ブランディング戦略に有用なフレームワークとは?

ブランディングを始める前に

新商品の販売を企画しているよ。老若男女、あらゆる人に買ってもらいたいから、シンプルな包装にしたり、カラフルな商標を取得したりといったことを話し合っている最中だよ。
いいですね!少し気になったのですが、そもそものターゲット層やそれに対するアプローチについて、ブランド戦略を練りましたか?ブランディングは、最初の戦略設計が成功の鍵になりますから、時間を掛けて取り組んだ方がいいです。先人の知恵たるフレームワークを使うと、話し合いもまとまりやすいですよ。
フレームワーク、見たことはあるけどブランディングでどうやって使うかよく分からないんだよね。

フレームワークを活用することで、ブランドイメージを可視化し、社内でブランディング戦略を固めることができます。
世の中には数多くのフレームワークが存在しますが、この記事では特にブランディングによく使われる代表的なものをご紹介します。

フレームワークとは

ブランディングにおいて、一番最初に取り掛かるべきはブランド戦略の設計です。
ブランド戦略が決まっていなければ、様々な視点から、各部署や各人がまとまりのない対応をすることになりますので、ばらばらのブランドイメージが生じ、企業の価値を下げる結果ともなりかねません。

ここで、中でも役立つのがフレームワークです。
フレームワークというのは、一言で表すと枠組み分析ツールであり、自社、競合他社、商品、サービス、顧客層、危険因子、時期などの情報を枠組みに収めて一つ一つ分析していくための手段・方法の一つです。
このような分析を漏れなく組み立てることはなかなか難しいのですが、決まったフレームワークを使うことで、細部まで明確にすることができます。
必要な情報が可視化され、明確なブランドイメージを持つことができるので、会社内でのイメージ浸透やコミュニケーションの円滑化にも役立ちます。デザインの制作を外部の企業に委託する時も、ブランディングのフレームワークを資料として持参すると、どういったデザインコンセプトにすればよいのか等、概要を理解されやすくなります。

ブランディングと言っても何から始めたらいいのか分からない、誰をターゲットにするか等が重要なのは分かるが、どのようにして決めて行けばいいのか分からない、と言った時にはまずフレームワークを使ってみてください。

また、定期的にフレームワークを書き出してみることで、全体を俯瞰して企業の立ち位置を整理しながら、次の一手を考え実現していくというPDCAサイクルを回すこともできます。

主要なフレームワーク

ブランディングに活用できるフレームワークは多種多様です。
また、各フレームワークは役割が異なります。何を分析するかによって、使用し易いフレームワークは変わりますので、どのような状況でどのフレームワークを使えばいいのかを以下で解説・紹介します。

なお、これらフレームワークを使うタイミングですが、商品やサービスができてからではなく、開発前にまずは使用することをお勧めします。
といいますのも、開発済みの商品をどういったコンセプトで売ろうか、どういった層に売れて、どのような環境変化に弱いのだろうか、と考えるよりも、これから売れる商品を開発するために、どういった層がどのような物を欲しているのか、どういった商品なら競合と差別化できるだろうか、と考えて商品設計から行う方が、その商品のブランディング成功確率が上がるからです。

ブランディングは、商品開発前から既に始まっているということだね。

3C分析、クロス3C分析

3C分析、クロス3C分析は、ターゲットにすべき市場を探り当てたい時や市場分析に利用できます。
3Cとは、「Company:自社」「Competitor:競合他社」「Customer:顧客」の頭文字です。

3つの自社、競合他社、顧客の重なり合う円を書いた時に、以下のことが言えます。
・自社・顧客で重なる箇所:自社商品・サービスで顧客ニーズを満たすことができ、競合が未だいない市場。ターゲットにすべき市場で、ブルーオーシャンとも呼ばれる。
・自社・競合他社で重なる箇所:顧客の取り合いが生じている市場。競合が満たせていない細かなニーズを発見したり、重なっていても自社が競合を上回ることができるかを検討。
・競合他社・顧客で重なる箇所:自社は参入していないが、競合が参入している市場。競合が抱えている課題を発見できるかが鍵になる。
・自社・競合他社・顧客の円が重なる箇所:レッドオーシャンとも言われる、競争が激化していることが予想される市場。

そして、それぞれの円について、分析をします。
・自社分析:自社ブランドの強み、課題を明確にする。
・競合分析:競合ブランドの強み、課題を明確にする。
・顧客分析:顧客が何を求めているか、何故そのブランドを購入するのかの本音(「インサイト」とも言います)を明確にする。

クロス3C分析と3C分析の違いは、単に円が重なっているかどうかであり、やることは変わりません。
ブランディングにおいて、3C分析は必須であると紹介している本などもあり、最も有名なフレームワークとも言えるのではないでしょうか。

ポジショニングマップ

クロス3C分析にて、3つの円が重なった「レッドオーシャン」と呼ばれている領域は、低価格化競争が既に起こっている又は今後起こり得る領域です。
そこで活動を続けることは、会社や事業の疲弊に繋がります。
そのため、自社と顧客の円が重なる、「ブルーオーシャン」と呼ばれる領域に市場を定める必要が出てくるのですが、その領域にたどり着くには、差別化がキーワードとなります。

競合ブランド、競合事業との差別化を図る際に使うのが、ポジショニングマップです。
縦軸と横軸を書き、そこにできた4つの領域に、自社ブランドや競合ブランドを当てはめていきます。
軸は、機能的特性(商品のターゲット、特徴、機能)、情緒的特性(ターゲットとなる顧客の心理的印象)を、細かく設定します。

差別化を図る際に重要になるのが、自分たち当業者目線からの区別ではなく、飽くまで需要者・取引者目線から見た区別が重要であるということです。
つまり、商品の購入者はその商品が柔らかいか固いかは気にしていないのに、自分たちは柔らかくて、他社は固いのだ、というポジショニングマップを作り、柔らかいことを前面に押し出した宣伝を行ったとしても無意味ということです。

ポジショニングマップを作る際は、常に顧客の視点での軸設定、つまりは情緒的特性を忘れないようにすることが重要です。

ライフサイクル理論

商品やサービスが時間軸としてどの位置にあるのかを分析し、その時々に合った戦略を練るためのものです。

例えば、以下のように分析することが可能です。
・導入期:市場拡大を狙い、顧客教育や商品・サービスの発信を行う。
・成長期:売上が大きく伸びる時期。認知を高める活動を行って、効果的に製品の販路拡大、新規顧客の獲得を狙う。
・成熟期:これ以上の成長は見込めないため、新たな事業への参入やブランドイメージの刷新を検討する時期。
・衰退期:この時期に大々的に広告・宣伝をしても売り上げに結びつかない。新たな事業への参入やブランドイメージの刷新、又は保守的顧客に向けた展開をする。

PEST分析

マクロな視点で環境の分析を目的としたフレームワークです。将来危惧すべき外的要因の発見、および将来味方になり得る外的要因の発見、自社の現状を認識したいときに役立ちます。
PESTは以下の4つの単語の頭文字です。
P Politics:政治
E Economy:経済
S Society:社会
T Technology:技術

それぞれの要素が自社にどのように影響するのかを、プラスの面とマイナスの面の両方について箇条書きで一覧にまとめていきます。
・Politics:法律、政権、税制、裁判制度、地方自治体の傾向による影響。これらの施策や定義が変更されることで、これまでのやり方が通じなくなったり、多くのチャンスが生まれたりします。
・Economy:景気や物価、為替、株価、消費動向による影響。消費者の購入意欲が変わることで、お金の使われ方が変わってきます。
・Society:人口や世代毎の価値観、宗教、流行、世論に関連する影響。消費者の意識の変化や流行を察知する必要があります。
・Technology:IT、特許、現在ある技術、新しい技術、今後開発される技術による影響。技術の発展により、これまで必要だったものが不要になったり、ライフスタイル自体が変わる可能性があります。

GCS分析

PEST分析がマクロ視点(企業を取り巻く大きな概念としての環境がどう変化するか)だったのに対し、GCS分析はミクロの視点(消費者の環境がどう変化するか)で行う環境分析ツールです。
GCSは以下の3つの単語の頭文字です。
G Genre:ジャンル
C Category:カテゴリー
S Segment:セグメント

・Genre:ジャンル全体(その商品・サービスの分野全体。例えば情報機器分野全体)の環境変化による影響。
・Category:カテゴリー(例、情報機器の中でもスマートフォン)の消費者変化による影響。
・Segment:セグメント(例、スマートフォンのサービス別)の消費者の変化による影響。
いずれの項目でも、それぞれの階層での消費者の流入・流出の程度、利用場面、関心項目等を探ります。
商品やサービスを利用する消費者の階層を広いところから狭いところまで見ることで、自社の現状把握に役立てたり、今後の開発方針を決めたりします。

SWOT分析

企業の現状分析をする際に使います。PEST分析が外部環境を分析するツールであるのに対し、SWOT分析は謂わばビジネスの環境を分析し、現状把握や指標の設定に役立てることができます。
SWOTは以下の単語の頭文字です。
S Strength:強み
W Weakness:弱み
O Opportunity:機会
T Threat:脅威

上で紹介しました3C分析やPEST分析にて明確になった内容をSWOT分析で箇条書きにしていき、自分の弱みの改善策や強みの活かし方を考える、といったように使われることも多いです。
・Strength:分析対象とする企業や事業の強み
・Weakness:企業や事業の弱み
・Opportunity:企業や事業にとってメリット、チャンスとなる外的要因
・Threat:企業や事業を脅かす外的要因

その他

これらとは別に、自社の立ち位置、ターゲットにするべき市場が分かったら、ブランドの扇、カスタマージャーニー等のフレームワークも有効です。
何を検討したいかによって、使い分けてみてください。

フレームワーク、使ってみるよ。これで、どういった商標を使用するのがよいのかも分かるね。

そうですね。フレームワークでブランディングの方向性が決まったら、まずは商標出願をお勧めします。
商標を他社に先越されると、それだけで折角練ったブランド戦略が水の泡になってしまいます。

事例

具体的に、フレームワークを用いて分析してみましょう。
今回は、簡単なものとなりますが、スターバックスの例でSWOT分析を実践してみます。
ここでは、少数のポイントしか書き出していませんが、3C分析、PEST分析等で得た内容を細かく書いていくことで、より良いビジョンが見えてきます。

SWOT分析
Strengthメニュー数が多く、カスタマイズ可能、充実した研修制度による店舗間で格差のないサービスを提供できる
Weakness価格が高め、喫煙者への配慮
Opportunity市場規模が大きい、一般的なカフェ店は狭い、一般的なフランチャイズカフェ店では店舗ごとにサービスに差がある
Threat他社は低価格路線

より詳細に記載することで、次に会社のとるべき戦略が見えてきます。

他社と同じように低価格路線にするのか、それとも高い価格でもリピーターが付くような強みを強化するのか、といった点での差別化の手法がまず問題となるでしょう。
そうすると、今度はポジショニングマップが役立つかもしれません。

スターバックスにて実際には、出店する場所に工夫を凝らしたり、余裕のあるスペースを確保し、細やかなサービス、お洒落な内装などで高級志向の顧客をターゲットとしたマーケティングが行われています。

喫煙席が無いことも、今では逆にアイデンティティとなっており、若い世代の顧客を得るのに一役買っています。

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この記事の監修者:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
大阪法務戦略部長 八谷 晃典
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