商標登録された言葉を使っていいの? トラブル回避 2022年3月29日 2024年7月12日 Amazing DX Support Team 商標登録された言葉を勝手に使うのは、すべてNG? 最近はSNSでの炎上事件が怖いから、情報発信する前にちゃんと調べなきゃ あれ? 「スマホ」も「イクメン」も、商標登録されてる? 使っちゃダメなのかな? それだと何も書けないよ…… 事前に登録商標を調べるのはよいことですね でも、過剰に心配する必要はありませんよ 登録商標を使っていいケース、使ってはダメなケースについて、知っておけば安心です この記事では、「ある言葉を使おうとしたらそれが他人の登録商標だった場合、その言葉を使えるのかどうか」について説明します。 他人の登録商標を勝手に「使用」するのはNG 登録商標や、出願中の商標などを使って問題になるケースは、商標を「使用」した場合です。 第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。(後略) 商標法 上の条文は、「(原則的には)商標権を持つ人だけが、指定商品または指定役務について、登録商標を使用することができる」という意味です。 ※もう少し細かく言うと、類似するマーク、類似する商品やサービスまで、「他人に使用させない」ことができます。 審査中の商標については? また、商標登録出願中でまだ登録になっていない商標についても、他人の商標を勝手に使用した場合には「使用により生じた業務上の損失に相当する額」の支払いを請求されることがあります(商標法第13条の2) やっぱり、登録商標を勝手に使ったらダメなんじゃないかな? 商標登録された言葉を使っても問題ないケースとは? ところが、「使用」というのは、単に「使う」という意味ではありません。商標法第2条に定義があります。 3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。一 商品又は商品の包装に標章を付する行為二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によつては認識することができない方法をいう。以下同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為九 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為十 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為 商標法 つまり……? どういうこと……? ざっくりとまとめれば、「使用」とは「商品やサービスを自分が提供していると示すような使い方」ということです。(その商標を付けて販売するなど) それ以外の使い方であれば、商標権侵害になる可能性は低いと考えていいでしょう。 商標登録されている言葉と、言いかえ語の例 でも、「宅急便」、「万歩計」みたいな言葉は、言いかえたほうがいいって聞いたよ 言いかえたほうがいい言葉の理由と例 出版や報道などの分野では、特定の会社への肩入れを避けたり、一般名称と間違われないように、(その商品等そのものについて言及する場合を除き)登録商標については一般名称への言いかえが行われています。 そのブランド・名称そのものについて言及する場合はそのまま使ったほうがよいですが、そうではない場面で、商標と指定商品・役務が関係ありそうなときは、一般的な言葉に言いかえたほうがよいでしょう。 下記は一例です。 登録商標登録番号の例言い換え例味の素0411295化学調味料糸ようじ2707204デンタルフロスジェットスキー5985651水上バイクセロテープ0546229セロハンテープタバスコ4073951ペッパーソーステトラポッド1184901消波ブロック宅急便3023793宅配便バンドエイド1537538ばんそうこうポスト・イット3200996ふせんボンド0429201接着剤万歩計1728037歩数計UFO キャッチャー4049951クレーンゲーム(機)ラジコン0482788無線操縦 特定の分野では注意が必要な例 たとえば、登録商標「スマホ」(登録番号5487931)は、指定商品が「スキンクリーム及びスキンローション」なので、それと全く関係のない「スマートフォン」について使っても、一般名称と間違われる心配はあまりないでしょう。(関係のある商品などに使うときは、言い換えたほうがいいでしょう) 以下は一例です。 登録商標指定商品/役務スマホ(登録第5487931号)スキンクリーム及びスキンローションスマホ(登録第5509738号)せっけん類,香料ガムテープ(登録第5768816号)菓子などイクメン(登録第5642435号)せっけん類,香料,化粧品,歯磨き 商標権の効力がおよばない使い方はOK また、商標法には、「商品の出所が分からないような使い方については、商標権の効力がおよばない(第26条)」という規定があります。 たとえば、自分の氏名が仮に他人に商標登録されていたとしても、自分の氏名を記事の筆者として表示するような使い方はできる、ということですね。 なるほど! 商品・サービスの提供元を誤解させるような使い方でなければ、使っていい 登録商標の指定商品・役務と関係のある文脈で、その商品等以外について使うときは、言いかえる ということだね。これなら、安心してSNSを使えそうだ。 商標登録されていないか、気になる言葉は「Amazing DX」で検索! 使おうと思っているけれど、商標登録されていないか心配な言葉は、特許庁のデータベースか、「Amazing DX」の商標検索でその指定商品などを確認してみてください。 言葉とヨミガナを入れるだけで、無料で簡単に調べられますよ! また、商標登録されている言葉を使っていいのか、判断が難しいときは、商標のプロである弁理士にご相談ください。 商標出願の前にリスクを回避しましょう! リスクを事前に確認しませんか?商標検索することで、競合他社や既存の権利者との衝突リスクを減らせます。 まずは、商標とヨミガナを入力し、特許庁に出願されている商標を無料で検索してみましょう。 商標 : ヨミガナ: 無料で商標検索する この記事の監修者: HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 大阪法務戦略部長 八谷 晃典 スペシャリスト, 弁理士, 特定侵害訴訟代理人, 監修者