自身の商標を他人に出願・登録されていた!解決方法はある?

他人に商標を取られた?!

自社製品のブランド名を商標登録出願したら、他社に先を越されて登録されていたことがわかったんだ。明らかに当社のブランドなのに、どうして関係ない他人が登録できるの?
商標法上、他人の商標を出願・登録することはできてしまうんです。実際、他人に先を越されていたという事例は多いです。
えぇ~!!!法律でそう認められているなら、当社はもう使えないんだね・・・大事にしているブランドなのに、とても困ったな・・・
「その商標は登録されるべきではない」という理由がある場合、いくつか解決方法がありますので、泣き寝入りはまだ早いですよ!

なぜ他人が出願・登録できてしまうのか

日本では、先に出願した人に権利を与えるという「先願主義」がとられています。
たとえ先に使用している人がいたとしても、その人が商標登録していなければ、先に出願することにより、他人が登録できてしまいます。

また、商標とは、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標について」登録を受けることができます【商標法第3条第1項柱書】。

上記の「使用をする商標」とは、出願人等が既に使用している場合だけでなく、指定商品または指定役務について、『将来使用する意思がある』場合も含まれます。

よって、まったく関係のない他人でも、商標出願、ひいては登録までもが可能です。

そして、残念なことに、他人の商標の先取りとなるような商標登録出願をし、実際にその商標を使用している者に対して高額な使用料を請求するなどのビジネスをする人がいます。

特許庁の注意喚起

近年、一部の出願人から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料を納付していない、手続き上の不備のある出願となっています。
特許庁としてもこれを問題視しており、注意喚起しています。


自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)

特許庁によると、自らの商標を他人に商標登録出願されていたとしても、自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないように、と呼びかけています。

先取り出願が商標登録を受けられない場合

①手数料の未納
当たり前ですが、出願しても出願手数料を納付しない場合、却下されます。
却下処分は、出願の日から概ね4~6カ月で行われます。

②出願された商標が出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)

「指定商品または指定役務について、まったく関係のない他人でも商標出願ができてしまう」ということを冒頭で申し上げましたが、特許庁での一般的な審査では、出願の願書に記載された指定商品または指定役務について、商標を既に使用しているか、または使用する意思があるかどうかという点について「合理的な疑義がある場合」には、登録は認めないことになっています(商標審査基準第1二2.(2))。

③他人の著名な商標の先取りとなるような出願

あなたの商標が有名・著名である場合は、その商標または類似の商標を他人が出願したとしても登録が認められない可能性があります。
ここで、「著名」とは、当該商標の指定商品または指定役務の最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標を含むものとされています(商標審査基準第3七3.)。

また、「他人の氏名もしくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」に該当する場合にも、商標登録を受けられません(商標審査基準第3七5.)。

その他、「第三者の公益的なマークの出願」「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある出願」の場合等が当てはまります。

とはいえ、必ずしも先取り出願が却下されるとは言い切れません。相手もいわば「ビジネス」をしているわけですから、さまざまな手口を使って、登録にまで至る先取り出願の商標もあるでしょう。
その他人の商標は登録されるべきではない場合、特許庁に申立てを行うことで、商標登録を阻止できる制度があります。

他人の商標登録を阻止するには?

他人に商標を出願・登録されたことがわかったとき、あなた自身がとり得る対応について考えましょう。

情報提供制度

特許庁に情報を提供して、出願された商標が登録されるのを阻止する制度です。審査中の商標に対して利用できます。

詳しくは関連のガイドページで解説しています。

異議申立

他人の商標登録に対して、特許庁長官宛てに異議を申し立てる制度です。
商標が登録されると、「商標公報」にて公示されます。そこで登録されるべきではない商標を発見した場合、正当な理由を記載した「異議申立書」を提出することができます。

無効審判

異議申立ができる期間は決まっており、公示された日から2ヶ月です。それを過ぎてしまった後でも、無効にすべき理由があれば、「商標登録の無効審判」を請求することができます。その商標登録の利害関係者のみが請求できます。

不使用取消審判

他人の商標登録に気づいたときには、その商標は登録から3年以上が経過していたとして、その権利者が登録商標を3年以上継続して使用していない場合、不使用に基づく商標登録を取り消すための審判(不使用取消審判)を請求することができます。

なお、他人に商標を出願される以前から自身が使用していたこと等の条件を満たせば、自分が商標を継続して使用する権利(先使用権)があります。

まだ諦めなくていいんだね。他社に先を越された商標登録に有効は方法はどれか、相談してみよう!

まとめ:大切なことは、早めの出願!

他人に出願・登録された商標について、解決方法があることをお伝えしましたが、大変な労力も費用もかかってしまいます。
また、登録された商標の場合、取り消しが完了するまでは、安心して関連商品の販売やサービスが行えませんよね。

やはり大切なのは、自身の商標は早めに出願を行うことです。

悪意を持って勝手に他人の商標を出願する人たちは、商標未出願の商品名などを狙っていますから、世間に公開する前に素早く商標出願を行うことを心がけましょう。

Amazing DXでは、日本への商標出願を素早く行うことができます。
ぜひご活用ください。

supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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