商標権の侵害により発生する損害賠償はいくら?算定方法について

他社の商標権を侵害すると、差止請求や損害賠償の対象となるのはわかったよ。
ところで、損害賠償ってだいたいいくらくらい請求されるのかな?
大まかな算定方法があります。その方法について解説しましょう。

本記事では、損害賠償請求の金額の算定方法について簡潔に説明します。

商標権の侵害とは

商標権の侵害とは、何の権限もなく他人の登録商標を、指定商品・役務(サービス)について勝手に使用する行為です。
当該行為は、使用の差止めや損害賠償請求の対象となります。

損害賠償請求額の算定方法

他社の商標権を侵害した場合に請求しうる、また侵害者が責任を負う損害賠償の金額はどのように算出されるのでしょうか。
商標法では、損害額の算定方法は以下の通り定められています。

算出規定その1(商標法第38条第1項に基づく請求)


「損害額」=(「使用相応数量の限度における侵害者の譲渡等数量」ー「特定数量※1」)×「権利者の単位あたりの利益」+「使用相応数量を超える数量又は特定数量に応じたライセンス相当額※2」

※1 譲渡数量の全部または⼀部を商標権者等が販売することができない事情に相当する数量
※2 商標権者等が侵害者にライセンスの許諾をし得たとは認められない場合には損害額が認定されない。

具体的には、本規定には以下の点が定められています。

商標権者等が、侵害行為がなければ販売することができた商品の単位数量あたりの利益額に、
侵害者が譲渡した模倣品の数量のうち商標権者等の使用の能力に応じた数量(使用相応数量)を乗じて得た額と、
使⽤相応数量を超える数量の模倣品が譲渡された場合には、この数量分のライセンス相当額
をそれぞれ計算し、その合計を損害額とすることができる。

算出規定その2 (商標法第38条第2項に基づく請求)


「損害額」=「侵害者が得た利益」

具体的には、本規定には以下の点が定められています。

侵害者が侵害行為によって利益を受けている時は、その利益の額をそのまま権利者の損害額と推定する。

算出規定その3 (商標法第38条第3項に基づく請求)


「損害額」=「ライセンス相当額」

具体的には、本規定には以下の点が定められています。

・たとえ侵害者が侵害行為によって利益を得ていなかった場合
・何らかの理由により同条第1項、第2項の規定の適用が受けられない場合
上述の場合でも、侵害者に対し、ライセンス料相当額を損害賠償として請求できることを規定。

算出規定その4 (商標法第38条第3項に基づく請求)

TPP協定上、商標の不正使⽤について、商標権の法定損害賠償制度⼜は追加的損害賠償制度の導⼊が要求されています。
これに伴い、商標法第38条第5項は、商標権の取得及び維持に通常要する費⽤に相当する額を、商標権者等が受けた損害の額とすることができる旨を規定しています。

いずれの算出方法が用いられるかは、事例による

ここでは、算出方法をイメージしてもらうために、算出方法の概要をお伝えいたしました。
実際の算出方法や、上述のうちどの算出方法が適用されるかは、事例ごとに異なります。

詳しい内容については、特許庁ホームページをご覧ください。

算定方法は複数あるんだね。また、侵害者が侵害行為によって利益を得ていなかった場合の救済規定があるのだね。
請求できる金額はケースごとによるのだろうけど、決して安い金額ではないだろうね。自分の会社が賠償金を支払うはめになったら、とんでもない損害になりそうだ。
そうですね。まずは、他社の商標権の侵害をしない、これに尽きます。自社の商標が、他社の商標権を侵害していないかの判断が自分だけで難しい場合は、専門家へ相談することをお勧めします。
確かに。商標や指定役務が類似しているかしていないか、専門家でないと正確に判断できないかもしれないね。商標の使用や出願の際は、前もって専門家に一度確認してみるよ。

商標の侵害による損害賠償を防ぐために

自社の商標と全く同一の商標で、指定商品・役務も全く同じ登録商標の有無は、自社で調べることはできます。
Amazing DX のサイト上に、無料で使用できるデータベース(J-platpat)の使用方法の一覧をまとめた記事があります。
Amazing DX のサイトは、サイトマップがあり、必要な情報を検索しやすく整理しております、ぜひご利用ください。

まずは、商標を使用する前や、商標登録の出願前に、同一の登録商標の有無を調べましょう。

自社だけでの調査が不安なら、当所へぜひご相談ください!

一方で、自社の商標または指定商品・役務が類似している、他社の商標権についての調査は経験者でないと難しいかもしれません。
類似商標との検討でお困りの際は、知的財産の業務の専門家である当所へお気軽にご相談ください!
実務経験豊富なスタッフが調査を対応します。調査を専門家へ依頼しない場合に比べ、商標権の侵害をより避けやすくなります。

(Amazing DXのご利用もご検討されている場合、当所スタッフによる調査にかかる費用はAmazing DXの費用に加えて別途発生いたします。)

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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