ブランディングとマーケティングの違いとは?

ブランディングとマーケティングの違いって?

率直な疑問だけど、ブランディングとマーケティングって、何がどう違うの?

どちらも営業活動に欠かせない活動ですね。
簡単に解説すると、ブランディングはそのブランドやサービスが「相手」にどう思われているか、マーケティングは、そのブランドやサービスが売れるための仕組みづくり、です。
ただ、明確な定義はなく、マーケティングと聞くと「広告」とか「市場調査」のようなイメージを持つ方多いですね。

なるほど、根本的に意味が異なる訳だね。それぞれの用語をしっかり理解していこう。

マーケティング

マーケティング、という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
「広告」、「市場調査」といったイメージが強いのではないでしょうか。

今回の記事では、マーケティングの概要、マーケティングの基本の要素など知識として持っておくべき内容をまとめました。

マーケティングは、英単語の「マーケット(market)」から派生して誕生した言葉です。
ですが、「セールス」のように日本語訳で直接表すことが出来ないため、どういう意味を持っているか明確な定義はないと言われています。

公益社団法人日本マーケティング協会ではマーケティングは以下の通り定義されています。

マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。

https://www.jma2-jp.org/jma/aboutjma/jmaorganization

もう少し分かりやすく説明すると、対象者(お客様など)の目線に沿い商品やサービスの魅力など伝える事、そしてそれらを売れるための「仕組みづくり」、と言えます。

この「仕組みづくり」の為に、様々な活動が行われています。前述の「広告」や「市場調査」はマーケティング活動の一つです。

マーケティングもブランディングと同様に「ブランド」を広める・浸透させる上で重要な経営戦略の一つです。
マーケティングで「売れる仕組み」を作り、ブランディングでブランドイメージをターゲットに浸透させることで、自社の商品やサービスが継続的に売れるようになり、結果的に企業の事業や経営の安定化に繋がる、という訳です。

つまり、マーケティングとブランディングは、切っても切れない密接な関係性がある、という訳です。

先人たちの言葉(コラム)

先人達が「マーケティング」をどう定義しているか紹介致します。
海外の方々ですが、知っている学者の名前もあると思います。


フィリップ・コトラー
アメリカ生まれのマーケティング学者であり、マーケティングの分野において最も有名な人物の一人です。
「近代マーケテイングの父」や「マーケティングの神様」と評されています。

「マーケティングは生産物を処分するための技術などではなく、なく、本物の顧客価値を生み出すための活動で、顧客の生活向上を支援する概念でもある」、「マーケティングの役割とは、たえず変化する人々のニーズを収益機会に転化することだ」など、マーケティングの本質について広く理解を得るための活動を行っていることで知られています。

ピーター・ドラッカー
経営マネジメントの権威であり、『会社という概念』や『マネジメント』『プロフェッショナルの条件』など数多くの著作を出版しています。

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」という言葉にもある通り、自然と売れる状態を作ることがマーケティングとしています。
そのためには、今取引をしている顧客だけでなく、取引をしていない対象者(ノンカスタマー)から何を欲しているのか、どのような点を価値としているのかを知る必要があるとしました。

ドラッカー氏といえば、「もしドラ」で有名な書籍「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」でご存じの方も多いと思います。

・セオドア・レビット氏
ドイツ生まれの学者で、近視眼的マーケティング(マーケティング近視眼)という概念を発表したことで有名です。

近視眼的マーケティングとは、企業が商品を販売するにあたって、その商品の機能のみに着眼してしまうと自らの使命を狭く定義することになり、そのような方法では競合や環境変化が起これば対応しきれないこと、を説明しています。
レビット氏は「顧客は商品を買うのではない。その商品が提供するベネフィットを購入しているのだ」と主張しているとおり、顧客は商品そのものを必要としてるのではなく、その商品によってもたらされる期待価値を得るために購入しているとして、「顧客志向」という概念の重要性を広めました。

マーケティングを構成する4つのP

顧客のニーズと提供する価値(ブランド、サービス、など)について絞り込めたら、それらを顧客にどのように提供するかの検討が必要です。
その考え方の一つが、マーケティングの基礎である「4P」です。
*ちなみに、マーケティングの4Pを最初に提唱したのはエドモンド・ジェローム・マッカーシー氏ですが、コトラー氏が最初の提唱した者だと、なぜか誤解している読者がいるが、「先達がいる」とコトラー氏が説明しています。

4Pとは、
・Product:製品、サービスなど
・Price:価格
・Promotion:広告などを含めた販売方法
・Placement:販路

を指します。

この4Pに沿って、施策や戦略を練り、様々な行動を起こしていきます。

*Miniコラム
コトラー氏の研究活動では、前述の4Pに加えて、public opinion(世論)とpolitiocal power(政治力)を加えた6P理論や、people(人), processes(プロセス), physical evidence(物的証拠)を加えた7P理論などが有名です。

STP理論(コラム)

STP理論(STPマーケティング)とは、コトラー氏が提唱したマーケティングの代表的な手法の一つです。「セグメンテーション」「ターゲッティング」「ポジショニング」の3つの頭文字を取って「STP」としています。

・セグメンテーション(segmentation、セグメント化)
市場における消費者・顧客のニーズ毎にグループ化し、様々な角度から市場を調査・分析をし、ユーザー層、購買層と明確化していくことを指します。

・ターゲッティング(targeting、ターゲット選定)
セグメントの結果、競争で優位に立てる可能性が高く、参入すべき市場セグメントを選定する事を指します。
選定の際には、ターゲットの経済的価値(市場規模、成長性)やニーズを分析することが重要とされています。

・ポジショニング(positioning)
顧客に対するベネフィット(利益)を検討し、自らのポジションを確立する事を指します。
顧客のニーズを満たし、機能やコスト面での独自性が受け入れられるかがポイントとなるとされています。

ブランディングとの関係性

さて、前述の4P理論に沿えば、「ブランディング自体は必要ないのでは?」と思う方いると思います。
極論を言うと、ニーズのあるものを作り、正しい相手に、適切な価格で、適切なチャネルを使って売れば、ブランディングが無くても商売ができますし、それでよければ、マーケティングだけでOKです。
しかしながら、ブランディングのない商売では、一時的には、需要者・消費者には効果が期待できても、競合他社との差別化が出来ていないため、長期的なクライアントは付かず、付加価値も付かず、信頼を得ることも難しいため、価格競争に負ける可能性が大きいです。そのために必要になるのがブランドの構築、「ブランディング」です。

本記事の冒頭では、マーケティングは「仕組みづくり」、と定義しましたが、ブランディングで商品・サービスに付加価値が付けば、価格競争の必要性が無くなったり、広告費や広告手法の方法が変わるなど、マーケティングに大きな影響を与えます。

つまり、マーケティングとブランディングは密接な関係にあり、どちらかひとつの取り組みや部分的にを頑張るだけでは、モノは売れない・買ってもらう事ができない、ということです。
もし商品・サービスの伸び率が止まった場合、同じマーケティングの方法では意味がないため、別の施策を検討したり、ブランドのリブランディングなど検討していく必要があります。

何かを売りたい、と考える以上、ブランディングとマーケティングは必須なわけだね。
今、ブランドを確立できている企業は、いろんなデータに基づいてブランディング・マーケティング活動を行い、独立性を獲得したんだね。

知的財産権との関係性

「ブランド」そのもの影響力は、マーケティングの手法にも影響することが分かりました。
本来であれば、ブランディングをしてからマーケティングをする流れが王道とされていますが、顧客のニーズをポイントで掴み、売れる商品・サービスが先に誕生し、ブランディングが後追いになることもあると思います。
そうなると、ブランディングの前に、売れているブランドの存在が認知され、注目される事になります。

これらを放置しておくと、似た名称や似たデザイン、中には目的を持って悪意のある情報(デマ)が流れたり模倣品などが出てきて、自社ブランドの成長の障害になる可能性があります。
こういう時の備えとして、有事の際に法的保護を受ける為に、知的財産権(商標権、意匠権、など)の設定や登録があると自社ブランドを守ることが出来ます。
結果として市場での競争力の増強やシェアの拡大などにつながり、より一層企業の成長を促進させることが出来ます。

自社ブランドを自分で競合他社から「守る」為にも、新しいブランドを立ち上げる際は、知的財産権の活用も並行して検討すると良いでしょう。
特に新規のブランドの制作を検討する際は、事前に調査(権利侵害の有無、など)を社内で実施されたり、特許事務所などに依頼されるのもお勧めです。

まとめ

マーケティングとブランディングは、用語の意味は異なっても、関連性は深い事は理解したよ。
だけど、マーケティングやブランディングをすればするだけ、世間に「ブランド」が広まっていくから、法的な保護がないと、模倣や侵害をうけるリスクもあるよね?

その通りです。
画期的なサービスや商品を生み出し、それを必死に売り込みをしたところで、法的な保護を受けられるものを権利化しないのは、中長期的視点で見ると損をしている可能性があると考えます。
Amazing DXでは商標登録は勿論のこと、知財関連の無料の相談やブランド戦略の相談も承っているので、質問があればいつでも右下のチャットをご利用ください。

ありがとう、相談してみるよ。

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supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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