カナダの商標登録手続きと更新方法を解説!

カナダの商標登録にはどのような手続きが必要なのかな?
まず、商標出願書の作成が必要です。出願人の氏名や住所、商標の説明などを記入します。その後、商標出願書が審査されます。審査に通れば許可通知が発行され、出願が公告されます。
商標登録の期間はどれくらいなのかな?それと更新手続きはどうすればいいの?
商標の存続期間は登録日から10年間です。存続期間満了の6ヶ月前に、更新手続きを行う必要があります。更新手続きをすることで商標の権利を維持することができますよ。

カナダの商標制度について分かりやすく解説

1. はじめに

カナダで商標権の権利保護を行うための情報をご紹介します。

海外で知的財産権の保護を考えている方にとって、役立つ情報となれば幸いです。

以下では、カナダの商標制度に関するポイントを分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2. カナダにおける商標権

(1) 使用主義と登録主義

カナダでは、「使用主義」と呼ばれる制度が採用されていますが、後述の通り、出願基礎の特定や使用宣誓書の提出は不要となりました。

(2) 分類(商品または役務)

カナダにおいては、以前は指定の区分制度はありませんでしたが、2019年6月17日の改正によりニース分類に基づく商品や役務の指定が必要となりました。

(3) 出願から審査まで

① 願書に必要な情報

・出願人の氏名・名称/住所(英語表記)

・商品や役務、区分

・商標に関する説明

② 審査

カナダの商標制度では、先願主義が採用されています。

審査の結果、拒絶理由がない場合や解消された場合には、許可通知(Notice of Approval)が発行されます。

ただし、拒絶理由がある場合は対応が必要です。

③ ディスクレーム(権利の部分放棄)

カナダでは、商標の一部に記述的な語句などが含まれている場合、その部分について排他的権利を要求しないことがあります。

出願人の意思で自発的にディスクレームを宣言することも可能です。

(4) 出願公告

許可通知の発行後、出願公告が行われます。

出願公告の2ヶ月以内には異議申立の機会があり、誰でも異議を申し立てることができます。

(5) 商標登録と更新

① 登録

異議申立期間の経過後、商標の登録証が発行されます。

ただし、2019年6月17日より前に出願された商標については、登録料の支払いが必要です。

② 存続期間

商標の登録日から10年間が存続期間です。

③ 更新

商標の存続期間が終了する前の6ヶ月以内に、更新手続を行う必要があります。

★【改正商標法の施行について】(2019年6月17日より施行)

カナダの商標法は、2019年6月17日に改正が施行されました。

以下に主な改正内容をご紹介します。

  1. 出願基礎の廃止・使用宣誓書の廃止
    改正後は、出願時に出願基礎の特定や使用宣誓書の提出が不要となりました。
  2. ニース国際分類の適用と区分制度の導入
    改正法により、カナダでもニース分類に基づく区分指定が要求されるようになりました。以前は区分指定は必要ありませんでしたが、改正後の登録更新時にはニース分類に従った分類分けが必要です。
  3. 商標権の存続期間が10年に短縮
    商標権の存続期間が従来の15年から10年に短縮されました。ただし、改正前に登録された商標については、15年の存続期間が維持されます。次回の更新時からは10年の存続期間となります。
  4. 商標の定義の拡大
    商標の定義が大幅に拡大されました。ホログラム商標や動き商標、音商標、味商標、匂い商標、触覚商標など、様々な形態の商標が保護されるようになりました。
  5. 識別性の審査の厳格化
    改正法により、「識別力の欠如」を理由とした拒絶が強化されました。
  6. マドプロに加盟
    マドプロ出願でカナダを指定することが可能になりました。
  7. Official Feeの改訂
    区分制度の導入により、区分ごとに出願印紙代、更新印紙代が発生するようになりました。
  8. 出願分割制度の導入開始
    改正法により、出願の分割が認められるようになりました。
改正によって、カナダの商標制度は国際的な基準に沿った商標制度になったんだね!

3. 条約

カナダは、パリ条約、WTO協定、商標法条約、マドプロ、ニース協定に加盟しております。

4. まとめ

以上が、カナダの商標制度について分かりやすく解説した内容です。

商標登録や更新には、専門知識と手続きが必要ですので、具体的なケースについては専門家の助言を受けることをおすすめします。

当所は、カナダへの商標出願・登録の経験が豊富です。ぜひご相談ください。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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