解消しよう。

類似群コード

日本では、商標法第四条第一項第十一号で明記されている通り、他人の登録商標と同一又は類似の商標であって、かつ、出願に係る指定商品又は指定役務が同一又は類似のものである場合は、商標登録を受けることはできません。
この後者の部分「出願に係る指定商品又は指定役務が同一又は類似のものである」の判断に、類似群コード、が使用されています。

この類似群コードは、特許庁が作成・発行している、商品及び役務が分類されている表「類似商品・役務審査基準」で誰でも確認が出来ます。

※「類似商品・役務審査基準」は年始に新版に更新されます。現在は「国際分類第11-2022年版」ですが、2023年1月からは「国際分類第12-2023年版」になります。

ここでは、類似群コード、ついて詳しく解説いたします。

類似群コードの構成

類似群コードは、数字とアルファベットから成る五桁の共通のコードになります。

・第1類 化学品 01A01
・第3類 化粧品 04C01
・第5類 薬剤  01B01
などのように表されます。

日本の場合は、五桁のコードですが、諸外国では桁数が違うこともあります。日本の類似群コードが諸外国でも通用するわけではありませんので、ご注意ください。

なお、日中韓類似群コード対応表のように、各国の特許庁が協力して、各国の商品や役務の類似群コードを対比して確認出来るリストも作成されています。

類似群コードの意味

類似群コードは、指定商品・指定役務ごとに付与されており、先行商標の調査、権利範囲の確認、拒絶理由解消のための指定商品又は指定役務の補正、他人の登録商標との権利の抵触の有無の判断等の様々な調査に利用されています。

類似群コードは「推定」

審査実務上、同じ類似群コードが付された商品及び役務については、原則としてお互いに類似するものと推定されます。
一方で、同じ類似群コードでも、出願商標と引用商標のそれぞれで指定された商品・役務を比較して類似しないと判断されることもあります。逆も然りです。

類似群コードは「推定」であり、絶対的ではない、と覚えておいてください。

一つの商品(役務)に付されるコードの数

「類似群コードは、指定商品・指定役務ごとに付与されており」と述べましたが、一つにつき1コードという訳ではありません。以下のように複数のコードが付される商品・役務はたくさんあります。

・第4類 燃料 05A01 05A02
・第8類 手動利器 13A01 13A03
・第25類 被服 17A01 17A02 17A03 17A04 17A07

複数コードが付されているということは、それだけ他の商品・役務の「要素」を包含している、とイメージいただくと分かりやすいと思います。

他区分で同じ類似群コード

同じ類似群コードは違う区分の指定商品・役務が付されていることがあります。

例えば、第1類の化学品の類似群コードは01A01ですが、他の区分の別の商品でも付されています。

・第2類 カナダバルサム,コパール,サンダラック,セラック,ダンマール,媒染剤,腐蝕防止剤,防錆剤,マスチック,松脂,木材保存剤
・第3類 家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤
・第4類 固形潤滑剤
・第19類 タール,ピッチ
・第30類 アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤

他区分で同じ類似群が付されている商品や役務を一目で確認したい場合は、特許庁のサイトにもある他類間類似商品・役務一覧表がおススメです。

極端に言えば、第30類のアイスクリーム用凝固剤を指定して商標出願しても、第2類の防錆剤で登録されている商標と類似していたら、拒絶理由が出る可能性があるってことだね。類似群コードは大事だね。

備考類似とは

実務的な内容になりますが、「備考類似」という類似群コードが異なるが類似する商品・役務が存在します。
通常、指定商品・役務の類否判断は類似群コードが同じであるかのみによって判断されますが、例外的に第三者から異議申立や無効審判が請求された場合のみ、類否判断を行うとされています。

備考類似の関係にある商品や役務を一目で確認したい場合は、特許庁のサイトにもある備考類似商品・役務一覧表がおススメです。

類似群コードの上限数

願書に記載できる指定商品・指定役務は、願書に記載の商標を使用又は使用する予定があるものに限られます。
そのため、願書に記載された指定商品・指定役務が一つの区分の中で広範囲に及ぶ場合などは、商標法第三条第一項柱書に基づく拒絶理由を通知して、商標の使用又は使用の予定について、書面をもって確認を行う場合があります。

このとき確認の目安として類似群コードの数が数えられ、1区分における上限数は22個とされてます。
出願時の指定商品・指定役務を選択時にはこの数にも注意しましょう。

まとめ

類似群コードって、正直なところ気にしていなかったけど、こんなにも大事なコードだったんだね。
区分が違うから大丈夫だ、の考え方は危険ってことなのかな。

その通りです。
商標調査を実施するときは、類似群コードをベースに先行商標を検索します。
特許庁のサイトには自分で類似群コードの確認ができる資料が多く作成されていますが、一人で検討せず、特許事務所や弁理士に確認することも大事ですね。
当事務所は「Business戦略参謀」として、商標の調査や顧客の知的財産権の活用等をサポートします。お困りごとがありましたら、まずは右下のAmazing DXチャットからご相談ください。

ありがとう、何かあれば相談してみるよ。

supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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