企業のゆるキャラを商標登録しよう!

我社のイメージアップと我社製品の宣伝のために、お客さんに好かれるかわいいゆるキャラを作ろうと考えているんだ。でも、他の企業に同じようなゆるキャラを作られたらいやだな。何か真似されない方法とかあるかな?
商標登録して商標権で保護する方法がありますよ。ほかに著作権や意匠権で権利化する方法もあるけど、商標権を取得すると、更新すれば半永久的に商標権で保護されますよ。
商標権って商品の名前についての権利だと思っていたけど、ゆるキャラも権利化できるんだ!

1.ゆるキャラとは?

ゆるキャラ(ゆるきゃら)とは、具体的にはどういうキャラクターのことをいうのでしょうか。
ゆるキャラについて、ウィキペディアによると以下のように説明されています。

「ゆるキャラは、「ゆるいマスコットキャラクター」を略したもので、地域おこしや名産品の紹介、イベントや各種キャンペーンなど地域全般の情報PR、企業・団体のコーポレートアイデンティティなどに使⽤するマスコットキャラクターのことである。……(ウィキペディアより)」

知名度の高い代表的なゆるキャラは、地域のイベントやキャンペーン等の広告として大活躍しているわけですね。

ゆるキャラのように、魅力的で知名度の高いキャラクターには顧客吸引力があります。そのため、地域おこしのイベントだけにかぎらず、ゆるキャラが使用されたゆるキャラグッズも多数販売されています。

ゆるキャラグッズは、消費者の購買意欲を刺激するため、ゆるキャラを無断で使用して販売するケースが後を絶ちません。粗悪品にゆるキャラを使用して販売されると、そのゆるキャラを使用する地方公共団体等の商品と誤認され、地方公共団体やゆるキャラ自体の信用が毀損されます。

では、ゆるキャラの無断使用を防ぐために、どのような対処方法があるでしょうか。対処方法としては、著作権・意匠権・商標権によるゆるキャラの保護が考えられます。これらの権利を取得すると、ゆるキャラを無断使用する者に対して、差止請求や損害賠償請求をすることができます。

2. 著作権による保護:ゆるキャラの絵柄・立体形状・着ぐるみ

ゆるキャラの絵柄・立体形状・着ぐるみ等については、著作物として、著作権による保護を検討します。

著作権ではゆるキャラ自体を保護することはできませんが、イラスト、アニメ等にゆるキャラが描かれた場合、その具体的な絵柄・立体形状について、著作物として保護される可能性があります。

3.意匠権による保護:ゆるキャラグッズ・着ぐるみ等

ゆるキャラグッズ等のように、ゆるキャラを使用する具体的な商品の形状が決まっている場合、意匠権での保護が有効です。

ゆるキャラ自体については、意匠権を取得することができませんが、ゆるキャラを使用する物品(商品)と結び付けて意匠出願をすることができます。例えば、ゆるキャラを模様として付けたマグカップや、ティーシャツ等は、意匠登録することができます。この場合、意匠に係る物品を、それぞれ、マグカップや、ティーシャツとして、意匠出願する必要があります。

出願する際には、ゆるキャラの模様がついたマグカップについて、またゆるキャラの模様がついたティーシャツについて、別個に意匠出願し、別個の意匠権を取得します(複数意匠一括出願を除く)。

ティーシャツを意匠に係る物品とした場合、ティーシャツと類似する物品、例えば、セーターやブラウス等であれば、意匠権に基づいて、差止・損害倍意匠請求が可能です。

また、ゆるキャラの着ぐるみは「仮装用ぬいぐるみ衣装」として意匠登録を受けることができます。

ゆるキャラについて意匠権を取得すると、意匠権の効力は類似する意匠にも及びます。

4.商標権での保護

4-1 ゆるキャラの名前・ロゴマーク等を付したグッズ:商標権による保護

ゆるキャラの名前・ロゴマークを商品等に付すことによって、貴社の商品・サービス等であることを表示したい場合、商標権による保護が考えられます。

ゆるキャラの絵柄をロゴマークの商標として、またゆるキャラの名前を文字商標として、それぞれ商標権で保護を受けることができます。ロゴマークの場合、そのゆるキャラの持つ様々な表情やポーズの中から、一つの表情やポーズを決めて、ロゴマークのデザインとします。

ゆるキャラの名前・ロゴマーク等の商標登録を受けようとする場合、その商標を使用する商品・サービスを指定する必要があります。商標権の効力は、他人が登録商標と同一または類似の商標を、指定商品と同一または類似の商品・サービスに使用するときに及びます。

例えば、ティーシャツを指定商品とした場合、ティーシャツと類似する商品、例えば、タンクトップであれば、商標権に基づいて、差止・損害倍意匠請求が可能です。

4-2.ゆるキャラ自体

着ぐるみやフィギュア等の立体的なゆるキャラについても商標登録することができます。
例えば、名門大洋フェリーのキャラクター「ノリーナ」の着ぐるみが立体商標として商標登録されています(登録番号第6161158号)。また、東京モノレール株式会社のゆるキャラ「モノルン」も商標登録されています(登録番号第5611263号)。

5.登録要件

商標登録には、新規性の要件は不要ですので、現在使用して公知になっている商標でも出願することができます。また、商標権は、更新を繰り返すことにより、半永久的に存続することができます。ただし、登録したゆるキャラの商標を長期間使用していない場合、商標権が取り消される場合があります。

着ぐるみも立体商標として登録されてるなんてびっくりだね!
それだけ、どこの企業も、ゆるキャラを模倣から守るのに一生懸命ということですね。ゆるキャラを模倣されると、せっかく蓄積した企業イメージも一瞬にして壊れかねません。
我社もゆるキャラが完成したら、早速、文字商標とロゴ商標を出願することにするよ。

貴社のゆるキャラについて、まだ商標を登録されていない場合、早めに商標登録出願をされることをお勧めします。商標登録をすると、使用している商標を他人が先に商標登録することを防ぐことができ、登録商標を真似された場合、差止請求ができます。

Amazing DX
当事務所およびAmazing DXの商標ガイドのサイトでは、様々な記事を随時更新しています。商標に関する情報をお探しの方は、当事務所のホームページをぜひご利用ください。

supervisor
この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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